窮屈で退屈
え?うわ、おっとっと。
檻が持ち上げられる。ゆらゆら揺れて酔いそう。
僕に首輪をつけた男は檻を重そうに持ちながら運んでいった。
古めかしい倉庫と思われる部屋の扉を開くと、男は荒っぽく檻を下ろし、怨言でも吐いているかのような様子で出て行った。
………実際吐いていたんだと思う。
何だか、ちょっとだけその姿が痛ましく思えた。
とはいえ、人のことは気にしていられない。
さて……………何をしようか。
迷いを捨てて売られることにしたけれど、その間どうしよう。
ただボーッと待っているだけ?何もできないし。
………そういえば、他の二匹はどうしたんだろう?
一緒じゃないのかな?あ、大きさとかで分けてるのかも。
大きさといえば親狼はさっきいなかったけど。
まあ、あの巨体を捕まえれるわけないか。
………助けには来てくれないだろうね。
ここだけの話、檻を壊せるかもなんて考えたのは僕があの怪獣の子供だったから。
まあ?馬もどきも倒しましたし?檻ぐらい余裕なんじゃない?って感じで。
調子に乗ってました、すみません。
………あの親狼何してるんだろう。
あと、あの石どうなったんだろう。
不審者については知らん。怖いし。
………まあ、気になるけどわからないし、忘れよう。
………………暗いね。うん、暗いね。
ぼっち、ボッチ、botti、寂し〜‼︎
はぁ、あんな狼共でもいなくなると妙な感じだ。
誰か〜、いませんか〜。
………ここから出たいなぁ。
確かに運動なんてしてなかったけど、あの親狼の子供ならもうちょっとぐらい怪力でもいい気がするんだよ。
神様〜、仏様〜、雷様〜、どうにかなりませんかー‼︎
辛いよ〜、臭いよ〜、埃っぽいよ〜。
「ゴホ、ゴホッ」
目を瞑ろう。
もう随分寝た気がするけど、寝よう。
おやすみ。
(しばらくして)
「ファァア」←あくび
おはよう………おやすみ。
………寝れない。
(さらにしばらくして)
大根おろし、島、マラカス、スイカ、鴎、メダカ、カンガルー、牛、鹿、カエル………
(それから)
団子、ゴリラ、ラッパ、パンダ、団子、ゴリラ、ラッパ、パンダ、団子、ゴリラ………
僕はついにエンドレスしりとりを始めた。
(さらにそれから)
団子、胡麻、枕、ライター、アイスクリーム、虫、シラス、酢飯、信号機、きなこ、小枝、団子、胡麻、枕、ライター、アイスクリーム、虫、シラス、酢飯、信号機、きなこ、小枝、団子、胡麻、枕、ライター、アイスクリーム………
単語が増えた。
(かなりの時間が経ってから)
………
僕は考えるのをやめた。
(おそらく数日ほど経ってから)
お、お腹が、お腹が、空いた………
餓死してしまう。
見落としていた。もう本当に綺麗さっぱり。
ガチャッ
そんな時、久方ぶりに扉が開いた。




