夢現ー=夢現
夢
あづさしかいない世界
ひとりのあづさは
もうひとりのあづさとワインを呑んで笑いキスをする
僕は
夢の中
膝にけがを負い
ひとりのあづさが傷口を撫で
もうひとりのあづさが僕の唇をなめて
遊んでる
きれい
きれいと僕と遊ぶあづさ達
僕がタバコに火を点けると笑うあづさとあづさ
同じ黒い服を着て
赤いネイルをしては
夢の中で
ハシャグ
あづさとあづさとあづさ達
僕は世界に恋をしてしまった
あづさ達に恋をした
あづさが食事を運び
あづさが嬉しそうに
キッチンをあづさと囲む
テーブル
囲み
哀しみ消えたり
何故
あづさが二人いるのと聞いても
わからないとあづさの頬にキスするあづさは
嬉しそう
夜
舟の中であづさとあづさは全裸になって
僕を笑う
急がなくていいの
とあづさとあづさは
僕の肩から重荷を除き
楽にさせては
僕にキスをする
僕はこの矛盾した世界にため息を漏らし
あづさとあづさを眺めているだけ
あづさはこの世で
イチバン
好きなものをもう一人のあづさに教えて
楽になるからと言い残し
僕はあづさがイチバン好きだ
とあづさに言うと
あづさがきれいな笑顔に一瞬変わり
僕を見て
ここにいつまでも
と髪を触って
食事を済ませた僕とベッドに入って
聖なる行為
あづさはあづさがいるからねと
あづさの頭を撫でては笑い
きれいになって僕にキスをする
世が世であるからね
関係ないよ
と
夢の中で
作った世界に操られているのはどっち
どっちもだ
迫りくる壁
僕はあづさの足にキスをした
傷は癒えては良かったが
この世はどうやら
夢の中
時間は僕の云う通り
あづさ
あづさで廻ってる
世の中で
イチバン
偉いのは誰だろう
僕は鏡に問いかけて
ロマンチストに成り上がり
この世は
いったい
なんなのだろう
生きてみるまで
解からない
生きてみるまで
解からない
僕は数字も言葉も投げて
あづさとあづさにキスをした
生きてみるまで
解からない
奇麗に咲いた花だけが生き残るわけじゃないだろう
あづさとあづさがキスをした
生きてみなくちゃ解からない
あづさと
あづさと
この街に矛盾を逆なで生きてみる
世界に明るい音がした
あづさと
あづさの
声だった