ザワザワ声かけ
「えっ」
「は?」
僕は驚いてだいきを見てしまった。めんどくさそうな顔をしていた。
はやとも驚いたようだ。落ち込んでいた気持ちを忘れるくらいに。
「えっ、なに、お前から話しかけてくるとか、俺の顔そんなにやばかった?」
はやとは気持ち悪いものでも見たかのよに、顔をひきつらせて自分の両腕をさすったあと、顔もぺたぺた触って確認した。
思わず苦笑いをしてしまうけど、そのくらい驚きの行動だ。だいきはもともと無口だけど、たぶん二人は仲良く話すような関係ではない。事務的な用もないのに、だいきがはやとに話しかけるのは、もしかしたらはじめてかもしれない。そう考えると、本当になんで一緒にいるんだろうって感じだ。だけど、学校の友達なんてこんなものだろうか。たまたま隣の席でご飯も一緒に食べるようになって、一人で過ごすのは嫌だからなんとなく仲良くもないけど一緒にいるってことはある気がする。
でも二人は一人でいるのが嫌とか思うタイプでもないと思うんだけどな。それにしても不思議だ。
僕がだらだら考え事をしている間も、はやとはずっと気味悪がってぶるぶると体を震わせていた。
「おい!話す気がねえなら、人が楽しんでるときに水をさすな。いつもみたいに、へらへらしとけよ」
「はいはい、すみませんでしたね。お邪魔虫で」
痺れをきらしただいきが食いつくと、はやとはやっといつもの調子を取り戻しはじめたようで、楽しそうに言い返した。
「だってほんとに珍しいじゃん。なんで話を聞く気になったわけ?」
はやとはだんだん面白くなってきたようだ。だんだん口角が上がってきて、笑みを隠しきれなくなってきている。
「はあ?人の幸せを喜べないお前のために話でも聞いてやろうかっつってんだろ。どうせ獣人の関係なんだし。話すのが話せないのか、さっさとしろ」
だいきのこめかみには血管が浮きでていた。口喧嘩も上手いじゃないか。なんで僕には上目遣いとかなんだろうな。相手に合わせて戦略を変えてるのかな。
「いやーだいきがこんなに優しいなんて知らなかったな。おっしゃる通り、前から言ってる例の獣人ちゃんなんだけどさ」
すっかり機嫌をなおしたはやとが話し始めた。




