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猛獣の化け方ガイド  作者: 水蛍
17/94

不幸は不幸を呼び寄せる

抜き足、差し足、忍び足。

僕の手足は獣足。

………現在、夜。

親狼は外出中。

兄弟(二匹)は就寝。

キョロキョロ、キョロキョロ。

いない、よし。

ではオカン、good-by‼︎

ダッシュー‼︎!このまま突っ切れー!!!

急げ急げ急げいーそーげー‼︎!

ゴンッ‼︎「ギャ‼︎」

…………………何かにぶつかりましたね、何かに。

前見ながら走ってたんだけど………………

…………………………………………………目玉が二つ?

目玉が二つ……

め、だま、が、ふた……

次の瞬間、噛みつかれた。

とんでもない速さで、とんでもない力で……

「アアアアアアアァ‼︎!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い‼︎!

………………………………………………………………………………………………………………

戻された。

何処に?…洞窟に。

なんとなんと五回目!

何が?…失敗回数。

何の失敗?…脱走の。

……気分がやばいな。

………………………まあ、明日にしよう。

(朝)

「ファァァァ……」

おはよう。

って、あれ?まだ暗いね。

(訂正、早朝前)

…………昨日、僕はとんでもないものを見てしまった。

七、八匹で出て行ったのに帰ってきたのは二匹………

親狼含め、口元に血の痕………

今まで食べてたのは緑っぽい血。

赤色の血もあったけど基本緑。

…………口元の血は妙に濃かった。

…………食べた?共食い?

食われた⁉︎食われた‼︎食われた‼︎!

そうと決まったわけじゃないけども‼︎

怖すぎる!

…………周りをくるくる。

二匹だけ。

昨日はたくさん居たのに今は二匹。

…………いなくなった五、六匹の兄弟達よ。

あの時止められなくてごめん。

…………はぁ。

なんかもう嫌になってくる。

雷に打たれて、狼になって、ご飯不味くて、戦わされて、石ころ役に立たなくて、母親クズで。

不幸しかない。

なんでだろ?

……………………僕もいつか食べられるのかな?

…………やっぱり逃げよう。

ペットでもなんでもいい。

ここにいるよりはマシだ。

でもどうしようかなぁ。

あの親狼が厄介すぎる。

夜に何度も抜けだそうとしたけど駄目だった。

音を立てないようにしても、全力で走っても、木で隠れながら進んでも、しばらく森を歩くと必ず捕まって一瞬で連れ戻される。

う〜ん。

何かで気を引いてその隙に……

ダメだな。

そもそも気を引けるものがない。

あったとしても感づかれるのがオチ。

夜行性の動物は目がいい。

でもあのとき、きっと親狼は遠くにいた。

聴覚や嗅覚が鋭いのかも。

あとは振動とか。

弱点ないじゃん。

いやいや、長所は短所だったりもする。

例えば親狼の近くで大声を出して気絶させたり………(経験者)

うん、それにしよう(怒)

それがいい、それがいい(怒)

………と思った瞬間。

グサッ……………………

僕の真横を弓矢らしきものが通り過ぎた。

壁にぶち当たった模様………

そんなことより………

洞窟の入り口に、見るからに柄の悪そうな連中が………

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