マスターへのお店、来訪!!
遂に到着したマスターの店。
楽しそうに入っていく家族を見て、俺も入っていく。
するとそこには普段より身なりを良くしたマスターが居た。
「ようこそいらっしゃいました。ケイオス子爵家の皆様方。わたくし、店主のアルフォンスと申します。本日は心ばかりのおもてなしをさせていただきとう存じます」
笑うかと思った。普段とのギャップが酷えよ……!!
そのマスターに対して家長である父上が挨拶をする。
「お初にお目にかかる。アルフォンス殿。私はケイオス子爵家当主。リオル・ケイオスである。常々息子と娘と我が家のメイド見習いが世話になっているようで感謝する」
それに対して堂々とした所作で返礼を返すマスター。
「こちらこそ、ご子息には目を掛けていただいてありがとう存じます」
そう言って、顔を上げて我々を席へ案内する。
「それでは、こちらの席へどうぞ。少々お待ちいただく事になりますが、なるべく早くお持ちいたします」
「ああ、よろしく頼む」
そう言って、カウンター奥の調理場へと姿を消すマスター。
暫し調理音が続き、待つこと数分。
この日の為に雇ったと思われる給仕も伴って全員分のデザートを持ってくる。
「お待たせ致しました。当店自慢の1品であります。ご賞味を」
そう言って配膳が終わったマスターは一歩下がり壁際に佇む。
だが、その姿を確認していたのは俺だけで、家族は皆デザートに釘付けだった。
「こ、これは……!!」
「まあ!素晴らしいですね!」
「これ程とは……アリューゼに聞いていたが、まさか……」
「うわぁ〜〜〜♪お父様、もう頂いてもよろしいですかぁ!?」
「ちょっと待とうね、シャル」
「…………(無言で目をキラキラさせてる)」
おお、大人気だねぇ。
父上はザッと家族の顔を見渡し、咳払いを1つ。
視線を父上に集中する俺達。
「コホン。では、本日はこのような素敵なデザートを供してくれたアルフォンス殿と、この店を知り、仲を深め、この様な場をセッティングしたアリューゼへ感謝を」
「「「「「感謝を」」」」」
それを聞いてこっそりマスターが一礼していた。
「では、いただくとしよう」
そして、家族皆で一斉にスプーンを突き刺し、口へと運ぶ。
するとそれぞれがそれぞれの反応を示すが、どれもとても好意的だった。
甘いのが好きな母上や姉上、トニー兄上は喜びの声を上げながらパクついてる。
父上とルシエル兄上は静かに、一口ずつしっかりと味わっている様だ。
俺もどちらかと言うと後者の反応だが、その実驚きに固まりそうになっているのを無理やり抑え込んで食べている。
なんだ……この濃厚なコクと上品な甘みを併せ持ったアイスクリームは!!
なんとも言えない清涼さと甘みを同時に味わい……よく味わうと、これは……ハーブが練りこまれているのか……やはりというか、マスターはやっぱり凄えや!
氷も細かく、繊細に削られ、シロップとの相性もよく、下に敷き詰められたフルーツとの相乗効果で身体に甘みと栄養が染み渡るのを理解する。
これは……姉上やシシリーを怒れないな。
うん、好きに食べるといいさ。
ここでしか食べられないのだから……と納得してしまった。
そして、この宴は姉上と母上とトニー兄上は3杯、俺、父上、ルシエル兄上はおかわりを1回ずつして終わりを迎えるのだった。
全員が全員、とても幸せそうな顔をしていたのがとても印象的だった。
きっと、俺も同じような顔をしていたんだろうなと理解できる。
それだけ美味しかったのだ。
皆、それぞれ人心地付くまで無言でいたのだが、それが嫌ではない。むしろ自然な事だと思えた。
ややあって、食後(?)の口直しにと配られた飲み物(今日はオレンジ水)を飲み、マスターへと礼を言って支払いを済ませた父上が俺たちに言う。
「さあ、美味しかったから分からなくもないが、そろそろこのお店はディナーの仕込みをする時間になる。そんな大切な時間を我々が割いてしまっては申し訳が立たないだろう。そろそろ帰るよ、皆」
「「「「「はい」」」」」
そして、俺はこっそりマスターへ手を振り、マスターもウインクで返事を返してくれたのを確認すると馬車へと乗り込み、帰宅するのだった。
今日は頭が働かないのでこの辺で。
また夜に書きますので、よかったらまた読んでくださると嬉しいです。




