まだ帰らぬ両親。そして焦り。
そして次の日。
また、昨日も両親は帰って来ない。
心配ばかりが膨らんでしまうがきっと大丈夫。
父上は強いんだ。滅多なトラブルでもどうとでもなるだろう。
そう言い聞かせて昨日は眠った。
朝食の場に兄弟全員が揃う。
家長である父上が居ないので、ルシエル兄上が代理で朝の挨拶をする。
そして始まる朝食。
だが、今日は少し雰囲気が違った。
ルシエル兄上は何事も無いように振る舞ってはいるが、それも無理をしてるのはバレバレだし、トニー兄上もソワソワして落ち着きが無い。
更に姉上もしょんぼりとしつつの食事である。
なんとなく、昨日よりも空気が重い。
皆、それを察しつつもなるべく気にしないようにしながら食事を終わらせるのだった………
そして、朝食後である。
久々に姉上に捕まった。
うわぁお。婚約者が出来てから久しくされてなかった膝の上だよ。
ちょいちょい姉上。最近は胸も成長してきてるんだからそんな簡単に子供とはいえ男を膝に載せるもんじゃないよ……っと言いたかったけど、後ろから抱きしめて来て、すすり泣く声が聞こえてきたので何も言わずにそのまま受け入れた。
まあ、辛くない訳無いわなぁ……俺だって、言いようのない不安感に押し潰されそうになりながら理性で我慢してるんだし。
後ろから、か細い声で「お父様…お母様……早く帰ってきてぇ……」なんて聞こえてきちゃったらね。受け止めるのが弟の責務よ。
内心、アレン君が居ればなぁとは思わなくは無い……が、まだアレン君には抱擁は早い。結婚するまでは我慢していただこう。
そして、姉上が泣き疲れて眠るまで、俺は抱きまくらにされ続けるのだった。
その後1時間くらいかな?
姉上が泣き疲れて眠ったのを確認して布団を掛けて姉上の部屋を出る。すると……
「随分早かったな。シャルも大分限界だな……」
ルシエル兄上が声を掛けてきた。
ずっと待ってたのか、少し行儀悪く背中を壁に付け、寄りかかっていた。
「はい、そうですね……姉様はお優しいのでなるべく我慢はなさってましたが、限界だったみたいですね……」
そう返した俺にルシエル兄上は「フッ」と笑いながら
「そう言うが、本来なら一番最初に泣いているのはアリューゼだと思うのだがな。私の弟はまだまだ余力が有りそうだ」
そう言って、力無く溜息を吐く。
そんな事は無い。俺だって大分限界だ。
なんでこの世界には通信魔法やスマホみたいなのが無いのだろう。
あればすぐにでも安否の確認が出来るのに………!!
おっと、兄上の前だ。冷静に。冷静に。
一息吐いて、呼吸を整えつつ。
「ふぅ……僕も、正直いっぱいいっぱいです。この調子だと今日の訓練に身が入りそうも有りません……」
「そうは見えないが……そう言うのならそうなのだろうな。アリューゼが弱音をはくところなんて見た事が無いしな」
「ええ、本当に……こればかりはどうしようもありませんからね……怨みますよ、力の無い、子供な自分を……」
そう言って目の前で拳を力いっぱい握る。
握力が足りず、手から血が出るようなこともなく、ただただ力いっぱいに握って白くなった拳が見える。
「そうだな、私も同じ思いだよ。父様が居るから滅多な事は無いと思うが……万が一、と思うとどうしても……な」
壁に思いっきり寄りかかりながら上を向いて力無く呟く兄上。
トニー兄上もどこか落ち着かなさそうだったし、全員限界が近い………保ってもあと2日くらいだな。それが過ぎたら制止されても探しに行こう。
そう決意するのだった……
その後ルシエル兄上とも別れ、外に出るとトニー兄上が一心不乱に素振りをしている。
俺も並んで何回か素振りをしてみるが、気が乗らないせいか、軸がブレ、上体も揺れるし、全然駄目である。
俺は持っていた木剣を放り投げ、その場にゴロンと寝転んだ。
……どれだけ寝転がっていただろう?まだずっとトニー兄上の素振りは続いている。
俺が隣で寝ていても気にしてないし、凄い集中力だ。
ちらと横目でトニー兄上の姿を眺めると、どうにも『鬼気迫る』と言った雰囲気でずっとずっと木剣を振り続ける。
……トニー兄上も………か。
兄弟全員がもう、限界なんだろう。
もうこうなったら明日と言わず、今日探しに行ってしまおうか………そう悩んで居るとふと、思い付いたことがあった。
そうだよ、1人で外に出られないなら護衛を雇えば良いんだ!!
そうすれば護衛する者以外が子供だけでも問題はなくなるはず。
思い立ったが吉日、早速ルシエル兄上へと聞きに行こう!
これで、父上と母上を探せるはず……!!
本日も申し訳ありませんがここまでです。
シリアスっぽいですけど、実はオチ的にはそんなでもありません。むしろおめでたい方です。
……ここまで言っちゃったらネタバレみたいになってしまうと思いますが、これからも続きを読んでいただけると嬉しいです!!
それではまた!




