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十四話

夜の城下町に静かに響く戦闘音。そしてそれが静まるとすぐに叫び声が聞こえる。

「なんだよ、なんだお前ら!」

「知ってること全部話したら許してやるっすよ」

パチコは密偵にそう尋ねた。

「貴俺がここで見張ってるのを狙ってたのか…!何も話すことはない、殺せ!」

路地で縛られた密偵は口を噤む。

「チッ、面倒くさいっすね…どうしようかな」

「さっさと話せやザコ」

突然現れた男に密偵は殴られた。

「グフゥッ!?」

「あ、アニキ、躊躇ないっすね…」

「ほら、時間がねぇから早くしろ」

バキッ、ボコッ!漫画で聞いたような擬音で表せそうだが、痛ましい音を立てて、大和田は密偵を殴る。

「おァ…もうやめて…」

「じゃあ質問するぞ。お前はどこの所属だ?異世界人をどこに隠した?この二つだけ言ったらこれ以上は何もせず騎士団に引き渡してやるよ」

「俺はただの雇われた傭兵だ………異世界人の話は何も知らない」

二人は密偵を見つめた。

「まあいいか…突き出してこい」

「ハイっす!」

調べ始めて三日。数人の密偵を捕まえたが、いまだ足取りは掴めない。

(これだけの人数、魔法、資金力…まあまあデカい組織なのは間違いないが、全然わからねぇな…どこに隠れてやがる…)

「行ってきたっすよ〜。見つからないですね、探し方が悪いのか、探す場所が悪いのかな。どうします?」

パチコの呟きに大和田は疲れた様子で答える。

「そうだな…この辺はほとんど見回ったし、あとは王城くらい…王城?」

(召喚したのは国。俺達を管理しているのも国。よくよく考えたら、一番怪しいのは国じゃねぇか?)

大和田はそう考え始めたが、そこにパチコが水を差す。

「なーんか世紀の発見みたいな顔してますけど、あたし最初にそう言いましたよ?」

何も言っていないのに、見透かされて大和田は驚いた。

「……そうだな。俺が国が元凶である可能性を信じたくないだけだったのかもしれねぇ」

もし国が敵対的になるとすれば、支援を約束されていた前の世界への帰還がさらに難しくなる。

しかし、表情が険しくなった大和田を元気づけるようにパチコははつらつと言った。

「まあまあ、手がかりゲットってことで。行きましょうよアニキ、ここで悩んでも悪党はみつからないっすよ!」

「フッ、お前は状況がわかってんのかよ!でもお前の言う通りだな。まずは事実を明らかにしようぜ」

二人は意を決して王城に向かうのだった。


ーーーーー


城の地下牢、重要人物の収監場所で本田は監禁されていた。脚は鉄球に繋がれていて、動きが阻害される。

「なにここ、暗っ!誘拐とか怖すぎなんですけど?」

『目覚めたか、煩いから黙っていろ』

「はあ?いきなり攫っといて何言ってんの?まあ死にたくないし…黙っとこ」

(マジでここどこ?なんか出る方法ないのかな…) 

周りを探っても、牢屋の壁があるばかりで出られそうな様子は一つもない。一日中探索したが、本田の精神は暗い部屋で疲弊していくだけだった。二日目には、探索をやめてしまった。

ーー数日すると、天井の方からとんでもない爆発音が聞こえた。

『おい、予定が早まった。ついてこい』

黒尽くめの男が突然現れ、鉄球を魔法で浮かせた。

素直についていくと、男は薄ら笑いした。


ーーーーー


「なんだ、あれ…!?」

「シーッ!バレるっすよ!!」

王城の広間に、怪しげな魔法陣が描かれている。

「これで我々の悲願が達成される、異世界人を完全な傀儡へと変えてしまおう!」

黒尽くめの者達が祈りを捧げ始めた。

「……パチコ、お前は王城のドアを片っ端から開けてこい」

「え?あ、退路の確保か。」

「今ここで止めなきゃ俺たち全員詰みだ」

「わ、わかったっす。で、アニキは?」

「アレをぶっ壊す。頼んだぞ」

そういった大和田は窓を叩き割り侵入した。

魔法の使えない大和田はコートのポケットから丸い何かを取り出した。

輪田謹製魔法爆弾だ。それは魔法陣に着弾した瞬間、恐るべき爆発を引き起こした。儀式を行っていた者達は吹き飛ばされ、道具は木っ端微塵となる。

「なんだ!!」

「敵襲だ!殺せ!」

大和田は広間の中心から周りを見渡した。すると、呆然とした本田が見えた。

「大和田っち…?」

「いるじゃねぇか」

コートからもう一つ道具を取り出し、本田に投げた。

「魔力使って声張れや」

それを見た瞬間、その道具が何かを理解した。

『みんな、マジ助けてーーーーッ!!お城にいるよーーー!』

本田の潤沢な魔力を元に鬼の雄叫びのような音量を放つ。その音は街中に響き渡った。

ドアを開け終わったパチコが魔法の杖を携えて戻ってきた。

「これで戦えんだろ?ほらよ!」

「だ、誰?」

「うっさい!アニキのために早く戦えっす!」

本田は杖を握り、炎弾を即座に連射した。

「おっけ、あーしも頑張るわ!」

王都に争いの狼煙が上がる。


ーーーーー


「ーーーッ!」

大音声で聞こえた本田の声を、伊澄はスカーレットの屋敷で聞き取った。

(あの魔道具を使ったってことは、勝海が発見したのか!?)

「あの音が気になるなら行ってきなさいよ」

スカーレットが伊澄をみかねてそう言った。

「いいん、ですか?」

「ええ、今私が襲われる可能性は低いし、私は父上の別荘へ避難するわ」

「わかりました、感謝します!」

「死んじゃだめよ、もう貴方は私の友人なんだから。葬式なんかで仕事を増やさないで頂戴」

「ふふっ、行ってきます。」

伊澄は窓から飛び出した。と、着地点に輪田が現れた。

「伊澄氏、ホシが現れたようですぞ」

「輪田!?なんでこんなところに!」

「今金宮氏を王城近くまで送り届けてきましたぞ。ですが、魔法妨害が発動しており空間魔法で送れたのは彼だけ。急ぎ救援に行きますぞ、伊澄氏!」

「了解、すぐ向かおう」

二人は王城に向け走った。

大通りには、多くの衛兵が臨戦態勢で待ち構えており、敵意剥き出しだ。

「この国は我々を道具としてしか見ていなかったようですな…」

「スカーレット様の態度を見ると、一部の者の謀反に扇動された可能性があるかもな…止まれッ!!」

突然目の前に放たれた破壊攻撃。

「足止めが来たようですぞ。」

「その通り、止まってもらおうか。この先は通行止めだぞ、異世界人の方々」

目の前に出てきたのは、ガルシア。この国最強の戦士である。

「足止めどころか、負けるかもな…!」

「全力で行きますぞ、伊澄氏!」

町のど真ん中で、戦端が開かれた。

「来い、白虎…!」

黒い靄から白虎が現れ、咆哮を挙げる。

「やぁッ!!」

気合を入れ、刀を抜いた伊澄。ガルシアはその剣戟をいとも簡単に捌いてみせた。

「ふむ、なかなかやるな。やはり君は殺すには惜しい人材だよ」

「お前、何でこんなことに加担してるんだ…?」

ガルシアは何故か悲しげな顔をした。

「実は私の意思ではないんだよ、すこし魔法で身体に制約を受けているようでね。逆らう者を殺せと命じられているんだ。止めてくれるか?これ以上のことは話せない。精々死なないよう気をつけるといい」

ガルシアの表情が変わり、積極的に攻撃をし始めた。

「クッ!?」

「それは貴方にも言えることですぞ、ガルシアさん。その勝てないという前提はどこから来るのですかな?」

岩の柱が四方から飛び出す。

「この世界には思ったより多くの種類の鉱石があるようですが、見たことがないであろうこちらを食らってみたらよいと思いますぞ、人類の叡智をね!」

硫黄、硝石、木炭。

錬金術で合成された混合物は、輪田謹製のスリンガーによって放たれた。

"火薬弾"だ。その爆発は、周りについた鉄片を無差別に浴びせた。

「魔法を媒介しない爆発攻撃とは…面白い」

流石のガルシアも防御できなかったようだが、すぐに回復魔法をかけ、生傷を無くしてしまった。

「クソ、きりが無いな…」

「効いてますが、ヒットポイントが多すぎる様子ですな」

攻める隙が見当たらない。

「尻込みしてるなら、こちらから行かせてもらう」

ガルシアが長剣を構えた刹那、2人の視界から消えた。

「は…?」

気づくと、白虎が両断されている。

隣にいたはずの輪田が店の看板に吹き飛ばされていた。

「輪田!?」

(何が起きてる…?!前もって自分に貼っていた緊急防御の護符が全部無くなったぞ!)

「戦場で呆けているとは、やはり子供だな」

聞こえた頃には腕をつかまれている。

「くっ…放せ!」

「離す理由がない、動くな。抵抗するなら殺すしかないぞ」

逃げようとするも、みぞおちに拳がめり込み、伊澄は悶絶した。

「ーーーーッ!」

意識が遠のいていく。

(負けるわけには…!)

こんにちは、一介です。今回の話は面白かったですか?

この物語が好き、このキャラが好きという方は是非いいねや感想、ブックマークをお待ちしています。有識者や先輩ユーザーの方々もアドバイスお願いします!では、また次回お会いしましょう。

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