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スラム街と外壁工事

さてと、それじゃ続きをやりますか。


「シシリー、次は何処へ行こうか?」

「うーん……あまりおすすめ出来ないのですが、スラム街でしょうか……?」

「えっ?うちの領内にあるの?」

「ええ、どうしても街が大きくなると貧富の格差と言うものが出てしまうので……」


まあそうか。どうあっても貧富の差は人の社会に付き物だしなぁ。


「なるほどね。まあ、でも、別に反抗的って訳でも無いでしょう?」

「それは……まあ、はい」

「だったらうちの領民には変わりないし、困ってるだろうからさっさと行こうか」

「あ、はい!ではこちらになりますので付いてきてくださいね?」


その言葉に「了解」と返してテクテク付いていく。


暫し外周まで歩いていく。すると段々こう言うとアレなんだけど、ボロっちくなってきたと言えばいいのかな?

なんとなく寂れてきたな。


でも、周りを駆ける子供達は元気いっぱいだし、その親達と思える女性も元気溌剌と言った感じだし、貧富の差=幸福って訳じゃないのが分かる。


男性が少ないが、確か外壁とかの工事の人足でこういう所の男性が使われるって昔読んだ小説でもあったから力仕事をしに行ってるのかもね。


さて、それじゃあちゃっちゃと回っちゃいますか!!




「坊ちゃま、ありがとうございます」


おばさんがお礼を言ってくる。それに対して「気にしないで下さい」とだけ答えてその場を後にした。


うーん、まだ時間あるな………せっかく外周近くまで来たし、外周の様子を見に行こうか。


「シシリー、このまま外周の様子を見に行きたいんだけどいいかな?」

「それは……えっと……外に出ないのでしたら大丈夫です」

「うん、無理言ってごめんね」


と言って謝るが、本当は外に出てみたかったのは内緒だ。


「それじゃあ行こうか?」

「はい、ではこちらになります」


そう言って外周へと向かうのだが……クーラーを使ってるからか、子供達が付いてきてしまってる。


「こーら、僕達は外周に行くんだから、君達はお家に帰りなさいな」

「あっこら!スカートの裾を引っ張らないでぇ!」

「ほらほら、お姉ちゃんが困ってるよ。ほーら、この指を見てて。……ほーら、あっちに雪が降ってるぞぉ」


軽く水魔法と氷魔法を合成して雪を振らせて子供達を散らす。


「大丈夫?シシリー」

「は、はい……ああ、裾が伸びちゃって……」

「ごめんね、僕が外周に行きたいって言ったから」

「いえ、それは別にアリューゼ様のせいでは無いので……」


でもまあ、俺が行くって言ったからだよなぁ……まあ、そこは父上に伝えておこう。

俺のせいでシシリーの私服をちょっと駄目にしちゃった……って、言い方がアレだな。3歳児じゃ無かったらアウトな言い方やん。まあいいや。


そんなこんなで到着。

おお、外壁に人が沢山。

やっぱりスラム街の男性がここで働いてるのかな?


「おーい!接着剤どこだー?」

「ここ、ブロック欠けてるんだが補修材はどこだ!?」

「今持っていくー!」

「梯子足りねえぞー!!」

「あぁ!?どこやんだよ!」

「西の方の外壁の確認だよ!!」

「倉庫にねえか!?」

「無いから聞いてんだよ!」

「それより接着剤早く頼む!!」

「わかった、わかった!この梯子持っていけー!!」

「接着剤持ってきたぞー!」


いやあ、元気元気。喧々諤々丁丁発止のやり取りを見て、前世の建設現場のやり取りを思い出す。

これはどこの世界でも職人さんってこんな感じなんかね?


まあ、特に問題無さそうかな?

とりあえず現場監督さんみたいな人はっと……お、あそこで設計図っぽいの見てる人が居るからあの人かな?


そこに行って監督さんに話して薬缶に氷水を沢山入れておいた。


これで熱中症は大丈夫だろう。

皆ムッキムキだし、皮膚もしっかりと焼けてるし、今日が特段暑いけど、その前からも少し暑かったし、慣れてないって訳じゃないだろうし。


特に怪我とか倒れてるって人が居る訳でも無いし、俺の魔法は必要無いだろう。


しかし、この沢山の人が1つの大きな物を創るっていう姿はやっぱカッコいいな……これぞ人の営み。昔から連綿と引き続いている人の歩んだ歴史。


作っては壊れ。

壊れては更に良いものを作り。

それがまた壊れて。

それよりも良いものを、と続いていく人の歴史。


現世はまだ中世レベルだけど、前世の時だってやってる事はほとんど変わらない。


と言う事は、もっと昔から、こうやって協力して物作りをしていき、ドンドン人の世を良くして行っていたのだろう。


何故か、そんな郷愁にも似たようなそんな思いが浮かんできた……何時までも眺めていたかったが、日が沈み、辺りが暗くなるにつれて人が帰っていく。


その姿もまた、なんとなく寂しさを感じる。


そして、人がほとんど居なくなるまでずっと見ていた俺にシシリーが話しかけて来る。


「もう、よろしいでしょうか?」


俺は、気が付かないうちに何故か涙が流れていた目元を拭い


「うん。ごめんね。なんか……圧倒されちゃってさ」


と誤魔化す。


「いえ、アリューゼ様は初めてでしょう。あんな沢山の人が作業しているのを眺めるのは。仕方ありませんよ。私だって圧倒されちゃいましたし」


ペロッと舌を出して苦笑いを浮かべるシシリーだが、これはきっと、彼女の気遣いだろう。それに気付いたが気が付かない振りをして伸びをする。


「う〜〜〜〜〜ん!!今日もありがとうね、付き合ってくれて」

「いえ、私も楽しんでますのでお気になさらずに」

「そお?でも、こんな時間まで付き合わせちゃったしね……どこかの露天で何か奢るよ。好きなの頼んで」

「ええっ!?いいですよ!!そんな事してもらわなくても!」

「いいのいいの。これは僕のお礼の気持ちなんだから。受け取って。ね?」

「はい……分かりました……」


そう言って、シシリーと共に露天の出てる通りまでゆっくりと歩いて行く。


まだ先程の風景が目に焼き付いてる。

人って、美しいなって、そう思える……そんな気分だ。


そして、とある露天で飲み物をお互いに頼み、少し雑談をしながら飲む。

飲み終わったコップは返さないといけないから前世みたいに飲み歩きが出来ないのがなんか歯痒い。でもまあ、プラスチックとかまだ無いし、仕方ないんだろうけども。


そして、飲み終わってお金を払い、屋敷へと帰っていくのだった。


今日も色々あったな、と思いつつ明日はどんな事が待ってるんだろうと言う楽しみな様な、不安な様な、そんなドキドキを胸に屋敷の扉を開けて入る。


「アリューゼ、只今戻りました!!」


さて、ひとまず今日の夕飯はなんだろうねっと考えながら食堂へと向かうのだった。

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