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猛獣の化け方ガイド  作者: 水蛍
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急(?)展開

窓から陽光が差し込んでいる。

その陽光が部屋の中で光と影の境目を作り、ちょうどその境目に人がいた。

ゆっくり近づいて来て、それに連れて光と影でぼやけていた姿がだんだん鮮明になっていく。

まるでホラー映画の様。


………………え…………え、え……っえ?


僕は全身が硬直していた。

最近色々ありすぎて人間不信になっているせいか、それとも近づいてくる人が単に怪しくて不気味なせいか…………

おそらくは後者。


ふらついているし…………


近づいてくる人:「…………………………」


何も言わずに近づいてくる。

おぼつかない足取りで、ゆっくり…………

そうして寝転がったまま硬直して動けなくなっていた僕の頭上までやって来た。


…………ん?あれ、待って。この人って、あれ!?


次の瞬間、やって来た人は僕に…………爪を立てて襲いかかって来た。


…………え、ちょちょちょなんだなんだなんだぁ!!?


僕は持ち前の反射神経でバッと飛び起きて、かわした。

スカッと僕に向けられていた爪が僕の毛並みを掠れ、床に当たった。

痛そうだ。


襲いかかってきた人:「…………………………」


な、なんか知らないけどひとまずッ……!


僕は急いで距離をとった。


…………


襲いかかって来た人はクルッと方向転換し、真っ直ぐに僕の方へやって来る。

まるで獣の様な目をして、それはもう荒々しく。

…………こっわ。


いやいやいやいや、獣の僕より獣っぽくて怖いって何だぁあ!?

怖すぎぃぃ!!喰われるぅう!!


僕は直様逃げた。

急いで扉の方まで行き、部屋の外に出た。(※扉は開けっぱなしだった。)


その時、幼児の姿が視界に入ったが、全く気づいていない様だった。

ベットの上ですやすや気持ちよさそうに眠っていた。


ッッッ!!もう!!なんでここにはこんなのばっかりなの!?

蹴り飛ばすガキんちょに引きずり回すガキんちょ!!次は異常者だぁ!?


僕はこんな時に、逃げ回りながら心の中で愚痴を吐いていた。


…………ていうか()()!!

あの人って、この間僕が庇った、瀕死だった人だよね!?

何で此処にいるの!?もう動けるの!?何で追って来るの!?…………いや、それともただのそっくりさんとか!?


わけもわからず僕はひたすらに走った。

最近夜中にもよく歩くようになった廊下だが、全く道は覚えていない。

僕が馬鹿なのもあるし、単に広すぎるというのもある。


僕:「ハッ……ハッ……!」


襲いかかってきた人:「………………ッ………ッ……」


だいぶ疲れてきた。

僕も、追ってきてるあの人も。


走りながら顔を後ろに向けた。

やっぱり、浮遊少年に蹴り殺されそうになってた人だ。

間違いない、と思う。


…………何故僕を追いかけてくるんだ!?僕恩人なのに!人じゃないけど!


襲いかかってきた人:「ッッッッ…………ッッ……………………」


僕:「ガァがガガーー!!」


誰かー!使用人の人!!組長風おじいちゃんでもいいからぁ!!

タースーケーテー!!


大分息も上がってきた。

ヤバい、暑い!!

物凄い疲れるし、物凄いあつ…………へ?


今の今まで気付かなかった。

四足歩行だから?

それとも必死に走ってたから?

それはわからない。


というか今はどうでもいい。

不味い不味い不味いぃぃィィィィ!!


ももももも、燃えてるぅぅうう!?


火が回っていた。

走った先にあった部屋から火が漏れ出ていて、床や壁に……

何故!?


火事だーーーーー!!

電話電話119番!!


僕はその場で慌てふためいた。

そして追いつかれた。


僕:「ガッ……!!」


襲いかかってきた人:「……………………ッ」


爪で引っ掻かれて吹っ飛ばされた。

火が立ち上っている場所に。


僕:「ギャァアアアアア!!」


アッツあっつい熱々熱々熱いいい!!!

無理無理無理いやああああ!!


毛に火が着いて、全身に火が回る。

熱くて熱くてのたうち回る。

毛だけじゃない。

皮膚が燃える感覚がする。


僕は急いで火が着いていない場所まで移動した。

それでも火が消えなくて、転がって、のたうち回って漸く火が消えた。


僕:「ハッハッハッハッ…………アガ、ア!!」


襲いかかってきた人:「……………………」


………………ッッ、こんの、ッッ……!

よ〜く〜も〜、やっったなぁぁああ!!


僕:「ガァアアアアア!!!」


僕は怒りのあまりその人に飛びかかった。

しかし、蹴り技で難なく吹っ飛ばされた。


襲いかかってきた人:「ッッ!」


僕:「……ッガ!」


壁にぶつかった。

後ろにある窓ガラスが割れて、僕は床に落ちた。

今度は火がまだ着いていないところに落ちた。


……………っ、燃えて、ない。


思ったよりも弱い蹴り。

というか、浮遊少年のあの蹴りが強すぎるから、大したことない様に感じてしまう。

けれど、あの体勢からあそこまで綺麗に決まってしまうと流石に痛いだけでは済まないようで。

一昨日の夜中、半殺しにされたこともあり…………


僕:「………………ウ、ゴエッ!!」


傷口が開き、吐血した。


襲いかかってきた人:「……………………」


吐血した僕に直様近づいてくる。

非常に不味い状況。

ヤバい…………!

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[一言] 浮遊少年かと思ったら新人物登場でドキドキ
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