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山を降りたら……途中で狼に出会った。

(きて……お……て……ア………ゼ……おき……)


ん?誰かにゆさゆさと揺すられてるのを感じる。

でも、この優しい感じ、なんか心地良い……


「起きてってば!アリューゼ!!」

「!?」

「あ、やぁっと起きた……ほら、もうすぐ夕方よ?そろそろ降りないと夜になっちゃうわ」

「あ……そうですか……お越してくださりありがとうございます、リューネ」

「うん、それは別に気にしなくて良いわ。私も貴方の可愛い寝顔を堪能させてもらったからね♪」


と、いたずらっぽくウインクしながら言ってくる。


……俺、疲れてたのかな?思ったより深く眠って居たみたいだ。

でも、その分スッキリしたし、早速山を降りる事にしましょうかね。


そして、てくてくと山道を降りていき、特にこれと言った障害にも会わずに降りる事ができ……たら良かったんだけどねぇ。


「あら?あれは……」

「しっ!静かに。あちらに気付かれてしまいます」


こっそり隠蔽……と言うか遮音の魔法を使う。

これは風魔法の応用で、一定範囲を真空状態にすることでそこから先に音が浸透しない様にする魔法である。

ちなみにその真空状態の部分に手を出そうものなら生物は破裂する。

昆虫くらいならギリギリ平気だったけど、空気を必要とする生き物にとって真空状態は宇宙空間に放り出されるような物だし。


そして、木陰に潜み、怪しい人物を覗き見る。一応リューネに「もう喋っても平気ですよ」と伝える。


視線の先には狼型魔物に囲まれる数人の姿が。

今は一触触発な緊張状態となっていて、人は男が2人、女が3人、子供が4人。

狼型魔物は6匹居て、その人達の前方……俺達の前方でもあるが(つまり狼型魔物は俺達に後ろを剥いている格好)このままだとあの人達が襲われてしまう。


「ね、ねえ……助けてあげない?あの人達が危ないと思うんだけど……」

「ええ、助けますよ。ただ、タイミングが重要です……今はあの人達に意識を向けてるのは4匹、周囲を警戒してるのが2匹です」

「う、うん。それは見れば分かるけど……」

「なので、僕は地面を伝って魔物の脚を凍らせます。なので、リューネには凍った魔物を土槍で串刺してもらいたいのです。……1、2匹だったら瞬間的に凍らせられるのですが、別れてますのでそれは難しいので威力を落として範囲を凍らせます」

「分かったわ。それじゃあ準備ができたら合図出してね!」


その言葉に俺はコクンと頷いて氷魔法を展開する。


イメージしろ。

地面を伝って奴等を脚から凍らせるイメージを……

範囲は……前方に放射状に展開。


凍らせる。

凍らせる。

逃さず凍らせる!!


……よし!イメージ完了!

魔力ブースト!!今、俺の理想を此処に顕現せよ!


「今!」

「了解!!」


2人同時に魔法を放ち、全ての狼達を捕捉し、凍って動けなくなった奴等を土槍が穿く!!


「ふう……なんとかなりましたね」

「ええ!タイミングは完璧だったわ!」

「では、何が起こったか分かってなさそうな彼等に声を掛けますか」

「あ、私が対応しよっか?」

「良いんですか?面倒では……」

「ううん、それくらいはさせて。貴方のサポートが無かったら6匹もの狼達を一瞬で穿くのなんて出来なかったしね」

「では、お願いしますね」


にっこり笑って「任されました♪」と可愛く言うリューネ。

うーん、我が婚約者様は頼りになって可愛いなあ。


そして、真空状態を解除して彼等の下に。


「大事無かったか?」


おっと、リューネはのじゃ口調で行くようだ。

それに対して男性の1人が代表として話しかけて来る。


「あ、ああ……お陰様でこちらに被害は無い。それにしても今のは?」


それに対してリューネは「コホン」と咳払いし


「なに、儂の魔法じゃ。そなた等が狼に襲われておるのを見かけてな。無粋かと思ったが助太刀させてもらったのじゃ」


それに他の者たちも


「すげえ魔法だったな……」

「ええ、お陰で助かったわ」

「もう、駄目かと思った……うっく、ひっく」

「子供たちだけでも逃がそうと思ったのですが、その隙きが無くて困ってたのだけど、本当に助かったわ…ほら、皆お姉さんにお礼を言いなさい」

「「「「お姉ちゃん、助けてくれてありがとうございました」」」」


と次々に口を開く。


そして、なんでこんな所に居るのかと聴くと、この先にはちみつが溜まった樹があって、そこではちみつ採取してきたらしい。


一抱えも有る樽が2個に片手サイズの樽が3個。子供達は小さな壷をそれぞれ持っていた。


そして、彼等は例を言い、お詫びとして片手サイズの樽をくれた。


リューネは「そんなつもりは無いのじゃが……」と言って断ろうとしていたが、押し付けられる形ではちみつを貰うことになったのだった。


甘味として砂糖がまだまだ高いこの世界での一般的な甘味と言えば果実とはちみつだ。


まさかのはちみつをお土産に宿へと帰還する事になった俺達である。


まさに『情けは人の為ならず』だね。


ちなみに、この量のはちみつだと買うと1万リルは堅い。

売値でも2000リルは余裕との事。

お金には困って無いが、彼等が「命の恩人に何も返さないなんて、そんな不義理は出来ない!」との言葉により高級なはちみつという名の甘味をゲット出来た事を知ったキティとレベッカが大喜びしてた。


キティは果汁水にはちみつを垂らしてちびちびとやるのが好きらしい。


レベッカもアルコール度数の高いお酒にはちみつを入れて割るのが好きらしく、俺とリューネは2人に抱き締められて、背中をバンバン叩かれる事になったのだった。


そして、この晩は宿の食堂の明かりが消えるのは街全体から音が消える……それくらい遅い時間になったのだった。


あ、全部飲まれるのが目に見えてたから男爵にも両親がお世話になってるお礼としてお裾分けを両親に会うついでにしておいた。


男爵の娘さんがはちみつ好きらしく、とても喜ばれたらしいが……後日、男爵閣下直々にその事を教えて下さった。


結構親ばかなのかもしれないと、今まで抱いていた男爵閣下の知られざる一面を知る事になったのだが、これは蛇足だろう。


そんなこんなで数日が経過し、遂に母上が起き上がれるまで回復したとの知らせを聞き、この街を出発する日が明日へと決まったのだった。


ようやく、両親を連れて帰れる……思ったより長くなってしまったが、これで目標は達成である。


待っててね、姉上、トニー兄上……後数日で帰るからね!!

今日は申し訳ありませんがこの話のみです。


また明日の更新をお待ち下さいませ!

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