姉上との1日。たまにはこんな日もあるよね?
ウマ娘やってて、少し落ちこんでましたがまあ、普段の時間には間に合いました。
眠気来るまで書くので、もう1話か2話更新します。
あれから3日が経った。
ん?そんな毎日毎日事件なんて起こらないよ。特筆すべき事が一切無かったからね、仕方無いね。
まあ、シシリーの新たな私服を買ったのは特筆すべき事だったかも知れないけど、俺とシシリーはあくまで『主従関係』だし、むしろ気にしてるのはルシエル兄上だしね。そこに触れるのは辞めておこう。
そして、実は昨日またレッドブルホーンの肉が食べられたんだよね。
そこはまあ、説明しても良かったかなと思わなくも無いけど、毎回食事の風景を説明するのもね。でも、一言だけ。
レッドブルホーンのメンチカツ……くっそ旨かった……牛カツにするのかと思いきやまさかのメンチカツ。あの蕩けるように柔らかなレッドブルホーンの肉が、荒く微塵切りにされ、玉ねぎ、ペッパーで味を整え、そこに生卵で濡らしてパン粉で揚げただけのただそれだけのシンプルな料理……それだけなはずなのに俺は福音を聴いたね。
周りに居る同じの食べてた客も恍惚な表情浮かべてたから大なり小なり同じ様に福音を聴いていたのかも知れない。
シシリーなんか、一口食べて数分気絶してたからね。うん、なんか中毒性のあるヤバい成分でも入ってるのかと疑うくらいの美味しさだった。
閑話休題。
とりあえず昨日までで主要な所への氷の補給は終わったので、実は父上にお釣りを返そうとしたけど「それは正当な報酬だから持っておきなさい。そもそもこの時期に氷を買うと金貨5枚なんかじゃ買えないからね」と言われたのでとりあえず小金貨2枚だけポケットに入れておいて残りは部屋に置いてある。
誰かに盗られないかって?泥棒でも入らん限りは盗まれる心配は無いので無問題。
そして、俺は今何をしてるかと言うと……
「んふ〜♪久し振りのあーちゃんだぁ♪」
姉上に捕まった。
いや、あのね、逃げようとしたんよ?でもね、姉上、泣きそうになってたから逃げられなかったよ………くそぅ、女の子の涙に弱いなぁ……そんな訳で、久し振りの姉上の膝の上である。そう、『膝の上である』大事なので2回言う。
なんかなぁ、姉上、俺をペットか何かと思ってないかね?……いや、それは無いな。ただ、愛情表現がダイレクトなんだよね。母上と同じく。
つまり、結婚して子供が出来れば姉上は良い母親になる事だろう。
その疑似体験をしているんだと自分に言い聞かせる。良いじゃないか。俺が少しの恥ずかしさを我慢するだけで姉上に擬似的とは言え子育てを体験してもらうのは。……ごめん、無理があった。俺が子供らしく無いからなぁ……しょうがない。弟として産まれた宿命だ。甘んじて甘やかされよう!!
なんて、気楽に考えてたらいつまで経っても開放されん!!どういう事だ!?隣では姉上が寝てるんだが手を離してくれんから逃げられない……ぐぬぬ。
まあでも、ここ数日シシリーと外に出てばっかりで構われてなかった(構ってなかったでは無い)からね。姉上も構いたくて構いたくて仕方無かったんだろう。
アレだね。自分の大切にしてたおもちゃを数日間取り上げられてたようなもんかな?って、誰がおもちゃやねん!……寒いな。やっぱ思うんじゃなかった。
しかし、安心して寝てるね。今日はそんなに暑くなく、風が気持ちいいから窓を開けているんだけど、適度に風が入ってきて涼しくて気持ちいい。……俺も寝ようかな………うん。寝ちゃおう。おやすみなさい……ぐぅ。
そして、気が付けばお昼も過ぎてしまった。横を見たらティーセットが2人分と、トレーに蓋がされてる何かが置いてあった。多分気を利かせて部屋で食べれるように持ってきてくれたんだな。感謝感謝。だけど、まだ姉上は寝ておられる。うーむ。これは困った。
とりあえず揺すってみる。
「姉様、姉様、起きて下さい。もうお昼過ぎちゃってますよ〜」
「すぅ……すぅ……んふふ、あーちゃんくすぐったぁい……んふぅ……」
駄目や、起きん。正直お腹は減ったけどもこのまままだお付き合いしますかね。
改めてごろんっと寝転がって寝てる姉上の顔を見る。
……ほんと、幸せそうに寝るなぁ。
その時、外から少し強い風が吹いて来た。
そして、フワッと広がる姉上の髪。プラチナブロンドでふわふわした柔らかい髪が風の悪戯で舞う。その瞬間『まるで御伽噺の眠り姫みたいだな』なんて思ってしまうくらい寝てる姉上は可愛らしく丸く眠っていた。そんな姿を見ていたらまた眠気が襲って来たのでそのまま睡魔に任せて眠る事にした。
「あーちゃん、起きて。もう夕方だよ〜」
あ?え?もう夕方?うわヤバ。飯も食わずに眠ってたよ……さて、落ち着こう。とりあえず目を擦り(ホントは良くない行為だけど)目を覚ます。
おおう、本当に夕方だよ。我ながらよく寝たなぁ……実は疲れてたんかね?とりあえず目覚めの挨拶だな。
「あ、おはようございます、姉様」
「うん、おはよぉ。私も目が覚めたら夕方でびっくりしちゃったよぉ!」
俺達はお互い顔を見合って笑う。
「最近暑かったですし、クーラーを使っていても逆に眠りづらかったんですかね?」
「うぅん……ちゃんと寝てたんだけどねぇ……久し振りにあーちゃんと一緒に居れて嬉しかったのかもねぇ」
ほにゃっと笑いながらそう宣う姉上。
「確かに、ここ数日僕はで歩きっぱなしでしたからね……寂しかったりしましたか?」
「うーん……そうかも。それにホラ、もうすぐ『あの日』も近づいてるし、それであーちゃんと一緒に居たら安心しちゃったのかもぉ」
あの日……そうか、もう一週間もしないでお見合いの日か。……不安、だったんだろうな。それじゃ、今日の俺はさしずめ姉上専用のぬいぐるみみたいな感じだったのかね?それだったら、今日一日にも意味があったんだろう。そう納得する。
「そうでしたか……しかし、お互い眠り過ぎちゃいましたね」
「ふふっ、そうだねぇ」
「これで夜眠れなかったりしたら父様に怒られてしまうかもしれませんね?」
「えぇー!それは嫌だよお!」
「大丈夫です。ちゃんと寝ればいいんですよ寝ればね」
「うーん……眠れるかなぁ?」
心配し過ぎるのも逆に良くないんだけどね。子供だから放っておいても眠れると思うが。前世と違って夜更し2適したアイテムや娯楽なんて無いし。
とは言ってもやはり不安が拭えない様子だし、ここはなるべくなら遠慮したかったけど仕方無い、一肌脱ぎますか。
「姉様は僕と一緒だと安心して眠れるんですよね?だったら今日は久し振りに一緒に寝ますか?」
「………いいの?」
「ええ、久し振りですし。たまには」
「むぅ……ホントはもっと一緒に居たいんだよぉ?」
「姉様派もう8歳。立派な淑女なのですから駄目でーす」
「むう、あーちゃんのいじわる!」
ふふ、拗ねてしまったか。まあ、実際本当は良くないんだよなぁ……一緒に寝るってのは。一人寝が出来なくなると姉上が大変になるし。
とか思ってたが、そういやお昼に用意されてたのがあったなと思って横を見ると、トレーは下げられ、新しく淹れたっぽいティーポットがあったのでティーカップに注いで姉上にも渡す。そしてお互いに無言でカップを傾ける。うん、寝起きの喉に冷たい紅茶がいいね。本当は常温の方が喉には良いらしいけどそんな事は知らん。喉越しはこっちの方が上だ。
そんなこんなでお互いに飲み終えて一息吐く。夕陽に照らされた部屋が紅く、紅く染め上げられて、なんだか少し不思議な気分になる。
「………もう、あと少しで夜ですか」
「うん、そうだね……」
「今日は1日があっという間でしたね」
「そうだねぇ、寝ちゃってたらあっという間だったねぇ」
「だったら、今日の夜も、あっという間に過ぎますよ。……本当は、あの日からずっと不安だったんでしょう?」
そう言うと、姉上の身体がビクンッと跳ねた。やはり図星か。
「そ、そんな事……」
すぐにバレる嘘を吐こうとする姉上にピシャリと。
「はい、嘘ですね。ほら、視線が揺れて視点が定まってませんよ?」
「うっ………はぁ〜………あーちゃんはすぐにお姉ちゃんの事が分かっちゃうんだねぇ」
「いえ、今日一日一緒に居たから気付けた事ですよ。昨日まで忙しくて姉様の事まで考えられませんでした。すみません」
「うぅん!そんな事は無いよ!あーちゃんが父様の命でお仕事だったのは分かってるし、帰ってきてから疲れてるのに皆の部屋を冷やしてくれてたし!」
いつもよりハキハキ喋る姉上。普段は少しのんびりしてるんだけど、今はそれもほぼ無い。本当に、無理させちゃってるな……まあ、だからって毎日一緒に寝てあげられはしないけども。そこは譲れん。俺がでかくなっても一緒に寝る様な姉上にはさせられんのでね。
「いえ、それでももう少し、夜に時間を取ればよかったと思ってます。本当は不安で不安で仕方なかったんでしょう?」
「………………うん」
「だったら、今日は一緒に寝てあげます。明日以降もお互いに暇なら一緒にいましょう。それで少しでも姉様の不安が晴れるなら」
「ありがとうね、あーちゃん」
そう言って、俺の頭を撫でる姉上。
その顔にはいつもの微笑みが浮かんでいた。うん、これなら大丈夫かな?さて、それじゃあお腹も減ったし、食堂に行きますかね。
「それにしても、まさかお昼を食べ損ねてしまうとは……もうお腹が空いて大変です」
「うん、ごめんねぇ……でも、私もお腹すいたよぉ」
「では、食堂に行きましょうか姉様」
「うん、そうだねぇ」
「食事をして、また今日はお風呂にお湯を張るのでゆっくり浸かって下さいね。お風呂もリラックス出来ますので」
「うん、ありがとぉね、あーちゃん♪」
こうして、食事に向かい、夕食を食べ、お風呂に入って、のんびりとお風呂上がりに雑談してたら姉上が船を漕ぎ始めた。
「さあ、そろそろ寝ましょうか」
「うん、おやすみぃ、あーちゃん……」
「はい、おやすみなさい、姉様」
そうして姉上は眠りにつく。
……しかし、今日の姉上は本当に甘えん坊だったな……『一緒にお風呂』と言われた時は断固拒否したけども。そちらは女性専用です。男性は入っちゃ駄目です。ん?3歳はまだ平気だと?精神がとっくに成人してるんだから入っちゃ駄目っしょ。
しかし、俺も眠くなってきた。
そういや、明日は朝食後にルシエル兄上に呼ばれてたな。材料が揃ったから取りに来いって……持ってきてくれても良いだろうに。
まあ、シシリーにバレない様にって事なんだろうけども。微笑ましいねぇ。
さて、明日はぬいぐるみ作りながらなるべく姉上と一緒に居てあげるとしますかね。
それじゃ、おやすみなさい!!また明日〜。




