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ふかふかお布団


 おでこをぐりぐりとだいきのお腹にこすりつけてみる。

 人の手で撫でたときには、少しかたくゴワゴワしていると感じたが、自分もけむくじゃらになると、ただただフカフカしているように感じる。

 気が済んだので、ぐるりと体を回して寝るのにちょうどいい場所を探す。

 少々おぼつかない四本の足を、一生懸命動かした。

 お願いをきいてもらってこうしているのだから、ちょっとくらい乱暴しても大丈夫だろう。

 僕はわざとだいきの腹の上を何度も踏んずけた。そのたび、ハイエナの口からくぐもった声が漏れた。

 それでもだいきは大人しくしている。

 フカフカのあったかいベッドを自分の好きなようにできてわくわくしてきた。

 るんるんしながら体を丸くして、座り込もうとした。

 フニッ

 ハイエナのお腹でも、カーペットでもないものを踏んだ。

 不思議な感覚に足元をのぞき込むと、右の後ろ足でハイエナの足を踏んでいた。

 一本だけ肉球が見えているその足が気になって、ぐるっと回って鼻を近づけてみる。

 黒い。大きい。

 クンクンと臭いを嗅いでみた。僕らと大して変わらないと思う。

 今までも何度かだいきのハイエナ姿は見たことがあったが、肉球を気にしたことはなかった。

 右の前足をあげて、ちょんちょんとだいきの肉球をつついた後、ペタッとのっけてみた。向きがちょっと違ったけど、やっぱり大きい。しばらくそうして観察していると、なんだかじわじわあったかくなってきた。肉球同士ってこんな感じか。お互いの熱を分け合ってるみたいだ。

 なんだか離れがたくなって、夢中で暖を取っていた。

 キャンッ

 急にお尻に何かの気配を感じて、思わず声を上げて飛び上がった。

 そういえばだいきにお尻向けちゃっていた。

 数歩足踏みをして気持ちを落ち着かせてから振り返ると、ハイエナが頭を持ち上げてこちらを見ていた。前足でトントンと床を叩いた。戻って来いということらしい。

 頭を少し下げて近づき、今度はすぐに体を丸くして横たわった。

 だいきは大きいからずり落ちるかなとも思ったが、そんなこともなく、いい感じにのっかることができた。

 フンフンという音が聞こえて振り向くと、大きな鼻が目の前にあった。

 目がきらきらでズルいなって思っていたけど、鼻も大きかった。

 ぴとっ

 だいきの鼻はさらに近づいてきて、ついに僕の鼻とくっついた。

 鼻をくっつけるのは家族同士でもやるけど、大きい分余計に湿り気を感じた。肉球とはまた違う感じ。

 鼻を離しただいきは、けづくろいをしてくれた。顔周りや首の後ろをなでられて、まぶたが重くなってきた。

 ぐっと伸びをして頭をハイエナの背中の方まで持っていくと、フサフサ生えているたてがみが目に入った。顔の向きを変えて、あごの先でたてがみをなぞってみた。

 小さい頃に親戚のおじさんに人間のひげでジョリジョリ攻撃されたことあったけど、こっちのほうがずっといい。

 そんなことを思ったのは覚えている。


 

 

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