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月の満ち欠けのように君は笑う  作者: 内山スク


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8/14

新月

 私は親の転勤で日本から海外に引っ越して生活していた。生活に不満があるわけでもなく、言葉の壁はあったけど周りの友人とは仲良くなれたと思う。


 中学の時に日本に戻ってきてからだった、夜に眠ろうとして寝付けないことに気がついたのは。


 親は心配して色々してくれたが、私は寝付くことができず、ついに精神科にかかった。


 不眠症と診断された。睡眠薬を処方され、それを飲んでからはよく眠れるようになった。


 いや眠りすぎていた。朝起きると頭が働かず、身体が怠い。日中でもボーッとする。精神科に通い新しい睡眠薬をもらってもそれは変わらなかった。


 私は夜が怖くなった。みんなが寝付く中私だけが眠れない。世界に一人取り残されたような、闇の中に放り込まれたような、そんな孤独感が私を包んだ。


 親は学校の先生にも説明したが、クラスメイトには話さないように私から伝えた。私の弱さを他人に知られるのが怖かったからだ。


 日本に帰ってきてから三年後。親が仕事の都合で海外に再び転勤になった。高校への進学や仲の良い友達ができたこともあり、私は日本に残ることにした。


 だけど本当の理由は違う。本当は怖かっんだ。また眠れなくなるのが・・・・・・一人になることが。


 そんなことを考えると気持ちが暗くなるから、一人で夜中に出かけて月を見ることにした。月を見ていると不思議と心が落ち着いてきて、眠れる日が増えてきたような気がした。


 そんなことを続けている時だった。彼と出会ったのは最初はなんとなくだった。なんとなく彼を揶揄うつもりで月見に誘った。


 だけど彼は私の思いに応えてくれた。一人だった心が満たされたそんな気がした。彼に会う前には不思議と緊張と恥ずかしさが会ったけど彼に会うと嬉しさと楽しさに包まれた。


 心が落ち着かなくなって寝つきが良くない日もあったが、不思議と熟睡感があった。


 彼と月見を続けるうちに見惚れてしまっていた。今まで見ていた月よりも彼を見ている時間が増えていた。


 勇気を出して一緒に帰ったり、デートに誘ったりした。言葉を口に出すことはできなかっけど一緒にいる時間が楽しかった。それだけで心が満足していた。眠れなくなることが不安に思うことも無くなった。


 だけど彼が眠れなくなっていた。私は彼の気持ちを考えてあげられなかった。彼からもらってばかりで私は彼に何もあげられない。それどころか私と同じ思いをさせてしまった。


 だから・・・・・・私は彼と離れることにした。私と同じ思いをしてほしくないから、私と同じ一人の夜を過ごしてほしくないから。


 この好きと言う気持ちを、月明かりが届かない夜の闇に捨て去って・・・・・・私は彼と月を見るのをやめた。

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