三階層の探索を終えて……
三階層の探索をしつつ、レベル上げはもちろん、黒猫との戦闘を繰り返してのスキルアップを目指していました。
黒猫との戦闘は、常に集中力が必要であり、この先を進む為にも、技術が足りてないと実感した上での戦いでした。
とくに、DEXが足りてない徹くんの修行の場として、徹底して鍛えなおすことと為りました。
実際、徹くんの職業の偏りは前衛攻撃型になっているので、弓士や盗賊などはほぼ一桁のレベルしかありません。
これは彼自身の選択であり、底上げされる能力値をSTR中心にしているからこその弊害といえます。
しかしSTRだけで見れば、徹くんはパーティー内では最強であり、攻撃力特化の前衛職として、最大火力を叩き出しているのです。
彼の強みは、確実に敵を排除するのに特化されおり、乱戦にこそその攻撃能力は遺憾なく発揮され、まさにパーティーの守護者といえます。
そういった面での彼の存在意義は、今のパーティーには必要不可欠なものであり、これからもその能力を伸ばして、パーティーの守護を目指して欲しいと思っています。
◇◆◇
黒猫との戦闘にもなれて来たのは、三週間ほどの時間が掛かりました。
これといった弱点のない黒猫でも、マタタビに似た植物のエキスを振りまけば、難なく無力化は出来たのですが、さすがにスキルアップにはならないので、正攻法での戦いを挑み、練度をあげることにしました。
そのおかげもあり、戦闘中での集中力も高いレベルで維持することにもなれて、総合的な戦力アップに成功しました。
黒猫に翻弄され続けた徹くんも、今では攻撃を躱すまでに至り、反撃に転じて黒猫に一矢報いたと喜んでいたりします。
そして、三階層の攻略も進み、今は後半部分のエリアを探索するまでに為りました。
とくにこれといった事はないのですが、この後半のエリアで大蛇と出会い戦闘に挑むと、これが思っていたよりも、あっさり討伐に成功していまいます。
しかも、例のパイプを使わずにですよ……
前回までは攻略方法があっても、それなりに苦戦もしてた大蛇に普通に戦いを挑み、倒してしまったことに皆あ然としてしまいます。
「マ、マジかぁ……」
「えっと…… 強くなったんだよね? 私たち」
「あー、そ、そうですよね。 強くなった筈ですが、これはちょっと……」
黒猫との死闘というか、捉えることに必死な戦いを繰り返し、敵に対して的確な攻撃を繰り出すことに全精力を傾けてきた事によりに、各自があり得ないほどの勢いでクリティカルヒットを連続で叩き込み、あれ程しぶどかった大蛇は、あっさりと我々に倒されてしまいました。
目の前の大蛇は、口から細長い舌を出したまま、ダンジョンの床に身体を投げ出してピクリとも動かず、俺たちの成長の証をその身で知ら示している様に横たわっています。
「よっっしゃっーー!!」
「ははは、すっごいすっごいですよ!」
「ふ、ふふふ、ふははは! 楽しくなって来ましたよ! 達也くん!」
「ええ、今回はかなり頑張りましたからね。 これでまた、新たな道が開かれるでしょうね」
我々自身、かなり強くなっていた事に喜びを感じて、この先へ進む自信と期待を胸にして、その日の探索を切り上げました。
◇◆◇
三階のマッピングも終わり、採集物の確認もとれたことで、四階層へ行く前に一度町へと戻ることにしました。
前回の報告からひと月以上経ってるし、回収された物資の状況も気になっていたので、その確認も兼ねてマリーさんに会いに行こうと思いました。
現状、人手も足りないし、町にだした依頼の支払いとか、やる事はたくさんあるので、色々と話すこともあります。
◇◆◇
リユートの町に到着すると、ひと月前とは違う立派な門が出来上がっていました。
「へえ、随分変わったみたいですね」
「すっげえ、ちゃんとした扉まで造ったんだあ」
「うん。 木製ですが、これはこれでいい感じですね」
街道から左手に続く、土の土台と大きな石レンガを積み上げた壁に、町の入り口に構えた鉄の門柱と大きな木の扉が町の内側にあったので、近寄らないと気付きませんでした。
「なるほど、片側を閉めれば馬車を止めることも出来る感じなのね」
「ちゃんと詰め所までありますよ」
「如何にも、町らしくなりましたね」
町に入る我々の馬車は、左の詰め所に横付けして入町手続きを済ませ、何時もの買取り所へと向かいます。
「なんか良いですよね。 帰って来る度に、町が成長してくのが嬉しくなっちゃいます」
「そうだな。 俺たちの町って感じがするよな!」
「来たばかりの頃とは違って、我々もだいぶこの町に馴染みましたもんね。 いやあ、この先も楽しみですねえ」
そんな話をしながら、町並みを眺めていると、町の人たちから『お帰りなさい』という声を掛けられ、笑顔で手を振り応えてしまいます。
買取り所に到着し、荷を倉庫へと運ぶ手配をしつつ、マリーさんの居場所を聞くと、ちょうどそこへ彼女が現れました。
「お、お帰りなさい、タツヤさん」
「はい、ただいま戻りました」
振り返ると、彼女は何時もの商会の制服に身を包み、書類を挟むクリップボードを胸の前でかかえ、スススと俺との距離を詰めてきます。
「おっ、俺らは荷を降ろさないと、駄目じゃね?」
「ん? ……あっ、そ、そうね。 あたしも荷物、降ろさなきゃ」
「ははは。 では達也くん、後はよろしくお願いしますね」
彼らは馬車から降りてすぐに、彼女が俺に近寄るのを察したのか、呟きと共に白々しく俺の前から消えて行きました。
「え、えっと、かわりはないですか?」
「はい。 タツヤさんも、ご無事なようで安心しました。 うふふ」
そっと右腕を持ち上げると、そこへ彼女は腕を絡めてきます。
あまりこうした行動や会話もしたことのない俺だったが、年上の彼女の気遣いで恋の手解きを感じて、照れてしまいます。
お互いに、恋愛経験は少ないのだし、上手い会話ではないとも思いつつも、こうして彼女の笑顔を見ると少し情けなくとも心が軽くなり、まあいいかと受け入れました。
俺は俺だし、変に気合を入れてもしょうがないし、彼女の思いを裏切らないよう頑張るしかないと思い、このまま身を委ねことにしました。
今しばらくは、色々と用事があり、更新が遅れるかと思います。
次回作は考えてありますが、いまは未定です。




