無策と予想外
豪酒だな……
夕方から酒を飲み出した男達はまだ酒を飲んでいる。
そう、浴びるように飲んでいる。
肝臓とお金が心配だね。
ほどほどにしなよ。
(しばらくして)
あ、なんか踊り始めた。
(さらにしばらく)
…………長い。
(深夜)
フクロウが鳴き出した頃、奴らは眠った。
ついにこの時が来た。
さあ、檻を壊すぞー‼︎
で、どうするかというと………
体当たりではないでしょうか?
意気込んで脱出するぞと思案していたけど、鍵も手もないんだからそれ以外にはないんじゃないのかな?
しらない、しらない、適当、適当。
待ってる時もすぐに別のことを考え始めたし。
親狼は何処に行ったとか、もう忘れかけていたあの二つの石はなんだったのかとか、色々。
考えてただけだどね。
そんなわけで策はない。
はい、では早速………………せーの‼︎
ガシャ‼︎
「ダー‼︎」(いたっ‼︎)
頭をぶつけて叩き壊そうとするけど、頭の方が先に壊れそうだった。
そりゃそうだ。
…………全然凹んでない。
…………なんだか、馬鹿みたいだ。
でもしょうがないよね⁉︎
鍵も使えないし、手も使えないし、天才だったらこんな時何か思いつくんだろうけど……
僕は天才ではない。
というか相当頭は悪い。
短気だし楽観的でお気楽だ。
最低最悪な奴である。
まあ、僕自身はこの性格を別に悪いとは思っていない。
かなり自分を非難するようなことを言ったけど、自分のことを悪く言ってしまうなんてよくあることなのだ。
僕は自分がとっても大好き。
だから頭が悪いことも嫌ってはいない。
よって檻から出る糸口が見つからなくとも仕方ない。
…………長々と言い訳をして時間を稼いだけど、どうしようか?
何度も体当たりすれば壊れたりは、しないかな?
……………………ガタ……
ん?何だ?音?
くるっと後ろを向くと誰かが馬車に登っていた。
狼のくせに暗くてよく見えない。
ふ、不法侵入……ではないけど、勝手に上がり込んできた⁉︎
おーい!いつまで酔眠してるんだ‼︎起きろー‼︎
「ガ、ガウガウガガァ‼︎」
しかし、酔っ払い共は目覚めない。
…………コツ……コツ……コツ…………
近づいてくる。
ゆっくりと。
僕は檻の中からそーっと覗き込んだ。
同時に相手も檻を覗き込む。
そこには、不思議な目があった。
金色の、猫目?とでもいうのかな?その目が僕をじっと見てきた。
直後、薄気味悪く笑った。
冷笑している。
どうして笑っているのかわからない。
こんな動物の何が面白いのだろう?
と思っていると、その不法侵入者は口元に指を当てて何かを一瞬考え、すぐにここから出ていった。
何だったんだろう?
そのあと僕は警戒心がないのか、あの笑みに気が緩んでしまったのか、眠ってしまった。
気が緩んだのではなく、怯えてしまったのかもしれないけれど………
小さい体のせいか暗いせいか、あの猫目の持ち主が大人か子供か、男か女かもわからなかった。
というか顔すら朧げにしか思い出せない。
気味が悪い。




