第21話 達筆なインプ・タンポポと90才ぐらいのおばあさん
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面白い事しか書かないつもりで書いた、妖精たちを活躍させる設定もりだくさん!
妖精たちの可愛さを愛でるほのぼの展開!
妖精たちの可愛い性格からくるコメディ!
フェアリーピクシーインプ主力みんな美少女!
異世界転生したばかりの赤ちゃんと妖精たちが大活躍!
オタク趣味の魔法を使う男主人公赤ちゃん!
凄すぎる英雄基本能力!
妖精たちが主戦力!
新たなジャンル、コミカルメルヘンファンタジー!
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謁見の間を出ると王宮のろうかに、フェアリーが飛び回っていた。
「ちょっと!みんな!家で留守番しててって、言ったでしょ! 何してるんだよ!」とぼくが言うと、フェアリーの1匹が「護衛任務よ!」別のフェアリーが「そとにはどんな危険があるか分からないからね!」と言って真面目な顔をした。
「いや、言い訳はいいから! それより来てるのはここにいるだけ?」見回すと辺りに、呼んでないフェアリーが30匹ぐらいいる。
「みんな来てるよ? そとにもたくさん!」とフェアリーの1匹。
「移動するからぼくの家のフェアリーの木の前に集まるように言って! みんなを集めて!」と言いながらろうかや階段でフェアリーとどんどん合流していく。
王宮の外に出るとフェアリー全部来てるのかな?と言うぐらいの、フェアリーで埋め尽くされていた。
「みんな~~! 移動するからぼくの家のフェアリーの木の前に集まって!」と言いながら、お母様に抱っこされて移動する事15分。
家に集まっていたのは、フェアリーが百匹ほどだった。
「フェアリーの木の中で待ってる子たちいないかな?」とフィリオーネに聞くと「ちょっとまっててね!」と言ってフェアリーの木の中に入って行きしばらくして、「いないみたい」と言って出てくる。
仕方ないので待ってる間、魔力の層をたくさんまとうための訓練をしていると「ちょっと!アルヴィン!こっち来なさい!」とお母様に呼ばれてリビングに行く。
リビングに入ると、壁と天井のいたる所にファンシーな花の絵が描いてあった。
「リホームですか? 思い切りましたね、ここまではなかなか出来ませんよね」とぼくが言うと、お母様が「フェアリーたちのイタズラガキよ! こんなリホームするはずないじゃない! 軍の施設なのよ!」と言った。
「まあまあ! これは出来がいいじゃないですか! ラッキーですね!」とぼくが言うと。
「出来の悪いラクガキから優先して、家の周りをまわって消してきなさい」とお母様に言われた。
トボトボと家の外に出ていくと門の右横に“妖精使いアルヴィン爆誕”と達筆で書いてあったので、無言で全身にマナを行き渡らせ石壁用のイタズラガキクリーニングの魔法を作り身体をピカッと光らせて“妖精使いアルヴィン爆誕”を消す。
その右隣を見るとぼんやりと身体を光らせた赤ちゃんの上下左右の周りに5匹のインプとぼんやりと身体を光らせたフェアリーをしたがえて先を飛んでいるインプとこれまたぼんやりと身体を光らせたフェアリーを追いかけている絵が描いてあるので、赤ちゃんに羽は描いてないが石壁用のイタズラガキクリーニングの魔法で赤ちゃんだけ消しておく。
そのまた右隣を見ると2本の木の陰に飛んで隠れている赤ちゃんとフェアリーとインプたちの絵が描いてあるので、赤ちゃんに羽は描いてないが石壁用のイタズラガキクリーニングの魔法で明らかに空を飛んでいる赤ちゃんだけ消しておく。
そのまた右隣を見るとインプとフェアリーが空中追いかけっこをしているのを赤ちゃんが空を飛んで見ている絵が描いてあったので、石壁用のイタズラガキクリーニングの魔法で赤ちゃんだけ消しておく。
そんな感じで不自然に空を飛んでいる赤ちゃんの絵を消して家の周りを1周し門に戻ってきたので、中に入ろうと何気なく右隣を見るとまた“妖精使いアルヴィン爆誕”と達筆で書いてあった。
また無言で“妖精使いアルヴィン爆誕”を消すと「ちょっと!なんで消すのよ! せっかく書いたのに!」とインプが1匹あらわれた。
「イタズラガキは止めて! 出来の悪いイタズラガキから優先して消していくように、お母様に言われてるから!」
「出来悪くないわよ! 達筆じゃない!」とインプ。
「ぼくは名前を売ろうとか考えてないから、こう言うこと止めて!」
「もう! またまた~~~。うれしいくせに!」とインプ。
「ぼくたち、分かり合えないんだね……。まあいいや、それより代筆たのむ事があるかもしれないから、名前教えて!」
「タンポポ! あたいの名前、タンポポ! よろしくね!」達筆なインプ・タンポポ、13才ぐらいに見える身長30.96センチ(人間換算154.8センチ)体重378.4グラム(人間換算47.3キログラム)が答えた。
「それよりインプの中で赤ちゃんが空飛んでる絵がたくさん並んでいるけど、誰が描いたか知らない?」
「あたいだけどなんで?」
「羽は描いてないけど、普通の赤ちゃんは空飛ばないからバレるでしょ!」
「そうなの?でもアルヴィンも描きたいし」
「地面から指示してる絵でいいじゃん!」
「それだと不自然すぎて臨場感がちょっと……」
「そうなの?でも赤ちゃんが空飛んでる絵は止めてね!」
「本人の希望だし、しょうがないか……。じゃあ全部、地上から指示している絵に描き替えるね!」
「よろしく!」と言って家の中に入ると玄関でお母様が、玄関の正面の壁に描かれたフィリオーネのドアップと同じぐらいの大きさの赤ちゃんの絵の前で腕を組んで考え込んでいる所だった。
「これって、フィリオーネが描いたんですか?」
「おそらくね」
「近くにいないと思ったら……。魔法で描いてるんですかね?スピードから考えて。出来の悪いイタズラガキから優先して消していくって話してたから、出来の良いのを描いたんでしょうね」
「おそらくね。それより外の壁はきれいになったの?」
「出来の良いイタズラガキしか残ってませんよ?」
「外の壁のイタズラガキは全部消すのよ? 軍の施設なんだから! イタズラガキを消すのに時間がかかると思っていたから、出来の悪いイタズラガキから優先して消していくように言ったのよ?」
「そうなんですか……。ぼく描き替えの指示までしちゃいました」
「消してらっしゃい!」
「はい」気が向かないがトボトボと門の外に出て、達筆なインプ・タンポポを探す。
「タンポポ!」すでに家の裏側の真ん中あたりまで描き替えていた、タンポポに話しかける。
「なあに?」
「実は言いにくいんだけど、外の壁のイタズラガキはお母様の指示で全部消す事になりました」
「ふ~~~ん? それじゃあ壁画や表札は消されないんだね!」
「いやここ軍の施設だから、外の壁のイタズラガキは全部消すようにって」
「そんなのってないよ!アルヴィン!あなた!描き直しの指示までしたじゃない!」
「それは申し訳ないんだけど、ぼくってまだ赤ちゃんで、発言権があまりないから……」
「そんな……」
「ごめんね!」と言って壁のイタズラガキを全部消していく。
家の裏側の真ん中あたりから家の正面の門のあたりまでイタズラガキを消したところで、90才ぐらいのおばあさんに話しかけられた。
「あの~~。ぼうや、ちょっといいかな?」
「はい、なんでしょう?」
「フェアリーの木の前に集まるように言われてきたのじゃが、この家に生えているのがフェアリーの木かいの?」
「フェアリーの木ではあるんですが、誰に言われてきたんですか?」
「フェアリーたちが、フェアリーの木の前に集まるように呼び掛けていたんじゃよ」
「それはすいません。フェアリーたちがフェアリーたちに集まるように言っていたんです、今度から主語に気を付けて呼びかけるようにしますね」
「そんな! それじゃあ、世界樹の樹液を集めに行けないのかい!」
「世界樹の樹液を集めに行く事って、どこで聞いたんですか」
「なぜフェアリーの木の前に集まる必要があるのか、近くを飛んでたフェアリーに聞いたんじゃよ」
「世界樹の樹液を集めに行くときには、ぼくの身長ぐらいの小さい転移魔法の球って言うか転移門って言うかそれに入らなきゃいけないんです。つまり妖精と赤ちゃん専用なんです。それに世界樹に直接行けるわけではなくて、世界樹の影響範囲のダンジョンの外側に転移して世界樹に向かわないといけないから危険なんです。世界樹の樹液は新しい世界樹を育てるのに使うんですが、あまったら王様に献上する事になってるんです。あまらなくても新しく育った世界樹から世界樹の樹液を集めるつもりでいますから、王宮から世界樹の樹液を買うかもらうかしてください」
「そうかい。赤ちゃんでも世界樹に行けると聞いてわしもと思ったんじゃが、転移門が小さいのかい。それじゃあ王宮から、世界樹の樹液を買うとするかね。そうそう前からある世界樹の樹液と新しく世界樹になった木の世界樹の樹液は、区別して王様に献上するんだよ」
「なるほど、それもそうですね。しっかりビンを洗う魔法もいるかな?装備品を含めた全身クリーニングの魔法でいいかな?」
「ビンを洗う専用の魔法があれば、そのほうがいいと思うね」
「そうですね、そうします。じゃあぼくはイタズラガキを消す作業に戻ります」
身体をピカッと光らせて、イタズラガキを消す。
「こんな良くできた絵を消すのかい? 全部?」
「はい軍の施設なんで、消さなきゃいけないみたいなんです」
「もったいないね~~~よし!王宮にフェアリーたちの描いた絵を消すなと、苦情を入れてやろう!」
「なるほど!フェアリーたちも喜びます! でもフェアリーたちの絵もピンからキリまででして、それにインプたちも少しいるんです。この絵を描いたのもインプなんですけどね」
「なら妖精たちの描いた絵を消すなと、苦情を入れて様子を見ようかね」
「そうしてください」
身体をピカッと光らせて、イタズラガキを消す作業に戻る。
一周して家の中に戻るとお母様がまだ、フィリオーネとぼくがドアップで描かれた絵を見て考え込んでいた。
「外の壁のイタズラガキ、全部消してきました」
「ご苦労さん」とお母様。
「外の壁のイタズラガキを消してたら、『妖精たちの描いた絵を消すな』と王宮に苦情を入れるって言ってるおばあさんがいましたよ」
「そう?それならこの絵も残しておこうかしら?」
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「妖精使いアルヴィン」は妖精たちが大活躍する物語ですが、さすがに第1話から活躍はさせてあげられませんでした。
第3話の最初の戦闘で、どのように活躍するのかのおおざっぱな方向性を。
第8話で、一般的なフェアリーと言う種族のしょうがない可愛さを。
第15話で、飛び回る妖精たちの可能性を。
第18話第19話で、フェアリーの木の種のシャレにならないやばさを。
第20話で、フェアリーたちの純粋さを。
第25話で、妖精の集団によるとびぬけた大物狩りを。
第26話で、ピクシーとインプの秘密を。
第28話で、強すぎる英雄狩りの脅威の基本能力を。
第33話で、フェアリーたちの大活躍を。
第35話で、英雄化した者たちの「世界がバランスをたもとうとする」新たな縁の注意点を。
読んで妖精たちのファンになってくださると、僕もアルヴィンもよろこびます!
第35話で1巻想定分ですが、応援されれば果てしなく続きます!
僕に「妖精使いアルヴィン」を書かせてください!
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