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契約

ザスタは揉みくちゃにされて何度も兜を外されそうになりながらありとあらゆる礼を受け取った後、どうにかカレンを呼び出す事に成功した。

その約束が果たされたのは夜の事だった。

呼び出されたカレンは部屋の前で緊張した様子だった。その理由は直前の母親との話だった。


「カレンどこへ行くの?」

「あ、お母様、えっとザスタ……勇者様から部屋に呼ばれてるのよ。」

「あら、まあ。」

「いったい何の話……ってお母様何よその顔。」

ニヤニヤとしたその顔どこか不快感を感じる顔だ。

「いやいや、若いっていいわね~と思って。」

「若い……?」

「じゃあちょっと準備しなきゃよね。こっちこっち〜」

「ちょ、ちょっと……待たせてるんだけど……」

「いいのいいの〜夜まで待ってくれてるんだからちょっとくらい待ってくれるわよ。」

「ええ……こんなお母様初めて……」


その後死ぬ程下着のファッションショーをさせられて今に至る。

「うぅ……こ、こんな薄い下着持ってるなんて……私、ショーパンなのにすーすーする……スカートならノーパンと同じよ……」

大量に出てきた大人下着コレクションに両親の夜事情が透けて見えてきて凄い困る。

しかもそれをうっきうっきで渡して来たのでどう考えてもソレだと思われている。

「そ、そりゃ……勇者様って女癖悪いって言うし……?あんなこと言っちゃったし?可能性は無くは無いのよね……ど、どうしよう……」

手で頬を挟んで横に振る。

じわじわとその気になってきてしまっている。

「も、もう!絶対あの感じそんなわけ無いのに期待しちゃってる……お母様、恨むわよ……」

本気で深呼吸をしてドアをノックする。

「入ってくれ。」

「し、失礼するわよ。」

治まりきらなかった心臓をドキドキさせながら部屋に入るとザスタは何かの記録を付けていたのか大きな本を開いていた。その姿は今も騒ぎがおさまりそうもない祭りの会場で見たものと同じ白い鎧姿だった。どこか安堵と落胆を覚えたカレンがドアを閉じるとザスタに座るよう促されたので、ザスタの正面の椅子に腰掛けた。

「それでこんな時間まで待ってくれるような話ってなにかしら?」

「ああ、それはね。今回の件の礼を受け取ろうかと思ってね。」

「……そう、ね。私自身、って言ったものね。」

「ああ、そうだよ。今更変えたりしないよね?」

「しないわよ、一応これでも魔女の里の長の一人娘よ。魔女は契約には厳しいの。」

「それを聞いて安心した。」

「……!」

最後の言葉に、本能的な恐怖を感じた。あの黒い波動を見たときと同じ様なものを。

先程までの優しげな様子から何かが変わった、そう感じた。

そんなカレンの様子を見て満足気な様子のザスタは兜野留め具に手を伸ばしそれを外した。

「あ、あれ?」

「金髪碧眼では無いのか、だろ?」

「そ、それに……この気配って……」

「そちらは解いたつもりは無かったが……やはり、感自体はしっかりしているか。」

「貴方もしかして……」

「そう、偽物だ偽物の勇者だ。」

「!!!?何が目的!」

「ふむ、無理矢理連れてきた貴様が言う事か?」

「ぐっ……」

「ふむ、強いて言うのであれば実績とでも言うべきか?」

「!」

「こちらが勇者として慕われればあちらの勇者は偽物として扱われるだろうな。ふふ、滑稽だと思わないか?偽物を本物として崇め親しみ、本物を偽物と蔑むのだぞ?実に愉快ではないか。」

「悪魔が……」

「だが、貴様はそんな悪魔に自らを差し出したのだ。実に愉快ではないか?」

「ぐっ……」

「それにこの部屋の中に居すぎたな。」

「えっ?」

「ふむ……この気配、下腹部を見てみるが良い。」

少し、警戒しながら服をまくり上げる。すると白く汚れを知らないそこには何かしらの印が刻まれていた。そしてそれには見覚えがあった。

「これは……隷従紋!?」

「悪魔だからな、この程度はさせてもらう。」

「な、何をさせるつもりなの!?」

「我が名声の旅に付き合って貰う。」

「私がそんなこと!」

「貴様の意思など興味は無い。紋の力によって着いてこさせるだけだ。表情も好きに弄れるからな。」

その言葉と同時にカレンの表情を動かさせられ笑顔を浮かべさせられた。

「この……」

「それでは明日よりよろしく頼むぞ、我が従者カレン。」

紋から部屋から出ていけと、指示がされた事により椅子から立ち上がり扉へと歩かされるていく中体が突然止められた。

「ああ、そうだ。部屋から出す前にこうして置かなくてはな。」

そういうと、カレンの前まで歩いてきて手をカレンの前にかざす。

「『貴様は我の人形なり』、『ヒュプノス』。『命令』『我の正体を他言してはならない』。」

「あ……」

ヒュプノス、洗脳の魔法によって命令を刷り込まれる。これによって秘密を他言出来なくなったカレンは自分の部屋へと戻っていくのだった。


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