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月の満ち欠けのように君は笑う  作者: 内山スク


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12/14

十三夜月

 茜さんと仲直りしてから六日が過ぎた。僕はアルバイトをしながら茜さんと月を見上げる日々を続けている。


 そんな日々を過ごしている放課後のことだった。茜さんからメールが来たのだ。


『今日どっか出かけようよ。この前途中で帰っちゃったお詫びにさ』


 僕はメッセージを確認すると、急いで返信を打つために指を走らせた。


『もちろんいいゆ』


 急ぎ過ぎて誤字で送信してしまったのに気がついたのは茜さんからの返信が返ってきてからだった。


『じゅあ、八時に河川敷集合ゆ』


「しまった・・・・・・誤字った」


 そんなことがあってから時間はあっという間に過ぎていった。


 時刻は夜の八時。辺りは暗くなり夜の闇が街を包む。それの闇を晴らすかのように月明かりが優しく差し込む。月は満月に近づこうと形を取り戻しつつあり、月の影が三日月のように細くなっていた。

 

 自分で考えられる上で一番の服を選び、慣れないワックスをつけて僕は茜さんを待っていた。


「お待たせ」


 声がする方を振り返ると、白いワンピースを着た彼女がいた。夜風に長い黒髪をなびかせ、月明かりに照らされた白い肌と白いワンピースが輝く。頭につけた三日月の髪飾りを抑えながら僕の元へと歩いてきた。


「待った?」


「いや全然」


 僕が手を差し出すと茜さんは手を迷わずに握った。二人で河川敷を手を繋いで歩く。冬が近づいてきた季節になり風が冷たい。しかし握った手には確かな温もりを感じる。そんな温もりを感じていると不思議と寒さも感じない気がした。


「どこいくかは私が決めていい?」


「いいけどどこに行くの?」


「秘密」


 嬉しそうに笑みを見せる彼女を見て僕も笑みが溢れた。自分でも不思議だった。だけど彼女の嬉しそうな顔を見ると不思議と僕も嬉しくなった。


 二人で舗装されあ河川敷の道を歩く。上流の方へと向かい少し道を曲がると公園の入り口までついた。


 公園の中に入ると大きな池があった。木製の橋がかかり、鈴虫の音が聞こえてくる。


 僕たちは橋を途中まで渡り池を見た。すると池には大きな月が水に反射して写っていた。まるでキャンパスに描いたと実物を同時に見ているような印象を受けた。


「ここね、満月の時が一番綺麗なの・・・・・・昔親と一緒に来てたんだ。最近思い出したんだけど」


「うん綺麗だ。二つの月が見れるなんてすごいよ」


「でしょ!!」


 茜さんは自信満々に胸を張って見せた。それから二人で二つの月を静かに見ていると茜さんが言いづらそうに言葉を切り出した。


「・・・・・・あのね。話したいことがあるの」


「話したいこと?」


「とても大事なこと」


 僕を首を傾げると茜さんは真っ直ぐに見つめていた。真っ直ぐと僕を見る目にはとても真剣な決意と、覚悟が伝わってきた。


「・・・・・・っつ。やっぱり明日河川敷で待ってるから来てね・・・・・・絶対ね」


 途中照れ臭そうに目線を離した茜さんに僕は力強く首を縦に振り頷いた。


「うんわかった。明日絶対待っているから」


 その後僕たちは元きた道を戻り家に帰った。二人固く握った手を離すことなく。

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