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世界最強なのに、学校に行かされることになったんだが……  作者: sena
第1章 異能者育成学校編入編
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第1話 学校なんて行きたくない!

久しぶりです!皆さま!


大変お待たせいたしました。

中々書こうという気にならず、時間だけが過ぎていく毎日で……それでも何とか一話を書き上げました。


ただ、前作のように毎日投稿と言うのは出来そうにありません。目標は、週一投稿。多くて週二と言った感じですかね。


それと作品のタイトルですが、全く決まっておらず、適当に決めたので後で変えるかもしれません。


それでは、よろしくお願いします。

 

「きゃああああああああああああ!!!」


 女性の悲鳴が響き、それが引き金となったかのように、至る所で悲鳴が上がった。


 場所は日本。

 交差点の中央に巨大な(ゲート)が開き、そこから化け物が現れる。


 先の悲鳴は、化け物が近くにいた、呆然としている男性を殴り殺した際、その隣にいた女性が上げた声だった。


 化け物の名前は『ミノタウロス』。

 RPGなどのゲームを知っている人にとってはお馴染みのモンスターだろう。体長は二メートルを超え、筋肉は盛り上がっている。


 それも一体ではない。次々とゲートをくぐりながら現れる。その数五十を優に超えている。


 ミノタウロスを視認した人間は、我先にと逃げていくが、恐怖に足がすくんだ者や逃げる人に押しのけられ怪我した人はその場に取り残される。そこへ、ミノタウロスの剛腕が唸る。


「い、いや……や」


 じりじりと尻餅をついた状態で下がるが、ぐしゃりと頭部を破壊され死んだ。


 そんな化け物に立ち向かう二人の男性がいた。

 男性の一人が右手を前に出すと炎の塊が出現し、ミノタウロスの顔面にぶつかる。小さな爆発を起こし、ミノタウロスが体を仰け反らせる。


 逃げ遅れた人は、それを見て安堵した表情をするが、すぐに引き攣った笑みへと変わる。


 炎はミノタウロスの皮膚を軽く炙る程度で対して効果がなかった。もう一人の男性も攻撃を開始する。しかし、致命傷には程遠い。


 二人は異能者と言われる者たちだ。

 『変革』と呼ばれる日を境に、突如超常の力を持つ者が現れ始めた。それと同時にゲートも出現し、そこからモンスターが出てきたのだ。


『異能』……所謂スキルや超能力と言われる力のことだ。ゲートを通じて現れるモンスターには、異能の攻撃でしか有効打を与えられない。警官が持つ拳銃、自衛隊の持つアサルトライフルでは、致命打を与えることが出来なかった。もちろん、ミサイルや爆撃などを使えば効くが、そんな攻撃、街中で放つわけにはいかない。


 故にモンスターの相手は異能者がするのが当たり前とされる。

 しかし、効くからといって全てのモンスターに効くわけではない。異能にもレベルがある。ミノタウロスは、Bランクのモンスターに分類される。そして相対している異能者のランクは、Cランクだ。


 同ランクなら一対一なら戦える――相性もあるが――と言われている。つまり、この男性たちではどうあっても勝てないのだ。それでも、応援が駆け付けるまでの間の時間稼ぎくらいと思い、前に出たものの全く通用せず、焦りが生まれ始めている。


 もう一度炎を出そうとした男性へ、ミノタウロスが地を蹴り肉薄する。


「はやっ……!?」


 その速度に驚愕し、目の前に迫る死の存在に思わず目を瞑った。


「……ん?」


 しかしいつまでたっても覚悟した衝撃が来ないことを怪訝に思い、少しずつ目を開ける。そこには、拳を握り締め、殴る寸前の構えのまま、頭から股にかけて棒のようなもので貫かれたミノタウロスがいた。


「こ、氷……?」


 そう呟くと同時に、無数の氷槍が的確にミノタウロスに突き刺さった。


「『氷の王』様?」




 ♢ ♢ ♢




 二階建ての大きな建物。その二階の角の一室。

 カーテンは閉められ、電気は消され、真っ暗な部屋。唯一の光源は五十インチを超えるモニターが発する光のみ。


 モニターの前に座りながらコントローラーを持ち、真剣な面持ちで操作する。


 僕がやっているのは、『終末の戦場(ラグナロク)』と言う、大人気新作MMORPGだ。美麗すぎるグラフィック、操作性、自由度の高さ、そして何よりストーリーが素晴らしすぎる、と言われている。実際僕もそう思う。


 ラスボスが主人公の親友だと判明した時には、ブルッと体が震える程の興奮を覚えた程だった。


 僕はラグナロクを一昨日購入してから二日間、一睡もせずにやっている。目の下には色濃く隈が出来、死んだ魚のような目をしていることだろう。


 ただアドレナリンの大量分泌により眠気はあまり感じない。


「……回復OK。装備も揃えた……」


 ブツブツと言いながら、インベントリを開き、アイテムの確認をする。


 いざ、ボス戦へと進む。






 ボス戦を始めて二十分。

 ボスのHPは一割を切り、テンプレ通りのパワーアップを果たし、攻撃範囲が広くなった。しかし、集中した僕には関係ない。最後まで集中力を切らすことなくやり遂げ、ついにラスボスを倒した。


 全身の力を抜き、椅子にもたれかかる。その状態のままエンディングを見ていると、突如強烈な眠気が襲ってきた。


(限界……)


 目を擦りながら、ベットに入り、そのまま眠りについた。


 そして朝の七時。

 コンコンと控えめにドアがノックされる。


「んぅ~……」


 少しだけ意識が浮上したが、二徹した後、三時間程しか寝ていないためまだまだ眠たい。


 僕が布団をかぶり直すと、もう一度ノックされる。その後、ガチャとドアが開けられ誰かが入ってくる。


「お兄様。お兄様。朝ですよ」


 可愛いらしい声で軽く僕の体をゆすりながら言う。

 僕のことを兄と言うのは、僕の妹である花音だ。ただ、妹の前に『義』がつくが。


「まだねる……」

「もう、仕方ないですね」


 言葉とは裏腹にその声は楽しそうだ。

 その時、バァン!とドアが開かれ、男性が部屋に入ってくる。


「零!零!朝だぞ!起きろ!」


 この男は、水篠厳。僕の父親だ。

 ズカズカと入り込み、僕を起こそうとした時、その動きが止まる。


「お父様?」

「か、花音……」


 虫けらを見るような視線が父上に向けられる。途端に委縮した父上は、すごすごと退き、部屋から出ようとするが、花音が目を細めるとピクッとした後、止まる。


「あ、あのな?花音。これにはふかーーーーい訳があるのだよ」

「聞きましょう。その深い訳とやらを」

「うぐぅっ……」


 そう言い返されると言葉に詰まり、視線を右往左往させる。明らかに、何も考えていないことが丸わかりだ。


 花音の視線に耐えきれず、冷や汗をかき始めた父上は、足りない頭で必死の言い訳を考えているのだろうが、一向に思い浮かばない。


「そ、それは……あれだよ、あれ!」

「どれですか?」

「ぬぐっ」

「早く答えてください」

「れ、零!!パパを助けてくれぇっ!」


 情けないことに、僕に助けを求めてきた。しかも若干涙声だ。気持ち悪い。

 鍛えられた体をした男が、女の子に言い負かされ、泣かされるなど、とても見ていられない。


 僕は鬱陶しくなり、布団を頭からかぶる。


「そんなぁ!」


 父上の情けない声に拍車がかかった。


 それから数分間、必死に考えた言い訳を花音に言っていたが、冷たい視線は変わらなかった。そしていい加減鬱陶しくなった僕は、バサッと起き上がり、寝ぼけたまま、言う。


「うるさい!」

「零!起きたのか!ちょっと、花音を説得してくれ!!」

「お兄様、おはようございます」

「ん。おはよう」


 左に視線を向けると、黒い艶やかな髪をした美少女の顔を視界に入る。相も変わらず、我が妹は美しいようだった。


 今度はドアの方へ視線を向ける。

 すると、父上が正座をしながら涙目でパアアッと顔を輝かせていた。


 すぐに見なければよかったと後悔したけど、そうも言っていられない。なぜならドアの前に座っているのだ。そんなとこにいられたら僕が通れないじゃないか。


「今日は花音の当番だったはずですよ?」

「ぬぐぐっ……」

「それに、こうなることくらい分かっていたでしょうに」


 僕は眠気を払うためにも背伸びをする。徹夜明けでぼうっとする頭を振りながらベットから降りる。


「あでっ!?」


 邪魔だった父上を踏みながら廊下へ行く僕だったが、続く言葉に歩みを止めた。


「零、今日から学校に行ってきなさい」

「へ?」






 その後、どうにかこうにか行きたくないと駄々をこ、否、抗議した僕だったが、入学の手続きはもう決まっているらしく、母上とそしてなんと花音の同意さえ得たのだ。あのクソ親父の言う通りにするのはほんっとに腹立たしい限りだが、花音も入学するとなれば、諦めるしかない。


 花音を連れて――連れられてとも言う――向かっていると、ゲートが出現した。


 牛さんのパーティーが始まり、住民を殺し始めるところにばったり遭遇。無視して素通りしてもよかったけど、寝不足なうえに、行きたくもない学校に行かされてイライラしていた僕はこれ幸いとばかりに能力を発動した。


「『黎明の氷槍』」


 そう呟くと、上空に無数の氷で出来た槍が出現する。放たれると同時に音速を超え、牛の頭を貫く。


 それを見た人々は、口々に『氷の王』や『氷の魔導士』と言った言葉を発する。これは僕の二つ名のようなものだったりする。決して、拗らせているあれなどではない。


 莫大な歓声が上がっているが、まるっきり無視して進む。

 そして振り返り、花音に言った。


「ここどこだっけ?」


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