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06 筋交い

 新しく家を作ると宣言したアヤカに、メアリーが崩壊した作業場を指さして疑問を呈する。


「作るって言ったって、また、あれみたいに壊れちゃうんじゃないの?」


「あれは、私が安物で弱いネジを使ったのが原因。それに、今回は強度を増すために、筋交いを使うから大丈夫だよ!」


「……スジカイ?」


「筋交いって言うのは、建物の構造を強くするために使われる方法で、木を柱と柱の間に斜めに入れると、強度が大きく増えるんだ


 アヤカが落ちていた枝で地面に図を書いて、メアリーとミカに説明すると、「なるほど」と納得した様子の二人。

 アヤカは説明を続ける。


「で、この家は木造にするから、木材を用意しないといけないんだけど、効率を上げるために、チェーンソーを使いまーす」


 そう言って、アヤカは、瓦礫の中から機械の部品をいくつか取り出し、机の上に置いて素早くそれらを組み立てる。

 アヤカが組み立てたのは、ギザギザとした刃が先頭部分についている機械、チェーンソーだ。


「はい。完成」

「もう出来たの⁉」


 メアリーがアヤカの手際の良さに驚きの声を漏らす。


「うん。試しに、動かしてみようか」


 アヤカが、チェーンソーの手持ち部分のスイッチを押すと、チェーンソーからブルンブルンとい音がして、刃が高速で回転し始める。


 そして、アヤカが近くに立っている木に刃を入れると、豆腐を切る包丁の如く滑らかに木を切っていき、数秒で木が倒れた。

 それを見ていたミカが拍手をする。


「凄いですわ!アヤカ!」


「ありがとう!これで森の木を切って、トラックで運搬すれば、作業効率は凄く高くなるよ!」


「……トラック?」


 メアリーが聞いたことない言葉に、また困惑する。


「そっか、メアリーはトラックをまだ見たことなかったね」


 そう言って、アヤカがメアリー達を崩れた作業場の横に連れていき、トラックに被せてあった布を取り、トラックのその全貌が露わになる。

 アヤカがトラックのドアをポンポンと叩き、メアリーに紹介する。


「これがトラック。馬車より二倍くらい早い乗り物」


「へぇ……倍ねぇ~……二倍!?」


 馬車の二倍の速さで走る乗り物など、見たことも聞いたこともないメアリーは口をぽっかりと空け、立ち尽くす。

 アヤカはそんなメアリー後ろの平原の奥に沈みかけている太陽を見て、今日の作業はここまでで切り上げることにした。


「もうすぐ、陽が沈むし二人共今日は解散してまた明日から手伝ってもらっても良い?」

「別に……良いわよ」

「もちろんですわ」


 こうしてアヤカは、二人とまた明日会う約束をして別れたのだったが、寝ようと、ベッドに向かった際に自分がとんでもなく重要なことを忘れていたことに気づく。


「あ……私のベッド、瓦礫に押し潰されたんだった」


 その夜は泣く泣く、トラックでの車中泊を余儀なくされたアヤカであった。

改稿履歴

・チェーンソーの製作過程を簡略化しました。(2021/09/23)

・一部地の文を修正しました。(2021/12/27)

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