ぬいぐるみ作成その2だと思った?両手に花でお出かけだよ!(出発は次回)
さて、昼食の場。
食事が配膳される前に父上へと話を振る。
「あの、父様。午後に街まで出掛けたいのですが……よろしいでしょうか?」
すると少し不思議そうな顔をするが、特に問題無いと思ったのか首を縦に振ってくれる。
「ああ、分かった。構わないよ。すぐ帰ってくるのだろう?」
「ええ、必要なものを買ったらすぐ戻ります」
「必要なもの……?何かあるなら誰か買いに行かせるが……」
「すみません、自分の目で見ないといけないものなので……」
チラッとルシエル兄上の方を見るとフォローしてくれる。
「お父様。アリューゼも先日まで街に行っていたのです。ここは行かせても大丈夫かと思われます」
すると父上は顎に手を当てて少し考えるがすぐに返事をくれる。
「分かった。ただし、またシシリーを連れて行くこと。アリューゼはしっかりしていてもまだ3歳なのだしね」
「分かりました。それと、出来れば姉様ともご一緒したいと思っているのですが」
そう言うと、姉上がすぐに手を挙げて「行く!」アピールをする。だがこれには少し難色を示すみたいだ。
「う〜ん……シャルもかぁ……シャルには午後にはマナーの稽古が有るのだが……」
そう言ってくると思ったので「失礼します」とだけ言って席を立ち、父上の元へ。
そして小声で耳打ちする。
「あの、実は昨日から姉様は少し不安になっておられるようなのです」
「ふむ、続けてくれるかい?」
「はい、来週に迫った『あの日』がプレッシャーになっている様でして」
「確かに、もうすぐだったね……」
「はい、なので、気晴らしとして散歩がてら街へとご一緒したいのです」
「……なるほど、それならアリューゼの言いたい事も分かった。ただし、ちゃんとエスコートするんだよ?」
「はい、十分に安全を考慮し、楽しませてみせます」
そう言うと、口だけで『頼んだよ』と言ってきてくれる。
言われずとも、だ。
なにせ最初にこの世界に来て、『護りたい』と思ったのがこのいつも優しく笑っている姉上なのだから……そして、席に戻ると父上が
「シャル、行ってきていいよ。楽しんでおいで?」
と言ってくれる。すると姉上は嬉しそうに
「はぁい!!」
と返事をするのだった。
そして、昼食が終わり、シシリーにも説明してそれぞれ着替えて玄関で集合との事になった。
姉上は着替えるのにメイドを1人連れて行ったが……あの服は一人で着るの大変そうだもんなぁ……なにせ、この時代にゴムなんて無いから(『有りますよ?ただ、この国では普及してませんが』)有るんだ……あ、アウラ様、こんにちは。(『はい、こんにちは、あーちゃん。』)それは……ゴムの木が有るって事でしょうか?それともゴムの加工がされているんですか?(『まだ加工はされてませんね。ただ、木から出る樹液に粘性があるのを知ってる者たちがなんとか何かに使えないかと試行錯誤してる所です』)へえ。なら数年後には出回るかもしれないな。そうなったら服に対して色んなアプローチが始まるだろう。(『…その前に、兵器に運用されそうなのです』)ええ〜……せっかくあんな便利なモノを兵器にだなんて……魔法の方が絶対手っ取り早いのに……(『そうは言っても、世の中の全体の半分も居ませんからね。魔法を使える程の魔力持ちは。もちろん、全生命体に魔力は流れているのですが……』)多分ですけど、遺伝も大切だけど、幼少期の訓練も大切なんでしょう。幼少の頃の方が感覚が敏感ですし(『その通りです。幼少時に感覚を覚え、使い続けることで鍛えられますので、歳を経てからでは魔法を使える技量にならないのです』)やっぱりか。絶対音感とかと同じ様な感じかな?それと、幼い頃だと多言語を覚えやすいって言うし、それもあるのだろう。
そして、アウラ様からこんなお言葉が。
(『アリューゼ、貴方がこの生を全うするまではゴムの兵器転用は実装はされません。ですが、貴方の子供世代だと危ないのです。もし、もしですが、貴方が止める……いえ、実際に活用された世界から来た貴方が正しい道へと導いてくだされば、と。お願い……出来ますでしょうか?』)
うん、それは俺も気になる。
実際にゴムは生活の中で必ずどこかしらで使われていたし、安全安心な暮らしへとするのに必要なピースの1つ。
……確約は出来ませんが、成長し、その土地に行けるようになるならなんとかしたいと思います。
(『ありがとうございます。せっかく転生したのに苦労を掛けてしまった申しわけありません』)
いえ、俺も欲しいですし、利害の一致です。場所は何処になるのですか?
(『ええ、場所はーーー』)
ふむふむ。なるほど。覚えておこう。では、ご心配なくと確約は出来ませんが、なんとか足掻いてみますね。
(『よろしくお願いします』)
そうして、アウラ様の声が聞こえなくなった頃には俺も着替え終わり、玄関へと向かうのだった。
そして待つ事30分。15分前にはシシリーが来て、ようやく姉上が来た。
「お待たせぇ……あーちゃん、シシリーちゃん、今日はよろしくねぇ♪」
「はい、お任せ下さい姉様」
「はい、こちらこそよろしくお願いしましゅ!」
………噛んだな。まあ、指摘するのは野暮だからしないでおこう。
「しかし、姉様……お綺麗ですね。シルクのワンピースですか……桃色に染色されていて、姉様の髪にマッチしていてとてよよくお似合いです」
ついスラスラと褒め言葉が出てしまった。
女性の服は褒めるって先入観があるからな……しかし、姉上も照れてらっしゃる。可愛い。じゃなくて、なるべく控えねば。
「あーちゃん♪ありがとぉ♪」
姉上が俺を抱きしめる。
「姉様、離してください。はしたないですよ。シシリーも見てます」
「あ、ごめんねぇ……」
「ふふ、姉弟仲がよろしくて何よりです」
良かった。シシリーはからかってくるタイプじゃなかった。
「それでは姉様、お手をどうぞ」
「はぁい」
……エスコートって言ったらこんな感じだよね?まあ、身長差で逆に姉に手を引かれる弟になってるけども。まあしゃあない。
それじゃ、街まで行ってきますかね。
眠気が来たので今日はここまで。
また今日の夜に3話書きますので面白いと思っていただければ幸いです。
よければまた読んでいただけると嬉しいです。




