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猛獣の化け方ガイド  作者: 水蛍
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窮地でこそ、頭は働くのだ!

定期報告:作者多忙につき、更新激減。できる範囲で努力する所存。

違う、これは違う。

これは今じゃない。

僕は、今…………


……………………アツッ!

熱ッい!熱い熱い熱い!


真っ暗だった視界に赤色の靄が映った。

ゆらゆら蠢いているそれを見ていると、熱いはずなのに寒気がした。


嗚呼、そうだった……

さっきのは夢か。

ヤバい……燃える……

逃げないと。


必死に逃げようとしたが動かなかった。

上にのっている瓦礫のせいだ。


僕:「ハッ……ハッ……」


身体中が痛い。

あとなんか感覚がおかしい。

…………どっか潰れた?

…………頭じゃなくてよかった。

いやでも、状況最ッ悪。


周り燃えてるし、上には瓦礫のってるし、窒息、圧死……

気絶してからどれくらい経った?

建物の中にいる人は……

そうだ、さっきの人は…………瓦礫の中からじゃ見えないな。

もしかすると僕と一緒に巻き込まれたかとも思ったけど……

今はわからないから保留。

今すべきは…………ここから出ること。

今までみたいに考えなしに行動は出来ない。

落ち着いて…………

……………………


叫ぶー此処に来るまでに大分走ったけど人には会わなかった。多分近くに人はいない。


自力で抜け出すー無理だ。重すぎる。動けたとしてもすぐに崩れてくる。


此処で耐え凌ぐー瓦礫には木も含まれてる。燃え移るし、そもそも耐え続ける体力ない。


浮遊少年ー論外。


あと、あと何か……何か……


必死に朦朧としながら思考を巡らせた。

助かる可能性を無理やり引き出そうとした。

そして…………


あ…………


転移ーやり方知らない。


…………いやでも、一番生存の可能性が高いのでは?

僕は所詮ペットだし、小さいから見つけてもらえるとは限らない。

なら助けを待つより、自力で脱出するほうが……


転移、転移…………この間みたいにいきなり別の場所に移動するんだよね。

漫画でもよく見る瞬間移動って感じで。


浮遊少年(回想):(魔術の基本は理解と想像力だ。)


理解って言ったって、人間のテレポーテンションなんて地球でもなかったよ?

地球にいらっしゃる僕なんかより全然頭のいい科学者さん達とかでも出来ないような芸当を、この僕にやってみせろって?

無茶振りすぎでしょう。


…………でも、出来たんだよね。どうしてかはわからないけど、あの時偶然。


その時、浮遊少年の言葉が頭をよぎった。


浮遊少年(回想):(お前、魔術を使ったことがあるだろう?)


いや、ないってば。


…………あの時、僕はどうやって移動した?

思い出せ、今すぐに。

あの時火で追われて、気づけば目の前は空中。

焦ってた。

あと、転移をやってみようとしていた。


浮遊少年(回想):(お前は俺が風で吹き飛ばした時の位置にまで移動していた。)


そうだ、あの時そう言ってた。

どうしてあんなところに移動した?

あの時何があった?

転移した時だけじゃない。

風で吹っ飛ばされた時のことも…………何か手掛かりが……


浮遊少年(回想):(魔術の基本は理解と想像力だ。)


浮遊少年(回想):(火なら、熱や、気体や、色なんかでもいい。それを理解して覚えていれば、再現できる。)


!!

理解と想像力、そして、再現!!

そうだ、そういえばそんなこと言ってた。


瀕死であった筈なのに、いや、だからこそなのか、頭がよく働いた。



多分ここで言う理解は体感して得たもの、そのものだ。

そしてきっと、想像力っていうのは魔術発動においてもう一つ上の段階だ。

基盤は理解と、()()だったんだ。


浮遊少年と初めて会ったあの日、()中に吹っ飛ばされた。

そして、真っ逆さまに落ちるまでの間に、ほんの一瞬、僕は(それ)を感じていた。

あの時、一瞬であれど僕はその場の()()を理解したんだ。


そして偶々近くにいて、その時感じた浮遊感を思い出し、再現した!!

それが、転移の魔術発動のトリガーだった!そうに違いない!!



一気に答えに近づいた気がした。



思い出せ!あの時、空に放り投げられた時の、足場も何もない浮遊感を!!空間を!!

早く、早く!!燃える前に!!


また一つ瓦礫がパラパラと崩れる音がした。

もうあまり時間はない。


目を閉じて集中した。

魔力が何だのはこの際考えない。

だって出来たんだもん。


集中して、あの時感じた空中、空間を思い出せば、絶対できる!!


できる限り鮮明に思い出そうと頑張った。

吹っ飛ばされた時の体感を、空を、全力で思い出そうとした。

そして…………


僕:「え……?」


落ちていた。

丁度この高さを思い出していたから、当然といえば当然。

結果としては成功。

その後のことは何も考えていない。


僕:「んなああ!?落ちる落ちる死ぬ死んじゃう!!」


何度も何度も、下へ真っ逆さま。

二度あることは三度あると言うがその通りだ。

これで落ちるのはきっちり三回目。

そして……


僕:「グッ……!?イッタァアア!?」


浮遊少年に掴まれて助けられるのも三回目。

ただし、今回は尻尾ではなく、足。


……………………ん?え、足…………?


浮遊少年:「##、########?」


おっわ浮遊少年きた。

え、いや待って、それどころじゃない。

この流れはもう三回目だから、浮遊少年はいいとして。


…………え?僕、何で、素足?

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