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初めての冒険者ギルド!(お約束は無いよ!)

そして10分と言わず8分後。


俺はバックパックに下着の替えとお金、毛布のみを持って玄関に来ていた。


俺のほうが先に付いたか。

まあ、すぐ来るだろう……するとすぐに兄上もやってくる。


「ん?早いな……それにそんな装備で大丈夫か?」

「いえ、途中で買って行こうかと。馬車で向かい、食料、衣服、毛布と外套を買っていけば良いかと思いまして」


そう言うと兄上は納得したようで


「そうだな。道中何があるか分からない。馬車で向かい、色々買って行こうか」

「はい。……ところで、馬車を操作出来る方居ますかね?」

「さてな。私は町中ぐらいなら何とかなる。が、外は知らない」

「ですよね……その冒険者が運転出来るのを祈ります」


そう言って、兄上は馬車の御者台に向かい、俺は荷台に乗る。今回は幌馬車……荷馬車で向かう。

こっちの方が人も荷物も乗るしね。


2頭の馬に引かれ、ゆっくりとまずは冒険者ギルドへと向かう。


冒険者ギルドへ着いた。

一旦馬車置き場に馬車を預け、中に入る俺達。


何人か知り合いが居たので手を振り挨拶。

それを横目に見ていた兄上が聞いてくる。


「アリューゼは知り合いが居るのか?」

「はい、何人かですけど」


実際そこまで冒険者に知り合いは居ない。  

大体10人程だ。


とか話しながら受付カウンターへと向かう。

そして代表として兄上が話す。


「すまない、これをギルドマスターへと渡してはくれないだろうか?急いでいるのだが」

「えっ?ギルドマスターにですか?」


怪訝な顔で封筒を預かる受付嬢だったが、封筒に捺された家紋を確認すると


「ただいま渡してまいります!少々おまちくださいませ!あ、貴女!あそこのカウンター前に居る方たちにお飲み物を!!」

「えっ?あ、はぁ……」


そう言って、後ろを振り返らずにスタスタと2階へと上がっていく受付嬢A。

そして受付嬢Bは俺達を案内してギルドに隣接した酒場で飲み物を出してくれた。


ありがたく受け取り、それを飲みながら受付嬢Aが戻ってくるのを待つ。


すると、10分もしないで大柄な男性と受付嬢Aがやってくる。

とすると、この男性がギルマスかな?


そう思っていたらその男性が先んじて話しかけてくる。


「遅れて申し訳ない……作業中だったので許して欲しい。それで、君達がセルジュさんのとこの勤め先の息子さんたちかい?」


その言葉に兄上が少しムッとしたが、小声で(兄様、ギルドは基本権力と離れてるので貴族だからと特別扱いはされないのです!)とだけ伝える。

すると少し冷静になった兄上が 


「お初にお目に掛かる。ケイオス子爵家長男ルシエルとこちらはアリューゼ。そちらの知っての通りセルジュはうちの家令だ。手紙にその辺りは書いてあったのだろう?ならば何をしに来たかは理解されてるはずだ」


そう言い切るとギルマスを値踏みするかの様に上から下まで見やる兄上。


その物言いと態度にギョッとする受付嬢Aであったが、ギルマスはニヤッと笑って


「すみませんね、ちょっと試してしまいました……お詫びします。ええ、師匠からの手紙にはしっかりと要件まで書かれていました。すぐに担当の冒険者をお呼びしますので暫しお待ちを……」

「「師匠?」」


おっと、それには俺も驚きだ。ギルマスの師匠ってセルジュは昔何やってたんだろう?


「おや?聞いてませんので?いや、セルジュさんは俺の師匠なんですよ。昔は凄いおっかない方でなあ……稽古の時にゃすぐさまボコボコにされたもんよ」


と、笑いながら冒険者達の待機してる所へ向かう。

そしてそこで少し話し合ってるので俺達も雑談して待つ。


「只者では無いと思ったが……セルジュにそんな過去があったとは……」

「確か、家令になる前は父様の剣術指南役として雇われていたって聞いた事あります。もしかしたら冒険者家業を辞めてうちに来てくれたのかもですね」

「うむ。人に歴史有り……だな」


とか他愛の無い会話に花を咲かせる事数分。目の前にギルマスと4人の男女……と言うか男1人に女3人の偏ったパーティーが集まる。

年齢は……20前後だな。まだまだ若い。が、ギルマスが紹介してくるのなら一定の技量があるのだろう。


「お待たせしたな。こいつら4人パーティーの『漆黒の牙』だ」

「お、こちらが今回の依頼主の領主様の息子さん達ですか?」

「へえー、可愛い顔してるじゃん」

「えー!!こんな小さな子達が依頼主?大丈夫?外は危険だよ?」

「これ!レベッカにキティ!ちゃんとせんか!!……すまんのう、まだまだ精神の鍛えの足らん奴らでな。儂はクリストリューネ。リューネで良いぞ」


初めに話しかけて来た青年は礼儀正しく、次に話しかけてきたちょっとワイルドな女性はニヤニヤしながら、次に話しかけて来たスカウトらしき女性……と言うかまだ女の子って年齢か。が、こちらを心配してきてくれて、最後にエルフの女性魔法使いが彼女らを叱責してからこちらへ謝罪して名乗ってくれる。


青年はアッシュ。

ワイルドな女性はレベッカ。

スカウトの女の子はキティ。

魔法使いのエルフの女性はクリストリューネと言うらしい。

俺達も名乗って自己紹介は完了。


依頼内容を伝えて、それに快諾する4人。

てか、その内2人は泣いてるし……いい人達、なんだろうなぁ。


そして、受付に戻って契約書を認めて提出。

依頼書として再編された物を漆黒の牙へと渡してサインしてもらう。

これで契約は完了だ。


あ、依頼料だけど金貨10枚だって。

高いのか安いのか俺にはわからん。

だが、護衛依頼ならそんなもんなのかね?


とにかく、この6人で向かおうと思ったが、外から誰かが入ってくる。


おや?誰かと思えば……


「良かった!間に合いました……」


泣きそうな顔をしたシシリーだった。

シシリーを見て、兄上が駆け寄り


「どうして来たんだ!危ないから待っていてくれと伝えていただろう?」

「どうしても…どうしても我慢できなくて……お願いします!どんな雑用だってやりますので連れて行って下さい!!」

「しかし……」


それをニヨニヨしながら見ていた漆黒の牙の面々は


「まあ、いいじゃないか。俺らも雑用をやってくれるってなら助かるしな」

「そうだねぇ。あたしらじゃ食事なんて大したもん作れないし、お嬢ちゃんは色々出来そうだし、いいんじゃないかい?」

「はいはーい!アタシもさんせーい!塩っぽい干し肉のスープや硬いパンだけの味気ない食事は飽きたんだよねー」

「まあ、坊っちゃんを慕って来てくれてるのだろう?男の甲斐性の見せ所じゃよ」


といって背中を押して(?)くれる。

俺も援護射撃として


「そうですよ、兄様。漆黒の牙の方々がこう言って下さってるんですし、何かあれば兄様と僕で守ればいいんです。連れて行ってあげましょうよ」


そう言うと、諦めたのか溜息を1つしてからシシリーの両頬に手を当て


「分かった………だが、決して無理はしないと約束して欲しい。そうでなくては連れていけないぞ?」


という。周りから囃し立てるような指笛とかも聞こえてくるが当人達は聞こえていないのか2人の世界に入ってしまってる。


「は、はい……私の身も心もルシエル様の物です……約束を違える事はしません」

「分かった。では、動向を許可する。……申し訳無い。時間を取らせた……どうした?」


いやいや、かなりラブラブになってますなぁ。良き良き。とりあえず俺が代表して


「何でもありませんよー。さ、皆さん参りましょう!……あっ、ところで皆さん、馬車の操縦は?」

「うむ、儂とアッシュが出来るから心配線でも良いぞ」

「ああ、俺達に任せておいてくれ」

「分かりました。では、道中の馬車の運転はおまかせしますね」


そう言って、兄上の疑問にはスルーして行くことにする。


さあ、これから買い出しとマスターの所へ食事と出掛けの挨拶があるぞ。


まずは雑貨屋で必要雑貨を買ったり、食材の購入、そして服屋で外套や毛布の買い出しをしてからマスターの所へ行ったのだった。


漆黒の牙の面々が遠慮していたが、俺達が昼ご飯食べて無いからと無理矢理連れて行って食事を奢った。


そうしたらあまりの美味しさにアッシュ、レベッカ、キティの3人がめちゃくちゃ驚いていた。リューネは恥ずかしそうにしていたが、やはり美味しいのだろう。長耳をピクピクとさせていて少し可愛かったことをここに記しておく。


やっぱり分かり合うには旨いご飯が手っ取り早いよね?

まあ、酒を飲もうとしたアッシュとレベッカがリューネに杖でボコられていたのもいつもの事なのだろう。キティが笑っていたのだから。


会計を済ませるとマスターからお土産として日持ちする食料を少しと、果汁のミックスジュースの入った水筒を人数分貰った。

その値段も払おうとしたのだが断られた。

代わりに「また元気な姿で俺の所で飯を食いに来てくれよ!」と言ってくれた。

俺はその約束は絶対に果たすと誓い、西の街道に向かう道を馬車で進んでいくのだった。


今は正午を少し過ぎた所。

野営になるだろうが、雨の心配も無さそうであるし、少しのワクワクと、半分の不安と、残りの初めての冒険へのドキドキで胸をいっぱいにしつつ、この世界で生まれてはじめて街を出るのだった。

申し訳ありませんが本日も2話更新です。

楽しみにされてる方には大変ご迷惑をお掛けしております。

これでも頑張って書いてはいるのですが、どうにも筆のノリが悪いもので……一応明日(と言うかまた夜)も更新するとは思いますので、続きもお読みいただけると嬉しいです!

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