僕、吹き飛ばされる
ぬ、抜ける、尻尾が、抜ける………
尻尾を引っ張られるとこんな感覚なのか………
[…………行ったか……]
!!?え、いっだァァァ!!
僕は幽霊少年にゴミのように投げ捨てられ頭を打った。
……っ……っ……ッ〜!!
[ん?ああ、悪い、つい……]
つい!?聞きましたか!?ついですって!
人の尻尾を引っ張った上に床に投げつけておいて……!!
……まあ、匿ってくれたし大目に見よう。
それで此処は…………二階?
複雑な形の手摺がある。隙間からはさっきの場所が見えるし……
[さて珍獣、話の続きをしようか。]
………………は?
え、今珍獣って、え?
いやえ、そのあー、その、えっと……
[…………珍獣って呼び方はやめてもらえませんか?]
切実だった。
だって、流石に珍獣はない。
何というかすごくショック……
[珍獣でないなら何だというんだ?……家畜か?]
…………………………「ッチ」
やば、舌打ちしちゃた。
でもまあ、これは目の前にぷかぷか浮いてる天に召された哀れで生意気で無職の不審者たる厨二病系死亡患者のせいだから仕方ないよね!(怒)
そうだよ!家畜なんて罵られたんだから仕方がないんだよ!舌打ちぐらい!
「ッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッッッッッ!!」
[その耳障りな音を鳴らすのをやめろ、鬱陶しい……]
はぁぁぁぁぁァァあ?謝ってもこないで更に罵倒ですか?
あー、嫌い、この人嫌い。
生まれ変わって初めて会話したのがこんな傲慢な人なんて……
……人、だよね?……幽霊ではなさそう。
まあ、普通の人間でもないだろうけど。
空中浮遊しちゃってるし………………飛んでる分余計に見下されてる様な気がする。
ムカつく。
あー、ムカつく。
[いいから早く、先程のお前の話を端的にまとめて説明しろ。]
[…………はぁ〜?それが人にものを頼む態度ですかぁ〜?]
ふ、まあ僕のことを珍獣だの家畜だの言ったことを謝るんだったら……
…………キィィィ…………
ん?何の音…………!?
浮遊少年を見た瞬間、彼の掌に不可思議な何かが集まっていると直感した。
周りの本棚がガタガタ揺れる。
[随分調子に乗っているようだなぁ?……たかが獣の分際で……!]
…………え?ちょっと、何、え!?
少年が手を振り上げた直後、僕の体は宙へと浮かんだ。
いや、どちらかと言えば放り投げられたと言ったほうがいいかもしれない。
[グワわわわわァァァァァああああああ!!ちょっと待って!!ちょっと待って!!]
嘘嘘嘘!!何処まで飛ぶの!!?高ッ、速ッ……!!
……………………るぇ?って、アアァァァァァあああああああ!!
放り投げられ数秒後、急激に落下した。
高いいぃぃぃぃぃ!!オーチーテールー!!!!!シんジャうーーーー!!!!
「ギャガァァァァァァァァァ!!!」
目と鼻の先に、床…………あ、死、ぬ…………
その時、尻尾が思いっきり掴まれ落下が止まった。
「グアぁ!!!?」
いッ……たぁぁぁ………!!
[安心しろ、軽い冗談だ。だが俺に対する態度にはもう少し気をつけることだな。さもないと…………ん?]
「……………………」[……………………]←意識喪失
僕は既に気絶していた。




