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「暮らし」など

サイダー

作者: 維酉

淡色の夏は

すきなひとの装い

不憫な恋の往きさきも

いまは目眩しだよ

それほどすきなひとがいるから


模様は開いていき

さりげない興奮だけがたしか

スズメバチの飛び方に

ぎこちなさを覚えたのは

わたしたちが

夏の恋に追いつけないせい

コマ送りのようで

目まぐるしい温度

自販機の赤

横断歩道のむこう

帰り際のサイダー


目を閉じた

そこにはなにもないけど


サイダーの泡が

爆弾みたくはじけて

あまりに焦がれて

季節を抱きしめている

わたし 喉に流すサイダーの

ひっかき傷がすき

信号の青

サイダーの泡が

爆弾みたく満たす


世界は変わる

わたしのために変わる


夏が来たから

目を閉じた

そこにはなにもないけど

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