アリューゼ。人生初の告白をされる!
あれから3回魔物や動物に襲われたが、無傷で切り抜けられた。
アッシュが言うには「この辺は比較的低位の魔物や獣しか居ないから楽勝だ」との事。
ちなみに南に行くとちょっと強く、北に行くとゴーレムとかも出てくるから結構大変らしい。
進むのが平野で良かった。
そんなこんなでようやく着いた隣村。
宿屋とかは無いが、厩はあるので馬車はそちらに預ける。
そして何処か泊まれる場所は無いかと聞いたら空き家があるとの事。
今日はそこに泊まることになった。
案内されたのは2階建ての建物で、1階に部屋が2つ、キッチン、トイレ、食事をする居間があって、2階は3部屋有るらしい。
で、部屋割として俺はキティと。
兄上はアッシュと。
シシリーはリューネと一緒の部屋割りになった。護衛の意味合いも有るらしい。
キティはいたずらっぽそうに
「へへー♪よろしくね♪」
と言ってきたが、何をよろしくなのか。
まあいいや。子供で良かったと思おう。
男女の仲にはまだどうあってもなれないしな。
そうして、シシリーがまずは料理を作り始め、その間に俺は外に土魔法で囲いを作り、その中に風呂を作る。
そして水を張り、火球で温度調節してからまずは女性陣を呼ぶ。
「あのー、キティさん、レベッカさん、リューネさん。今いいですか?」
そう呼ぶと俺の元へやってくる3人。
「何かな?今から身体を拭こうと思ってたんだけど?」
「そうだよ、汗かいて気持ち悪いんだ。用があるなら早くしてくれるかい?」
「コレ、お前ら!……すまんの。だが、儂らとて女じゃ。血や汗の臭いは早く処理したいのでな。用が有るなら早めに頼むぞ」
と言ってきたので丁度いい。
3人を外へ案内すると驚いた顔の3人が。
まあ、驚くか。とは言え、早く入ってもらわないと湯が冷めるので説明する。
「こちらの湯船からお湯をこの桶で掬い、体に掛けてからこの石鹸で身体を洗ってから湯船に浸かって下さい。暖まるし、汚れも落ちますよ……では、女性が居る中男が居ては入れませんね。どうぞごゆっくり……」
逃げようとしたがリューネに捕まる。ちっ!逃げそこねた!!頭が混乱してる間に説明責任から逃れようとしたが失敗。
くそぅ。ミスった……だけどまあ、一緒に行動するなら風呂には入ってもらわないと俺が困るしな。説明……するか。あー、メンドクサ。
「なっ、なんっ、なんじゃこれは!!こんなもの見た事も聞いた事も無いぞ!これは魔法で作ったのじゃろう?いくら魔法がイメージに左右されるとは言え、この様な大魔法、儂は知らんぞ!!」
あー、やっぱねー。
なんかこの国、風呂に入る習慣が無いんだわ。
だから水を桶に入れて身体を拭うのが一般的。
だけど、前世を知る俺からしたらお湯に入らないのは不潔な気がするし、せっかく石鹸も作ったんだ。使わなきゃ損ってもんよ。
なので、後ろで「うわー、温かいよこの水……」とか、「あの坊や、どれだけの魔力でこれを……」とか聞こえるが無視。
寧ろ肩を掴まれてるのでリューネに説明しなくてはならない。
「あのですね、家にある本で『東方見聞録』って題名の本が有りまして、そこでは『東方人は綺麗好きで温泉に入って体の汚れを落としている』と記述がありまして、気になったので再現したのがこの魔法です」
しかし、その程度の説明では納得しないリューネ。まあ、そらそうよね。だからといってこんな子供が想像で作れるもんじゃ無いもんなぁ。
「そうは言うがの、お主……それで納得せいというのは無茶があるぞ!?」
「いやー、あははは。ほら、冬でも水で身体を拭うのが嫌になって作ったんですよ。ほら、温かいうちに入って入って」
愛想笑いを浮かべてリューネから距離を取ろうとするが……まだ逃げられない!!
今度は手を掴まれた。何?教えてほしいの?現物見たから後はリューネのイメージ次第でしょ?俺要らなくない?と思ったが違った。この後リューネの口から爆弾発言が飛び出る。
「お主……いや、アリューゼ……儂と結婚してくれ!!」
「えっ?」
「ええっ!?」
「なんだって!!」
とりあえず、返事はともかく、サッサと入らないと後のシシリーと男性陣が詰まっちゃうからとその場を離脱。あ、体洗うタオルは備え付けてあるし、身体を拭くタオルも脱衣所に備え付けてある。
なにはともあれ俺は逃げた。
背後からリューネの呼ぶ声が聞こえるが敢えて無視。
とりあえず民家に入る。
肩で息をしながら戻って来ると、残りのアッシュ、兄上、シシリーが不思議そうな顔をしている。
代表して兄上が俺に「どうした?何かあったのか?」と聞いてきたので俺は……
「あははは……リューネさんに結婚を申し込まれました………あははははー」
笑って流そうとしたのだが3人揃って口をあんぐり。
まあ、そらそうやんな。いきなり結婚なんてそんなーって感じだよねーあははははー。
「な……んだと……?」アッシュが驚いている。
「それで……アリューゼはどうするのだ?」冷静に聞いてくる兄上。この冷静さがありがたい。
「えっ?えっと……?アリューゼ様、おめでとう……ございます……?」待って待ってシシリー。勝手に婚約完了しないでしないで。
とりあえず兄上に答える事にする。
「いや、いきなりで何が何やら……お風呂を見せただけなんですけどねえ……」
すると、兄上は「ああ」と納得の行ったご様子。ホワイ?兄上知ってるの?
すると、兄上がこう教えてくれる。
「アリューゼ、よく聞くといい。流れのエルフは『自分に合った相手を探している』のが一般的らしい。多分、リューネ殿もその流れのエルフの1人だったのだろう。そうして彼女の場合は相手に求めたのは『強い魔力を持つ男性』だったのではないか?」
言われて「あー…」と納得。なるほどそう言う事ね……まあ、理解したからと言って、納得するのは別問題なんだけども。
まだ6歳よ?なんなん結婚って………確かに俺は三男坊だから家は継げない。だから成人後は家を出るなりしなければならない。
だからってなあ……それにもまだ10年有るのにいきなり結婚と言われてもな。
まずは父上と母上に話さねばなるまいて。
うん、とりあえず両親を見付けてからと言う事にしよう。
両親が認めなければ『幸せな人生』とはかけ離れてしまうからな。
「とりあえず、リューネさんからの言葉は嬉しいとは思いますが、その前にまずは父様と母様です。お2人の無事を確認しなくてはなりません」
と言うと、兄上は「うむ」と言い
「確かにアリューゼの言う通りだな。父様と母様の無事を確かめる為の旅なのだ。まずはそれからであろう」
「ですです」
俺は即座に頷く。アッシュが「あいつ……男にちゃんと興味あったのか……」とかちょっと失礼な事言ってるが、普段からその様な事は口にしてなかったのだろう。そりゃまあ驚くわな。結婚願望無いと思ってたら実際はバリバリ婚活中だったんだから。
そう話してる内にシシリーは作業を進めていて、料理が出来上がった模様。
村の方から買った野菜とマスター謹製の干し肉(凄いジューシーで柔らかい)を煮込んだスープと黒パン。それとドライフルーツだ。十分であろう。
シシリーは作り終わったことを俺達に言うとお風呂に向かって行った。
では、先にいただきながら女性陣が出てくるのを待とうか。
「うん、美味しいですね、兄様」
「ああ、シシリーも腕を上げているな」
「うお、旨い。旨い。酒が欲しくなるなぁ」
三者三様の反応を示して食事を済ませる。
アッシュが食べ過ぎそうになったので、「食べ過ぎて残りが少なくなると、女性は怖いですよ……」と呟いたら食べるのを辞めたのでこれでよし。
暫し待つこと1時間以上。4人が揃って出てきたので入れ代わりお風呂へ逃げる。逃げるったら逃げる。返答はもう少しお待ち下さい。
湯船を確認すると結構汚れていたので栓を抜き排水。そしてまた入れ直す事になったがなに、溜まるのはすぐだ。
そして入れ替えたお湯で身体と頭を洗い、3人で並んで湯船に浸かる。
「おお……これは良いな……芯から温まる」
「ふぃー………この後またリューネさんに捕まるんでしょうね……憂鬱です……」
「ふっ。まあこんな魔法は他に聞いたことが無いからな。まずは我々の目的を果たす。それからだと伝えれば良かろう。リューネ殿もそんな急いでは居なかろう」
「あー
確かにこんな凄い魔法を使える様な奴なら同じ魔法使いとして放っておけないだろうなあ……良い意味でも悪い意味でも」
「悪い意味って、なんですか……不安になるような事言わないでくださいよ」
とか雑談を交わしつつ、ゆっくりと湯船で温まった俺達は風呂から出る。
とりあえず栓を抜いて排水して、軽く水洗いしておいて放っておこう。
明日の朝、村人に聞いて建てたままか、壊すか聞くとしよう。
お風呂文化が広まれば俺としても嬉しいし。
残しておくなら外から沸かせるように改造しよう。
しかし、気が重い……民家までの距離がとても長く感じる……入りたくねえ。
が、いつまでも逃げていては居られない。
俺は意を決して扉に手を掛けるのだった。
今日はここまでです。
続きを気にして貰えたらとても嬉しいです。
では続きはまた明日です!




