パーティーのあれこれと初めての戦闘(見学)
遅くなりました。
不定期に開催するYou Tubeの登録チャンネルのライブ配信を見てたら遅くなりました!
今日も2話更新しますので、楽しんでいただければ嬉しいです。
ガタガタガタガタ………そんな風に揺られながら馬車が進んでいく。
思ってた以上に揺れるけど、サスペンションが無い乗り物ならこんな物かな?
荷台の後ろから流れる景色を見ると、街が大分遠くに見える。
まさか、初めての街の外が両親の捜索とはね。
流れ行く景色をぼーっと眺めていると声を掛けられる。
振り向くとそこにはキティが居た。
「ねーねー、アリューゼ君って呼んでいい?」
突然の距離感にビックリする。が、まあ、それくらい良いよね?
「ええ、構いませんよ。こちらは……ええっと……キティさん、とお呼びしても?」
「いいよー。じゃあこれからはアリューゼ君って呼ぶね」
「はあ……それで、何か御用でしょうか?」
「ん?んー……特には無いかな?ただ、黙ってても暇だし、折角だからお話しない?」
屈託なく笑って言うキティ。
彼女の役割はスカウト……所謂偵察、罠解除、マッピング等のゲームで言うところのシーフみたいな役割だ。
格好は軽装で、動き易さ重視に急所(心臓、腹)を覆うメッシュ地の鎖帷子を着込んでいる。
まあ、確かにこのまま黙っているのも良くは無いか……と考えて口を開く。
「分かりました。良いですよ。では、何を話しますか?」
そう言うと、「ん〜……」と考え込んでいたが、すぐに「あっ!」と言って
「あのさ、どうしてアリューゼ君は小さいのに依頼に出すだけじゃなくて付いてきたのかな?」
ほう。そう来ましたか。では逆に聞こうかな。
「では、キティさんの大切に思う人が1週間の予定を大幅に超えて2週間以上帰ってこなかったら心配になりませんか?」
「それは……うん、そうだね。心配するよね」
「僕の場合もそうです。ただ、僕は魔法が使えるので冒険者の方達のサポートにも回れると思いましたし、両親の安否が気になって仕方なかったので付いてきました。ご納得いただけましたか?」
そう言うと、キティは驚いた様子で
「えっ!?アリューゼ君と魔法使えるの!?」
と聞いてくる。その声を聞いて壁に寄りかかって休んでいたレベッカもこっちを見てくる。
「使えますよ。ただ、自分がどの程度の技量かまでは分からないので、どれだけサポート出来るかは分かりかねますが」
「そうなんだ~……小さいのに凄いんだね!」
褒められた。しかもこれはなんの裏もないのが分かる。……こんなに真っ直ぐでスカウトとかちゃんと出来るのかな?
「はあ……ありがとうございます」
「うん!凄い凄い!!それにこんな旅に付いてこようとするなんて勇気が有るんだね〜」
なんだろう。少し違和感。これは……勇気、なのだろうか?
なんか違う気がする。
しかし、考えても分からなかったので逆にこっちから質問する事にする。
「まあ、僕の事はこれくらいで。皆さんはどんなパーティーなんですか?」
『どんなパーティー』とはそれぞれ冒険者は得意とする分野が違うので、気になったから聞いてみた。
ダンジョンアタックを主とする『ダンジョン特化』
サバイバルや捜し物、採取等を主とする『サバイバー』
町の依頼を聞いて解決する所謂『なんでも屋』
とかに分かれる。すると
「あたし達はねえ……何でもやるよー。ダンジョン2だって潜るし、採取や人捜しもするし、滞在先が困ってたら解決出来そうなら解決するし。だから『コレ』ってのは無いかな?」
んー?判断が難しいな。これだとどれくらいの使い手なのか分からない……とりあえず続けて質問する。
「皆さん、随分とお若いですが、おいくつなのでしょうか?」
「ん?年齢?」
「はい。……無理にとは言いませんが」
「んー、いいよいいよそれくらい。あたしはねえ…16歳だよ。このパーティーに入ってから3年になるんだー」
ほう。4人の中でも若いなと思ったが随分若い。
「それでね、レベッカが20、アッシュが21、リューネが……いくつだったっけ?」
すると御者台の方から『120じゃ』と聴こえてきた。
「あっ!そうそう、120!エルフだとまだ若手なんだってー」
御者台の方から『うるさい!黙れ!』という声が聴こえてきた。ん?今まで聴いた声よりかも少し甲高いような……?気のせいかな?
「なるほど……では、キティさんは先程このパーティーに入って3年と仰ってましたが、このパーティーは結成してどれくらいなんです?」
それには先程から黙って聞いてたレベッカが答えてくれる。
「うちはアッシュが作ってかれこれ5年くらいだよ」
「へえ。と言う事はキティさんは途中加入なんですね」
「そうなるね。最初はあたしとアッシュともう一人の3人だったんだけどね、そのもう一人と喧嘩別れしちゃってさ……で、代わりに一人でふらふらしてたリューネをスカウトして、その1年後くらいにキティが入ってきたんだよ」
なるほど。そういった事情がね……なんで喧嘩別れになったのかまではあえて聞くまい。
「教えてくださりありがとうございます」
「ん。別にかまやしないさ。坊やも冒険者に興味があるのかい?」
「ええ、まあ。観たことない景色や、行ったことのない場所とか憧れは有りますね」
「ふーん……好奇心は冒険者にとって必要な条件の1つさ。坊やは冒険者に向いてるのかもね……」
と言って、また目を瞑るレベッカ。
そうなのか。好奇心って重要なのだろうか?好奇心だけじゃ絶対になっちゃ駄目な職業だと思うんだけども。
まあ、そこは足りない部分を補い合える仲間を見つけろってことかな?
そんな事を考えて居ると突然キティが叫ぶ。
「!!前方500!敵が居るよ!!数は3!大きさはウルフサイズ!!」
そう言うと、一気に戦闘態勢になって気を張るキティ。
遅れて馬車を止める御者台の2人も戦闘態勢を整え、レベッカも剣を片手に立ち上がり馬車が止まると一気に外へ。
そして4人が外へ出るとほぼ同時に姿を現す狼型のモンスター。
あれは……なんだっけな?
「あれは……普通のウルフですね。大した相手じゃ無さそうで良かったです」
と、シシリー。
そうか、あれが普通のウルフってやつか。
とは言っても大型犬くらいでかいからちょっと怖い。
そんな俺を気にせず4人は戦闘を開始する。
アッシュが一匹、レベッカも一匹、リューネとキティで一匹とバランスよく相手取る。
まず先頭の一匹がアッシュに襲い掛かるがすれ違いざまに頭を落として終了。
呆気なく倒されたウルフ。
はえー……瞬時に見切って一刀両断だよ。
アッシュ……強いなぁ。
そしてレベッカは飛び掛かって来たウルフの牙を剣で抑えて蹴り飛ばす。
するとすかさず追い打ちをかけて心臓の辺りにズブリと一突き。
しばらくビクンビクンと蠢いていたウルフだったが、終いには動かなくなり終了。
リューネとキティはキティがナイフで牽制しつつ、リューネが風刃を放ち切り刻んでいく。
ジワジワと体力を削っていって、止めに火球を放って燃やし尽くして終了。
個々の実力もあるし、連携も出来る。
これは良いパーティーに当たったかも。
ルシエル兄上も「……凄いな」と漏らしていたし、腕は認めただろう。それにしても戦闘開始から1分くらいか。
随分と馴れてるなぁ。流石冒険者。
キティとレベッカが戻ってきたので「お疲れさまでした」と労う。
レベッカは「あんなの大した事無いさ」と言ってまたさっきまで座ってた場所に戻り目を瞑る。
キティは「ありがとー」と言いながらまた横に来たが、先程使っていたナイフの点検作業と整備を開始。
5分ほど掛けてじっくりと検分と整備を完了させて鞘に戻したところで声を掛ける。
さっきから気になってる事があるんだよね。
「あの、キティさんは随分遠くの相手を察知してましたが、何かコツとかあるんですか?」
と聞くとあっさりと
「あ、あれ?実はね、今上空にあたしの相棒が飛んでるんだよねー」
「使い魔……ですか?」
「うーん……そんなものかな?で、その子が合図を出してくれるとダイレクトにあたしに情報が伝わるって感じかな?ただ、さっきみたいに距離と数は完璧なんだけど、種類や大きさは曖昧なんだよね」
へえ〜。そういうものなのか。
それでもめちゃくちゃ便利だよな、それ。
「それでも奇襲されないのは大きいですね。夜の方はどうなんですか?」
そう聞くと困った様に頭を掻き
「んー、それがねえ……鳥目だから夜は見えないんだよね……でも任せておいて!夜の見張りでも奇襲はされないから!」
と、自信満々なキティ。その声にレベッカも反応して
「ああ、大丈夫さ坊や。あたし等全員気配察知は出来るからね。暗殺者とか来ない限りは大丈夫さ」
フラグになるような事言わんで欲しいなぁ。
まあ、その可能性は低いと思ってるけども。
そんなこんなで俺は初めての戦闘を目の当たりにするのだった。
そして、馬車はまた動き出す。
まだ旅は始まったばかりである………今日中に隣村までは着ける予定だが、どうなることか。




