玩具部屋
「ワッ!ガガ!?」
え!?嘘、嘘だよね!?幼児が何でこんな重そうな檻を持ちながら走れるの!?
しかも速い!ヒュってした!何かヒュってした!
あのジェットコースターとかでなるやつ!
僕が大袈裟に感じてるだけかもしれないけど……
ていうか何で走り出したの!?何処につれてかれるの!?
只今絶賛混乱中。
とそこで部屋の扉が勢いよく開けられた。
バタン!!!と大きな音が扉から鳴り響いた。
わっ!え、何……
音の大きさに驚いたけど、直ぐに部屋の中に目が行った。
…………恥ずかしながらちょっとだけ胸が弾んだ。
扉の向こうに広がっていたのは……おもちゃ部屋の様な雰囲気の空間。
結構リアルなお城と町の模型がある。
御伽の国みたい……
部屋の中では子供は走らなかった。
トコトコ、トコトコ部屋の壁際まで歩いた。
檻がゆっくり降ろされた。
ん?んん?お、降ろされた?降ろしてくれた?
どうしたのかわからないでいると幼児はにっこりとした笑顔を作った。
可愛い……のだけど、怖い。
怖いです、もうご勘弁ください。
幼児は僕から見て左の方へ駆けて行った。
左の方で何かを探しているみたい。
……いや〜な匂いがぷんぷんするんですが?
もう、いきなり走り出すし。
まだ食事中だと思ったのに!全く……
若干イライラしてきた。多分、若干……
で、ここは何処?
…………はい、キョロキョロ……
あれ?この部屋意外と広い?
お城や町、鳥の模型やコレクションケース……
それに本棚とおっきなボンボン時計……
木でできているものが多い。
一見すると狭くて秘密基地みたいだけど……
割とだだっ広い。
……あ〜、この子専用のおもちゃ部屋かな?
なかなかに味わい深い、いい部屋ですね。
模型マニアの部屋みたい……
あ、戻ってきた。両手に人形を持って……
何で……?
「###########、############!」
…………渡された…………
「##############!」
……遊び相手になれってこと?
いや〜、僕は残念ながら物は握れないんですよ。指が短くて……
お人形遊びなら大人の人にでも頼んだら〜?(半ギレ)
「##############!」
……子供嫌いになりそう。
僕は仕方なく人形を両手で持った。両手でね。
うん、立てなくなった。
……あー、イライラする。
寝転がって持ってるから首が痛いし、腕も痛いし。
えーと……はーいお姫様ですよー。
僕は与えられたお姫様の人形を両手で動かした。
「#########!」
キャッキャしながら何か言ってる。
この子が持ってるのは……何あの、騎士?黒い騎士?悪役っぽいね。
「############!」
また何か言ってる。
笑ってる時はすごく愛らしいのだけど……




