母だからこそ
怖い怖い怖い怖い怖い。
そんな不味そうなお肉を……いや、狼だしね。
って、いやいや、これはそれだけで片付けていい問題ではありません。
「キャンキャン!」
ねえ、聞いてる?お腹壊すよ⁉︎
兄弟達、無視!!
ふん!しーらない!!(怒)
まあ動物だもんね!そのぐらい平気だよね!(怒)
………はぁ………落ち着け僕。そうだよ、この子達は動物だよ。
仕方ないのだよ。
けど僕は元人間だからね。こんなものは食べられません!
許しておくれ、我が兄弟。
………待て待て待て、僕は何食べるのさ‼︎?
ええ?ええええええええ??
「ズズズ」
ん?なんだこの引きずるような音は………?
あ、親狼さん。え?何?食べろって?
僕を見つめながら肉を押しつけてくる親狼さん。
謹んでお断りします。
では、さらば!
僕は洞窟の奥に向かおうとした。
しかし、「ゲフッ⁉︎?」
お、押しつけられている⁉︎なんて力‼︎幼児虐待だー!!!
イダイ、イダイ、離して……
な、中身が……
「うぇぇ」(吐いてはいない)
そして母は目の前にさっきの肉を置く。手を退かせ、手を。
お母さん!それでいいのか‼︎
うぇ、やめて。口に突っ込まないで。
「ムー!ムームー‼︎」
ヤバイ、食べそう……
く、臭!
肉の匂いのあまり鼻を摘んでしまった。
ハッ!!口が……
グゴッ!!……………………………………
目の前では母が僕の口を塞いでいる。
不味い不味い不味い不味い不味い‼︎‼︎‼︎
それから数分後、僕はゆっくりゆっくり食べ始め、数十分後に食べ終わった。
気持ち悪い。よく気絶しなかったもんだ。
ああ、腹立つ。
ッメッチャ腹立つ。
そのうえ兄弟達は気持ちよさそうに藁の上で寝ていやがった。