食後と通貨と治癒魔法と
あまりにも美味し過ぎる物を食べた事によるヘイヴン状態からなんとか意識を取り戻す事に成功。
いやー、あんな旨いもん前世でも食ってないしなぁ……また食いたいなぁ……と思いつつ空っぽになった皿を哀しい気持ちで眺めていた俺にマスターが笑いながら声を掛けてくる。
「アッハッハ!そんなに気に入ったんか?こんなに旨そうに食ってくれたんなら作り手として最高の反応だ。この肉なら不定期だが、この店に卸されるから、もしまた来る事が有るなら寄ってってくれ。入荷してたらサービスするぜ坊っちゃん」
そういって俺の肩をぽん、と叩いて皿を手早く片付けるマスター。
そっか、今店にあったって事はまた入荷されるって事だ!
その魅力的な言葉に希望を取り戻した俺は、皿洗い中のマスターに聞いてみる。
「あ、あの!マスター……この肉って次入荷日分かりますか?それと値段も……」
「あん?ん〜……大抵肉が無くなる前くらいに入荷するからなぁ……また2〜3日で入荷すると思うぞ?んで、値段なんだがこれは結構高くてな。5000リルだ」
その値段を聞いてシシリーが顔を青くする。
ん?どしたん?シシリーさんや。
「あ、アリューゼ様!!5000リルって言ったら普通のランチの10倍の値段ですよ!!」
ほほう。5000円みたいな感じかね?もしかしたら10000円かもしれんが。
だとしてもこの味なら別に10000円くらい出しても良いけどなぁ。
そういえばこの世界の通貨なんだけど、硬化と紙幣両方ある。
ただ、紙幣は国によって使えたり使えなかったりするんだけど。
んで、まあ、鉄銭、小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨、銀貨、大銀貨、小金貨、金貨、大金貨、白銀貨となってる。
それぞれ
1リル鉄銭
5リル小銅貨
10リル銅貨
50リル大銅貨
100リル小銀貨
500リル銀貨
1000リル大銀貨
5000リル小金貨
10000リル金貨
50000リル大金貨
100000リル白銀貨
って感じだ。又聞きだけど。
そんな感じの貨幣の流通だけど、紙幣は手元に無いし、説明受けてないからまだ分からないんだよね。
金とかより軽いからって使われてるんだと思うけど、全世界に普及はしてないらしいから銀行でとかで使われる手形みたいな感じかもしれない。
んで、5000リルね……父上からもらったお小遣い(違う)はっと………ほほう、金貨5枚か。
え?5万リル?父上くれ過ぎじゃね?
と、思ったが、領内歩きまくって氷の補充をするって考えると必要経費(飲食)も考えると妥当なのかもしれない。
まあ、余ったら返せばいいし。
んじゃま、お腹もいっぱい、魔力も満タン、それじゃあ続きに行きますか!
「それじゃあマスター、ごちそう様でした。また機会があったら『絶対』寄らせてもらいますね!!」
「え!?アリューゼ様!また食べるんですか!?」
「うん、そのつもりですよ。シシリーは食べたくないのですか?」
「そう言われたら『絶対』食べたいですけど……」
ふふん、そうだろうそうだろう。この美味しさならね〜。また食べたいよねぇ〜。
「うん、なら毎日ここに通いましょう。あったら食べるという事で」
「え?いいんですか?」
「もちろん、父様からはシシリーの分までお金貰ってますしね」
「いや、でも……良いんでしょうか?私もなんて……」
「僕だけ食べてシシリーが別のなんて嫌ですよ。一緒に食事を摂るなら同じのが良いですよ。もちろん普段は食べたい物を選んでくださっても構いませんけどね」
「あ……アリューゼしゃま……ありがとうございましゅ〜!!」
最後は嬉し泣きしちゃったシシリーにハンカチを苦笑しながら渡して顔を拭かせる。
その間はマスターと軽く雑談してあえてそちらを見ないようにしておく事を忘れない。
女性の身嗜みを整えるシーンをジロジロ見る趣味なんぞ俺には無い。
すると、数分ほどでシシリーが話し掛けてきた。
「アリューゼ様、ありがとうございました。こちらお返しします……」
少し顔を紅くしながらこちらを見るシシリーに対して顔に手を伸ばして(この赤く腫れた目元、何とかしてやりたいなぁ)と心で思いながら撫でる。
「あの、アリューゼ……様?」
「ごめんね、泣かせるつもりは無かったのですが」
「いえ!これは私が勝手に泣いてしまっただけで……アリューゼ様のせいでは決して!!」
……ッ!!それを聞いて心の裡からなんとも言えない感情が湧き上がる。
『この少女の赤味を癒やしてやりたい』
と。すると指先に緑色の魔力が集まってシシリーの目元の赤味が引いていく。
「あれ?これは……?」
「あ、なんだか目元が暖かい……」
『治癒魔法を獲得しました。治癒魔法LV.1になりました』
おお、治癒魔法ゲット!?
どうすれば使えるのかと思ったけど、心から『癒やしたい』と強く願うのが条件だったのか……
「アリューゼ様、まさかこれって……」
「うん。治癒魔法……みたいだね」
「凄いです!アリューゼ様!!」
「いや、まぐれですよ。多分ですけど、そうそう使えるものでは無いと思います」
「そうなんですか?」
「ええ、覚えたと言っても、発動条件は厳しいと思いますしね」
これは事実だ。実際今程の強い思いはそうそう浮かばないと思うし。
「さあ、それよりも続きに行きましょう。大分時間を取ってしまいましたしね」
「あ、はい!そうですね。マスター、お世話になりました」
ペコリと一礼してお礼を言うシシリーに対してマスターがニカッと笑い
「良いってことよ!嬢ちゃんも坊っちゃんもいい食べっぷりでこっちも見てて嬉しかったしよ!また来てくんな!!」
そう言って、俺達を見送ってくれるマスターに手を振って別れる。
さーて、続きに行きますかね!!




