扉
うんとこしょ、どっこいしょ!
…………何をしているかって?椅子を引いているのだよ!……口でだけど。
いや〜、危なく寝過ごすとこだった。
折角檻の外にいるんだから色々やらないと損!
という訳でこれからこの部屋の外に出るのだ!
ドキドキ、ワクワク、屋敷の冒険(探索)の始まり!!
……で、最初の難所が此処……
僕の目の前に聳え立つ物凄く大きな木製の扉。
勿論普通の大きさの扉なんだろうけど、今の僕から見ると……ゾワッとする。
これを開けるために椅子を運んでいるのだけど、開けられるかな?
持ってきた椅子を扉の横にピタリとくっつける。
因みに、僕が持ってきたのは手頃な小さい椅子。
多分ベットで寝ているあの子用の…………いや、違うかな?あの子の椅子にしては小さいような……
……とにかく!丁度いい椅子があったんだよ!
決して大きい椅子を運ぶことができなかった訳ではない!
……さてと、ジャンプ!!!「ホッ!」
僕は椅子の上に向かってジャンプして…………あっさり乗れた。
ほっ!とと……僕って割と脚力ある?……………………
ええい!そんな事はどうでもいい!
いざ!自由な外へ!!
僕は取手に腕をグッと伸ばした。
ふぐぐぐ、ふぐぐぐ……!
伸ばした。
ふぐ、ぐぐぐぐ……!
伸ばした。
ふぐぐ、ぐぐぐぐ……!
伸ばし続けた。そして……
…………………ダメだ、これは。
もうこれは必殺技を使うしかない………必殺、もう一回ジャンプ!!「フンッ!」
と僕は勢いをつけて再び跳んだ。
そして、これもまた案外楽に届いた。
…………けれどもここで問題発生。
……やばい、そうだった。僕、手が、指が短いから………お、落ちる………!
落ちる落ちる落ちる落ちる!!できると思ったのにやばい!!どうしよう!?
必死にしがみついてるけど、今にも取手から手が滑り落ちそう!
……くっ!…あ、後は、扉を開ける、だけなのに………!
いや、まだ大丈夫。踏ん張れ僕!体を揺らせー!!
「グガウガウガウッ!」
僕は扉を開けるために体をぶつけまくった。
開けー!開いてー!早くしないとあの悪魔が起きるー!!
「####……」
寝息がまた聞こえた。
やばいやばいやば「ア……」
取手から手が滑り落ちた。
嗚呼!!明日こそは必ず開ける!!!
待ってろ外の世界ーーー!!!
その時、ガチャッ………と目の前で扉が開いた。
………………………………え?
落ちた後、唖然とした。
けれど、すぐわかった。
………………あ、外開きだったんだ。
………誰もいないから別にって思うけど、ちょっと恥ずかしい。




