マイフェイス
アツ………イ……
あっつい!!
体が、焼けるぅぅうう!!
僕:「ぐぁあ………!ッ…………ハッ!」
最悪の目覚めだった。
顔が焼け焦げるかと思った。
というか今も顔が熱を帯びてるんだけど!
なんで…………
ふとさっきまで寝ていたベッドを見ると、枕元あたりに日光が差し込んでいた。
窓からそれはもうギラギラと差し込んでいた。
僕:「カーテンは閉めておかないと駄目だよ!!日焼け防止の基本!」
そう叫びながらカーテンを閉める。
はい、薄暗くなりました。
それじゃあ、もう一眠り…………
ベッドに再び横たわって、夢の世界へ…………
…………………
僕:「…………ちゃう!!寝たらあきまへん!!」
昨日色々あったの思い出した!
ぐーぐー眠ってる場合じゃない!!
えっとまず…………まず…………なんだ?
そうとりあえず!!まずは…………着替えよう!!
まあ!なんということでしょう!!
すぐそこに都合よくクローゼットが!
僕:「失礼しまーす!」
ガチャリとな…………シロッ…………
何が白いのか?
服が白いのだ。
白くてふわふわ〜、ちょっぴりフリルもついてる〜。
僕:「お子様向けコスプレ衣装…………だと!?」
あのじじ……パワハラ公爵、そんな趣味が?
それともこれがここでは普通の服なのか?
……えぇ〜?これ着るの?ちょっとメルヘンチック過ぎるような……
とかなんとか言いながら、結局着た。
僕:「サイズ小さいと思ったんだけど、寧ろちょっと大きいぐらい……」
もしかしなくてもやっぱり、生前より体格が小さくなってる。
前と同じ体な訳はないよね、流石に…………
本当なんなんだろう、この体。
何かの魔術?ゼオくんも何か言ってた気がするけど…………
考えたところでわかりっこないね、やめよ。
なんか前も似たような結論になったことがあった気がするけどまあ、仕方ないよね。
それよりももっと重要な事案があるし。
今、僕にとっての最重要事案、それは…………
僕:「顔だよ!顔!!」
いい加減僕は!今の自分の顔を見ないといけない!!
鏡何処だ!!?なんでこんなに鏡が見つからないの!?
ブサメンなのか?ブサメンだから見ない方がいいってことか?
だとしても!!僕は耐えてみせる!
人は外見ではないと証明してみせる!!
だから鏡を寄越せぇええ!!
僕は漁った。
部屋中探しまくって、ようやく手鏡を一枚見つけた。
手鏡一枚のために、昨日住み始めたとは思えないほど部屋は凄惨な状態に変わり果てた。
まるで空き巣に入られたかのような…………
しかし!
そこまでした価値はあった!!
いざ!いざいざ!!
僕:「控えおろう!これが僕のご尊顔だ〜〜!!」
はいはい………はいはい…………はい…………
お肌もっちり、うる艶スベスベ………………若!
骨格は元の僕の顔寄りな気がするけど、肌の引き締まり方が違う…………
僕:「ん?え、目が………」
オレンジ、いや琥珀色?
綺麗…………あ、狼の瞳か!!
そういうところは忠実なんだね。
あれ、髪の色が…………黒かと思ったら灰色?
光の屈折で薄く見えるだけかと思ったんだけど、薄。
脱色しちゃってる…………ほとんど白髪だね。
僕:「色が色だからだろうけど、目力やばいな。けど、意外と可愛いのでは……?」
顔全体を見てみると、口と鼻は小さく、目は大きくて、まつ毛も長い。
あどけなさを強調したメイクをしている気分だ。
普通にかわええ。
顔つき自体は元の顔のちょっと幼いバージョンなのに、こんな変わる??
これなら美少年名乗れるわ。
僕:「ほえ〜、かわええ〜…………」
自分の顔面が思ったより良くてテンションが上がっていた僕だったが…………
それはそれとして、いい加減現実逃避をやめなければと思い始めた。
……………………どうしよう。
時間稼ぎ終わっちゃった。
誰も来ない!!
なんで!?
いやだよ!昨日あんなことがあったのに外に出るなんて!!
そう、今までの茶番は全て、部屋から出たくないがためにとった行いだったのだ。
絶対に外に出たくない。
引きこもりじゃなくて普通に命の危機を感じる!
それに出たって迷子になるだけだし!!
…………ちょっと待って、落ち着こう。
なんか記憶が曖昧だ。
えっと昨日、変な女の人に襲われて、逃げて…………で、それから…………
それから……?
何だっけ?思い出せない。
何処かに行こうとしてた気はするんだけど…………何か大事なことを忘れてるような…………
え、なんだろう?全然思い出せない。
あの後、部屋に戻った………?そうだっけ?違うような…………
僕:「んん〜〜??」
わからない!
何だかわからないけど、わからないのが怖い!
思い出さないといけないような気がする!!
僕:「う〜〜〜ん………」
しかしどうしても思い出せず、頭を悩ませた。
そこへ…………
コンコン。
扉がノックされる音が聞こえてきた。
これは、どっちだ?
開けてもいいのか、駄目なのか。
もし扉の前に昨日の女性がいたら…………
僕:「ど、どちら様ですか?」
カルネ:「カルネです。えっと…………メイ、レア・アーデンさん?経緯は存じ上げませんが、今日からアルシエラ様の侍従見習いとして勤め始めるのですよね?旦那様からそのように伺っております。だというのに!いつまで寝ているつもりですか!早く支度なさい!!」
思ってたのと違う。




