行動
授業中、
「悠太君、あの、ノート見せてくれない?」
「あぁ。」
悠太はただのやり取りの中でも凛を自分のものにする為にいろいろと行動していた。
「こいつを俺のものにしたい。」
この願いの為だけに。
最初うちは、凛のことが気になっているという事を悟られないようにただのやり取りの中だけだったのが、自分から外出に誘うようになっていった。
ただ、一ヶ月も経つのに凛は悠太に興味を示さなかった。
「もうそろそろ一ヶ月経つのに何故こちらに興味を持ってくれないのだ。何故だ。」
悠太は凄く疑問に思っていた。
「こちらに興味を示してもらわないと今までの努力が水の泡だぞ。」
悠太は何としてでもこちらに興味を示してもらわないとと思っていた。
六月上旬、今日は朝から雨が降っていた。
「この量、下校時までにやみそうにないな。」
悠太が言ったように下校時になっても雨はやまなかった。
「俺は傘を持っているが、凛は持っているのか?」
「あ・・・、忘れちゃった・・・。」
下校時、玄関で二人は話していた。
「俺は二つ持っているから、一つ貸すぞ。」
悠太はいつもの事ながら凛に優しくした。
それに対して凛は、
「私、悠太君と一緒がいい。」
そう言って悠太の傘の中に入ってきた。
悠太は驚いた。
いつも静かな凛が自分に身体を寄せてきたのだから。
「なんかやけに積極的だな。」
悠太はそう思った。
「俺はいいぞ。」
悠太はいつもの冷静さを取り戻して言った。
結果的に二人は相合い傘をして帰っていった。
「面白いの見つけちゃったぁ。」
見られているとは知らずに。