下弦の月
茜さんと出かけるといった次の日彼女からメッセージがきた。
『ごめん、体調すぐれなくてやっぱり明日はなしで』
その文面を見て僕はがっかりしたよう気持ちと心配な気持ちで胸が締め付けられるが彼女に返信を返すために指を動かし、携帯に文字を打つ。
『大丈夫だよ。また今度にしよう。身体は大丈夫?』
『大丈夫、一日寝たら治るから。それよりも明日はバイトは休み?』
「明日?明日は〜」
僕は携帯の保存されている写真を見た。写真にはバイトのシフトが写っておりバイトのシフトを確認する。
「明日は休みだよっと」
僕はメッセージを送るとすぐに返事が返ってきた。
『よかった。じゃあ出かけられなかったお詫びに明日食べに行こうよ』
『うん。いいよ明日楽しみにしてる』
僕はメッセージを送り終えると、明日に備えて布団に入った。小学生が遠足にいく前日のようにワクワクで中々眠れず遅刻しそうになったのだった。
月曜日の放課後になった。学校には遅刻しそうになるし、授業中に居眠りしてしまったため、先生に注意されるし、良樹にまたからかわれるし散々な一日だった。
だが今日ついていなくてもよかった、今この瞬間が一番ついていると実感できからだ。
「おまたせー」
彼女は白い服に身を包み、三日月の髪飾りをしていた。清楚な見た目はまるで月のように輝いていた。
「昨日はごめんね。待った」
「いや、今来たところだから大丈夫だよ」
嘘だ。本当は楽しみすぎて三十分早く来ていた。学校から返ってすぐにタンスの中を漁り、自分が考えるオシャレな服装を選び、変じゃないか親に確認しながら家から飛び出してきた。
白いTシャツに黒いジャケットとズボンを履いてきたが、彼女から指摘が入らないということは変ではないということでいいのだろうか?
「何食べにいく?」
「そういうのは男の人が決めるんじゃないの?」
彼女はフフッと笑いながら返事を返した。
「うーんでも茜さんの好みとか知らないし、茜さんが好きなものでいいよ」
「えーうーん・・・・・・じゃあラーメン」
「え、あ、うん。じゃあラーメン屋いこうか」
この見た目でそのチョイスなのかと心の中でツッコミを入れつつ、僕は携帯でラーメン屋を探し見つけた店の中に入る。
店内は清掃が行き届いており、カウンターとテーブルの席があった。僕たちはテーブル席に着くとラーメンを注文して出来上がるの待っていた。
「昨日は大丈夫だったの?」
「・・・・・・うん。ちょつと薬が効きすぎちゃって」
「薬?」
彼女の言葉に僕は眉をひそめると彼女は手を振って「なんでもない、今の言葉は忘れて」と焦った様子を見せた。
僕もそれ以上の追求はしなかった。女性には色々あるし、聞かれたくないことを深く掘り下げるのも嫌だと思ったからだ。
「それよりも昨日は何してたの光輝くんは」
「昨日は、ゲームやって寝たかな。まぁでも本当のこと言うと、今日が楽しみで夜全然眠れなかったんだけど」
「・・・・・・ごめん」
場を和ませようとしていった言葉なのになぜか彼女は悲しそうな顔をしていた。
「いや茜さんが謝ることなにもないって、俺が楽しみにしすぎて寝れなかっただけだし」
僕の言葉を聞いて彼女は顔を下に向けたままだった。何か気に触ることを言ったのだろうかそう考えていると。
「お待たせしました。煮干しラーメンです」
店員さんがラーメンを持ってきた。僕は心の中でナイスと思った。
「茜さんラーメンきたよ。食べようよ」
「うん・・・・・・そうだね」
ラーメンを食べるが茜さんの暗い顔は晴れなかった。茜さんのことが気になってラーメンの味がわからなかった。
食べ終わった後、僕たちは店を出た。季節が冬に近づくにつれて日が落ちるのは段々と遅くなり、今は夜の七時過ぎだというのにもう周りは暗くなり、月が出ていた。
月はまるで包丁でリンゴを真っ二つにしたように半分になっていた。今宵は下弦の月、暗くなった空には暗雲が立ち込め、月明かりが小さく感じた。
「ねぇ。今日で月見するのはやめない?」
「え?」
彼女の一言に僕は衝撃を受けた。胸が締め付けられるように苦しくなった。
「な、なんで?」
「光輝くんが私と同じ思いをするのは私は耐えられないよ」
彼女の目からは涙が溢れていた。月明かりに照らされて、光涙が頬を伝って地面落ちていった。
「同じ思いって、どういうこと!?わからないよ」
「私と一緒にいて、光輝くんまで眠れなくなってほしくないの!!」
そう言うと彼女は逃げるように走り去っていた。
その後僕は彼女を、追いかけることもできなかった。僕は一人家に帰るとベッドに身体を投げ出すように飛び込むと泥のような眠った。
次の日の天気はまるで僕の心のように雨降り続く一日だった。九日間雨や曇りの日が続いた。
夜に雲が晴れ月が見える日もあったが、いつもの河川敷に彼女の姿はなかった。




