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アリューゼ、やらかす(二重の意味で)

PV1000超え記念にちょっと早く一本だけ更新します。

また続きは夜にアップしますので、続きが気になる方は是非お読みいただけると幸いです!

コンコン。


おや?こんな時間に誰だろう?……っと、少しぼんやりしていた思考をクリアにし、返事をする。


「はい、何方ですか?」


すると、返事は予想外の人物からであった。


『あ!あの!シシリーです!先程お外からお部屋の方へ戻られたようなので冷たいお茶をお持ちしました!』


ああ、なるほど。気を遣わせてしまったようだな……あのいつも一生懸命で、やる気が空回っている所もあるが仕事に対しての責任感をしっかり持ってるメイド見習いの少女を思い出して少し苦笑する。ああ、駄目だ。笑うのは失礼だった。ただ、微笑ましいんだよなぁ。とと、返事をしなくては


「ああ、ありがとうございます。どうぞ、中へ」

『はい、それでは失礼します!』


そう言って扉に手を掛けて開くシシリー。

カートを押して、その上に載ったティーポットとティーカップを落とさないようにと慎重に運んでいる。そして俺の元へとやって来たシシリーは一礼して


「お待たせしましたアリューゼ様」


と不慣れなお辞儀をする。

そんなに緊張しなくても良いんだけどなぁ。まだ俺3歳児だし。ま、そういう訳にも行かないんだろうけど。


「ああ、別に気にしなくても良いよ。それより気を遣わせてしまったね。お茶、ありがとうございます。早速淹れて頂いても?」

「はい、少々お待ち下さいませ!」


まだ少しぎこち無いが、笑顔で答えてくれる。そこがまた小動物っぽくてかわいいんだよなぁ。……まあ、シシリーの方が年上なのだから、その評価は彼女には失礼だと思うが、前世の記憶がある俺から見ると微笑ましい所作である。


「溢さないように、溢さないように……はい、アリューゼ様。どうぞお召し上がり下さいませ」

「うん、ありがとうございます。では、頂きますね」


最初の小声は聞かなかったことにしておこう。多分無意識だし、指摘すると慌てふためく姿が想像に容易すぎるし。


さて、ではいただきますか。


カップを傾けて……口に含み、味を楽しみ、匂いを堪能する。

とても爽やかな喉越しにそのまま2口、3口と飲んでいく。

そのままカップに入ったアイスティーを半分ほど飲み干した俺はカップから口を離し、カートのティーソーサーの上に置いてから味の感想を伝える。


「……うん、とても爽やかな飲み口と香りのいいお茶ですね。こちらはシシリーが淹れたのですか?」


この質問は予想してなかったのか、少し慌ててシシリーは答えてくれる。


「は、はい。あの、本日は少々暑いので爽やかな香りのハーブティーを選んで淹れました。お口に合ったようで何よりです」


と、安堵の笑顔を浮かべるシシリーに対して「ありがとうございます」と再度お礼を伝えて残りを飲み干す。思ってたより俺も喉が乾いていたようで、すぐに飲み干してしまった。その姿を見て笑みを深めたシシリーはおかわりを促してくれたので新たに注いでもらう事にする。


そして暫し俺がティーカップを傾ける音だけが響き、少ししてから何やら意を決したようにシシリーが話しかけてくる。


「あの、アリューゼ様……私、さっきのを見てしまったんです」


ん?さっきのって……まさか裏庭の事か?あー……油断した。まさか見られているとは……気配察知スキルの習得も必須かなこれは。しかし見られていたなら仕方無い。正直に打ち明けよう。


「あー……裏庭での僕の魔法のことかな?」

「………はい。そうです」


消え入りそうに、自身がやらかしてしまったかの様な声音で返答するシシリー。

いや、別に見られたからってどうするって事は無いのだけども。……この世界だと3歳児が魔法を使うのはやばいのかな?(『ヤバくはありませんよ。ただ、まだ3歳で魔法を、しかも複数属性を使いこなす様な子供が少ないだけで』)あ、アウラ様こんにちは。なるほど、そうなんですね。と言う事はシシリーは見てはいけない物を見てしまったって思ってるのかな?(『多分、そうじゃないかと。しかもあーちゃんは突然上位属性魔法の氷属性を沢山使ってましたからね。それが原因かと』)えっ。氷属性って上位なんです?まあ、確かに想像するのはちょっと大変でしたけど言うほどでしたか?(『多分ですけど、あの小さな氷の塊をパラパラと創り出してたことに驚いてるのでは?この世界だとあの様な使いやすい氷ってありませんし』)あー……前世の製氷機さんの知識が駄目でしたかぁ。


「あの、シシリー。別に見られた事に関して僕はなんとも思ってませんよ?」

「えっ。でも、あんなに凄い魔法をお使いになられている所を見てしまったのですよ?お咎め無しで良いのでしょうか?」 


……お咎め。そう来たか……実際別に見られても良いんだよなぁ。これから鍛えていった力でもって、この家の住人達を守るって決めたのだから。なので、


「ええ、大丈夫ですよ。僕は今、魔法の訓練をしているのです。それは見ていたなら分かりますね?」


コクコクと頷くシシリーに対して彼女と目線を合わせ……身長差で見上げる様になっちゃうのはご愛嬌。


「僕はこの通り小さいし力も弱い。なので、現在自分にできる事は魔法だったんです。この力は幼く小さい僕でもこの家の『力』になれるのです。なので、その為の訓練を家族に見られてどうして怒りましょうか?」

「家族……で、ございますか?私も?」

「ええ、僕にとってはこの家に住むもの皆家族なんです。だから、シシリーも家族です。この家に仕えている限りは……ね?」


ビックリしたのか涙をぽろぽろと零しながら俺の事を見ているシシリーに、そっと微笑む。「嘘じゃないよ」「信じてよ」って気持ちを込めて。

ややあって、笑顔を浮かべたシシリーへハンカチを渡す。


「はい、これで涙を拭いて下さい。せっかくの可愛い顔が台無しですよ?」


おっと、これではまるでシシリーを子供扱いしているみたいだな。失敗失敗。そう思ってたら何やらシシリーは顔を真っ赤にしている。……これは………やらかしてしまったかな?3歳児からの言葉だからそういう意味には捉えないと思ってたんだが……言われ慣れてないのかな。可愛いのに。


「〜〜〜〜ぃます」


消え入りそうな蚊の鳴くような声でお礼?を言ってシシリーはハンカチを受け取って自身の顔を覆ってしまった。

うーん、言葉選びって難しい………。今後は女性を褒める際は気を付けねば……と考えている内に涙を拭き終わったシシリーは「褒めていただきありがとうございます!それでは失礼します!!」と言って一礼してカートを押して出ていってしまった。


ハンカチ……と思ったがまあいいかと思う事にする。女の子を泣かせる趣味は無いしね。


しかし、氷魔法をこの年で使える様になるのは早いのか。

となると父上にはお伝えした方が良いかな?


我がケイオス子爵家の当主なことだし、俺の魔法の事くらいは伝えておいた方が良さそうだ。


日も大分高くなった。午後はもう少し暑くなりそうだ……と思いつつ、そろそろお昼の時間だろうと食堂へ向かう事にする。


さて、今日のお昼はなんだろうね?

中身60過ぎって考えると10歳くらいの女の子への対応ってこんな感じかなーと思ったのですが……やりすぎましたかね?


基本アリューゼ君は優しいので、またこうやったやらかしをしてしまうかと思いますが、暖かく見守っていただけると助かります……!!

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