良かれと思い
現在、僕は疑問にぶち当たっている。
まず、どうしてここにいるのか。次に、ここで生きていくしかないのか。
これは夢じゃない。だって痛いし、不味いし……
転生したのは今はどうだっていい、考えてもわからないだろうし。
問題は生活だ。あの食事はヤバイ。
焼いたりでもしないと、食えたもんじゃない。
とりあえず火だ。薪、はないんだっけ?枝を探そう。
毒物を食べて死にかけの体を必死に、プルプル、プルプル、プルプル……
た、立てたー!!立てました皆さん‼︎
「ふぅ」
よし、レッツゴー!
………………………………………その行手を阻む母。
退くんだ!どかないと僕は死んでしまう‼︎
というか貴方に殺される‼︎
は?何、戻れって⁉︎
「ガーグ!」(やーだ!)
「ガウゥゥゥ……」
「ガーグ‼︎」(やーだ‼︎)
そう何度も言うと母は諦めたような顔をした。
いや表情なんて分からないけど。
ほーら、さっさと退くんだ、ボスママよ。
お、なんだ?まさか子供と決闘なんてしないよね?
…………痛‼︎……………………え?
驚くのも無理ない。
親狼は僕の後ろの首根っこを噛んで持ち上げやがったのだ。
あー!!痛い‼︎離せ‼︎
「ガウ‼︎ガウガウ‼︎」
くぅぅ、ダメか。
嗚呼、もしかして大きくなるまで出れないの?
なんて過保護な母親だよ。
もういい!好きにすれば‼︎
暴れるのを止めると親狼は……え?待って何を………ってうわぁぁー!!?
「ギャンギャンギャンー‼︎?」
この母親‼︎息子咥えて走り出しやがった‼︎
いーや!!絶叫系ムーリ‼︎ムーリ‼︎
降ろせ‼︎降ろせ‼︎降ろせ‼︎
「ガウガウガウ‼︎」
そうやって暴れると母はさらに加速した。流石、僕らのボスママ‼︎
………………………………………………………………………あ、一瞬飛びかけた。
気が動転し始めた頃、どうやら目的地に着いたらしい。
……………………………………っは!ここは何処?私は誰?
いや違う、後者は別にいい。ここは何処?
おい、ここは何処だマイマザー‼︎
「ガググウ‼︎」
おーい‼︎無視するんじゃない‼︎
何平然としてるんだ‼︎息子を噛んでこんなところまで突っ走りやがって‼︎!
おかげで首根っこがとんでもなく痛いんだよ‼︎
……………ん?なんだ物音が……………
親狼の見ている先と、物音の先、そこにいたのは……………馬?