急に変わった……?
僕:「ウゥ…………」
ゆっくりと目を覚ます。
すると薄暗い部屋の中。
まだ朝ではない。
……………………ッ痛……
そして腹部から感じる僅かな痛み。
瞬間、すぐさま僕は思い出す。
あの……………ふわふわ浮かんだ……………恐ろしい悪魔のことを……………ぅ、うわあああァァあああ!!!?
そしてそのトラウマが目の前にいる。
浮遊少年:[煩い!頭に響くんだよ!!やめろ!!!]
ひっ……!
わわわわわ、怖い怖い怖い怖い怖いぃぃぃぃぃ!!
浮遊少年:[さっきまでの威勢が嘘のようだな。少しは見直してやったというのに…………]
…………あれ、僕…………あれ、死にかけてたような…………?
浮遊少年:[俺が治してやった。]
へ!?な、治し……!?
もしかしてそれも魔術的なアレですか!?
…………でも何で……………………
浮遊少年:[よくよく考えれば、お前に死なれると疑問が多く残る。それに………………少しばかりお前の考え方に共感を覚えた。]
え……………あ……………
や、ヤッベー…………色々言ってしまった。
いや口にしたわけではないのだけど…………
浮遊少年:[言っておくがお前に気を許したわけではない。ただ、今回は俺に非があったと感じた、それだけだ。]
…………?それってつまり…………
浮遊少年:[悪かったな。]
…………え……………………謝っ、た?この、聞かん坊が?
浮遊少年:[全部聞こえている、と言った筈だが?]
僕:[へ!?す、すみませんすみませんすみません!!!]
て何で謝ってるの僕!?
散々蹴られたのは僕なのに!
危うく殺されるところだったし!
それなのに何で僕がこんなペコペコと………
浮遊少年:[蹴ったのは俺だが治したのも俺だ。何か問題でも?]
その時、無言の圧が僕に反論を許さなかった。
僕:[イイエ、ナニモモンダイアリマセン。]
やっぱり怖い。
絶対子供の皮を被った殺人鬼か何かだ。
…………………………………………………あ!
僕:[あ、あの…………あの人は何処に!?]
さっきあの人がいたところを見る。
けれど誰もいない。
浮遊少年:[上だ上。]
…………上?
僕は首をグッと曲げて上を見た。
すると部屋の天井近くに浮かんで………………何あれ!?
な、なんか透明でウニョウニョした変なものがあの人の体に…………!?
浮遊少年:[栄養分を胃に直接送り込んでるんだよ。]
え…………
浮遊少年:[…………これが何なのかは兎も角だ。普通の人なら助けて当然、なんだろう?]
……………!
な、何だ……………もしかして、改心した!?
僕:[は?何を考えている?俺に命令したことも暴言を吐いたことも許してはいないし、お前もコイツも邪魔な物であることに変わりはない。]
じゃ!?しかも物扱い!?
やっぱりぜんっぜんいい子じゃない!
浮遊少年:[しかし、さっき言った通りお前の考えに少し思うところが俺にはあった。だからコイツは助けてやる。]
おお…………マジか!やったぁあ!
は〜、そっかそっか、よかったぁ〜。
…………………………………………………
ウニョウニョしてる……………………これも魔術?
僕:[これ、大丈夫なんですよね?]
浮遊少年:[コイツはただの栄養失調だ。が、もう自分で噛むことも飲み込むこともできない程に弱っている。よって俺が体内に栄養を送って無理やり活動させている…………わかったか?]
あ、はい。
これは…………管とかは見えないけど病院とかでやるあの、経管栄養的なやつか。
すごい…………これも魔術!
浮遊少年:[……………………さて。]
ん?何?……………って、イタタタタタタタタッ!!!?
尻尾イッタァァ!!
僕はこのもこもこの尻尾をグワッと引っ張り上げられた。
ダァーーッ!このくだり何回目!?痛いんだよこの持ち方!!というか持つなぁあ!!
浮遊少年:[さっきも言った通り、俺はまだお前を許したわけではない。]
うぇ!?そ、そんなぁ、もう勘弁してくださいよぉ!!
浮遊少年:[俺は殺すつもりでお前を蹴っていた。そして、お前の見た走馬灯にあてられた。お前の言葉に妙な説得力を感じてしまった。]
え?…………それは、どうもありが、とう?
浮遊少年:[つまりだ。お前が俺に伝えた空想の世界の話もあながち全くの嘘ではないのかもしれない、そう思ったわけだ。]
ん………………?




