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天使の彼氏は嫉妬深い? (挿絵あり)  作者: 菟田野すもも


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2/8

第1話:天使の彼氏の恋愛遍歴ー①(表紙イラストあり)

挿絵(By みてみん)

「……久しぶり」


 その日、灯里(あかり)の部屋には久しぶりにルカの姿があった。天界と人間界の遠距離恋愛の中で、こうして会えるのは貴重な時間だ。


 灯里の声にルカは柔らかく微笑む。

「……やっと会えたね」

 その手がそっと灯里の頬に触れると、胸の奥がぎゅっと熱くなる。


 ルカは天界から来た天使。

 “推しにそっくりなキューピッドが通販で届いた”――そんなとんでもない出会いがきっかけで、いつの間にか惹かれ合い、今は恋人同士になっていた。


(やっぱりいつまで経っても慣れないよ……

 ルカの手で触れられるだけで、どうしようもなくドキドキする……)


 灯里が赤くなって顔を背けると、ルカは目を細めて嬉しそうに笑った。

「はは、照れすぎだよ」


 ルカは灯里の顎を軽く持ち上げ、顔を逸らせないようにしてじっと見つめる。


「もう! からかわないでって、いつも言って……」


 灯里が言い返そうとした瞬間——ルカは勢いよく体を寄せ、灯里を軽く押し倒した。

 驚きで目を見開き、頭が真っ白になる。


(え?? これって……)


 ルカは灯里の上に覆い被さり、顔を近づける。

「ほんと、灯里ってかわいいな……」


 その唇が触れそうになる――が


「ス、ストーーープっ!」

 灯里は慌てて手を伸ばしてルカの胸を押し返す。

 

「え?」

 灯里の拒否の姿勢に、ルカは驚いて体を起こす。


 灯里はルカの急な”恋人モード全開”に、完全にパニックになっていた。

「な、何これ……急すぎるよ! 友達の時とは全然違うじゃん!」


 ルカの体が離れたので、灯里も慌てて体を起こし、必死で距離を取る。


 しかし、そんな灯里の様子にルカはきょとんと首を傾げて答える。

「そう? 付き合ってるんだし、普通じゃないの?……灯里はこういうの嫌なの?」


「いや、嫌っていうか……気持ちが追いつかないんだって!」


(キスくらいならあるかなって思ってたけど……こんなの急展開すぎる!)


 灯里の言葉を聞き、ルカは少し考えるような素振りを見せる。

「そうなんだ。今までの子は、みんなそうしてほしいって言ってたから、そういうものかと思ってたよ」


「え、今までって……! ちょっと待って! ルカが好きになったの、私が初めてなんだよね!?」


「うん。”僕が”好きになったのは灯里が初めてだよ。

 ただ”僕を”好きになった子が、その前にいっぱいいたってだけで」


 にっこり笑顔で平然と言い返すルカに、思わず声を荒げる。

「何それ!?」


 付き合って早々、天界と人間界の遠距離恋愛。

 しかも、「天界は電波が入りにくい」とか言って連絡はマメじゃないし、会いに来てもこんな調子で気持ちを逆なでする。全然安心できるお付き合いじゃない。


(ありえない……! 同じ“恋愛初心者”だと思ってたのに……)

(“いっぱい”って、どのくらい? 五人? 十人?……まさかもっと!?)


 頭の中で勝手に人数を数えだして、ますます混乱していく。


 そんな灯里の様子に気づいたルカが、のんきに声をかけてくる。

「そんなに怒らないでよ。灯里が嫌がることは、もうしないから」


「っていうか話が違うよ!」

「嘘はついてないと思うんだけど……?」


 話が噛み合わず、灯里は混乱したまま。


「そんなことよりさ……」

 ルカがまた灯里に近づこうとしたので、思わず手を伸ばして距離を取る。


「ちょっと今は無理! 情報量が多すぎて整理できない!!」


 灯里は頭の中がぐるぐるしていて、どう反応していいかわからない。

 そんな様子を見て、ルカが小さくつぶやく。

「……そんなに嫌だったの?」


 でもその声は、混乱中の灯里の耳には届かなかった。


◇ ◇ ◇


「あ、そろそろ戻らないと」

「え、もう?」

「今の契約者さんの所を抜けてきたから」


 灯里とのキューピッド契約は終了し、今は別の人の担当になっている。

 時々、こうして隙間時間で会いに来てくれるが、以前のようにずっと一緒というわけにはいかない。


「ごめん、また連絡するから」


 ルカはいつもの調子で笑って、ふわりと羽を広げ飛び去っていった。

 その背中が遠ざかるのを見送りながら、灯里の胸の奥に冷たい風が吹き込む。


(思ってたより全然会えないんだな……それにルカ、全然寂しそうに見えない。

 私だけ、こんな気にしてるのかな……)


 取り残された部屋で、灯里はため息をついた。


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