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勇者さまは無双がしたい(仮)  作者: アイネコ
ダンジョン探索編
62/74

変わる町と変わらない危機



 俺たちがこの世界に来て二年が経ち、三年目へ突入しました。


 北の森で活動していた一年まえとは違って、ベースキャンプづくりやダンジョン探し、新しい仲間たちに出会えたりと、俺にとってはあっという間の二年目となりました。


 そして、リユート村は町へと変わり、その様相も大きく変わりつつあります。


 村長さんは町長となり、マリーさんは町一番の商会の会頭として、ハンターとして活動するドワイトさん達を、その商会と正式な契約を結ぶことと為りました。


 また、新しく生まれ変わったリユートの町には、あらたな組織を立ち上げます。


『リユート・ハンター組合』

『リユート・生産者組合』

『リユート・商業組合』


 といった、協同組合を立ち上げる事に為りました。


 こういった組織は今までにはなく、代わりに似たような仕組みはあったようなのですが、この世界では強者のみが幅を利かせるのが通例で、まず話し合いとかは無かったそうです。


 リユートの町に住む人々が増えて、それに比例して増えていく仕事と、住人からの苦情に悩む町長さんやマリーさんに『協同組合をつくっては?』と進言したところ、そのまま採用と為りました。


『ハンター組合』は、ドワイトさん。『生産者組合』は町長さん。『商業組合』はマリーさんが中心となって、それぞれの組合に登録した人たちを束ねる事と為ります。



 ◇◆◇



「はあ…… やっと開放されたなあ」

「ははは、まだまだ我々に残された仕事は山積みなんですがね」

「そうだよ、お兄ちゃん。 いままでのお仕事から開放されたからといって、町からのお仕事は減ってないからねえ」


 この数カ月間にわたる開墾事業に携わり、俺たちにしか出来ない仕事はあらかた終了しました。


「分かってるって、久しぶりの休暇なんだし、のんびりしようぜ」

「まったくもう…… まあ、そうね。 私もゆっくりしようかな」

「私も同意ですね。 ずっと働き続けるのも久しぶりでしたし、お仕事をながく続けて行くにはちゃんと休養をとって、身体を労ることも大切ですからね」


「そうそう、俺が言いたかったことはそれだよ」

「そんなこと言ってえ、また酒場に行きたいだけだよね。 稔さんやお兄ちゃんは」

「はっはっは。 バレましか……」


 彼らの会話に日常がもどりつつあり、大きな仕事も一段落をむかえて、一週間の休暇に入る予定です。



 ◇◆◇



 達也たちが休暇にはいる一方で、とある場所ではピンチに陥っている二人がいました。


「うう…… なんで助けが来ないの……」

「大丈夫です、マスター。 私達の希望は、まだ失われてはいません。 ダンジョンポイントも、日毎に増加しております。 おやつに、ショートケーキなどいかがですか?」


 ダンジョンの奥深くにある、とある場所には二人の人影があり、不穏な面持ちで会話が交わされていました。


 彼らは、このダンジョンのダンジョンマスターと、その配下となったダンジョンコアがつくったNPCアバターであります。


 二年まえに、このダンジョンの主となった『尾形のりこ』(14歳)は、ダンジョンコア(2歳)に慰められていました。


 理由は、達也が魔の森で出会った怪物によって、ダンジョンが攻略されかけているからです。


 この世界でも、稀有な存在であるダンジョンコアに喚ばれてしまった尾形のりこは、当時12歳になったばかりの少女でした。


 もちろん、達也とこの世界の神との交渉も聞いていましたし、異世界への旅立ちの話も聞いています。


 ただし、その内容にはまったく理解はしていませんでした。


 自分が死んでしまった事や、異世界への転生話も、マンガやアニメのなかだけの事だと思っているので、これが現実であるとは気付きませんでした。


 なので、異世界への転生手続きも、のりこは受付の説明を聞いてもピンとこないままに、その手続きを済ませてしまいます。


 そして、彼女は理解しないままに、異世界へと旅立ったのですが、ついた先で待っていたのは、真っ暗な空間だけでした。


 その後の混乱っぷりは激しく、ダンジョンコアのつくるNPCアバターが完成するまでの間、暗闇と混乱のなかで放置されてしまいます。


 真っ暗な空間に長時間放置されたのりこは、泣き疲れて横になっていました。

 うとうとし始めたのりこでしたが、頭のなかに機械的な音声が、唐突に流れ込んできます。


『ダンジョン防衛システム、正常に稼働中。 これより、ダンジョンコア05による、NPCアバターを生成します』


 アナウンスのあと、ダンジョンコアが生成したNPCアバターが現れると同時に、視界を埋め尽くしていた闇は光へと変わり、眩しさにくらむ視界のなかで人影をみたのりこは、驚きのあまりに思考は止まり、溢れる光りのなかで眠りに就きました。



 そして数時間後、覚醒したのりこが最初に目にしたものは、薄暗い部屋のなかで佇む、金髪碧眼の美しいメイドさんでした。


 のりこは、目の前で佇むメイドさんに気をとられてしまい、柔らかなベッドの上にいることにも気付きません。

 そんな主の目覚めに対して、NPCアバターを操るダンジョンコアは、柔らかな声を発して頭を下げました。


「おはようございます。 マイマスター」


 これが、のりことダンジョンコアの邂逅の瞬間でありました。



「はあ…… なんでいつもそうなの? まりあは、もうちょっとは危機感を持ちなさいよ」

「すみません。 マスター」


「うーん、あなたもだいぶ言葉を覚えたけど、もうちょっと砕けてもいいのよ。 どうせ私達しか居ないんだしさ。 はぁ、でも何でだろう? 上の人達に、なにかあったのかなあ?」

「はい。 何かしらの問題が地上で起きた可能性はあります。 あの一際強い人種と、それに付き従う男女を見かけなくなり、この地から多くの人種が離れている模様です」


「そっかあ…… うーん、どうしたら良いのかなあ。 ポイントが増えてるんだから、防衛は大丈夫なんだよね?」

「はい、ご安心下さい。 我々のガーディアンが最終防衛ステージにいる限り、侵入者たちを排除してくれるでしょう」


「うん、わかった。 まりあがそこまで言うんだから、私は信じるね」

「はい、おまかせください。 マスター」


 現在も、ゴブリンたちのボスによる危機が迫っているのだが、達也たちの活躍でその均衡は傾き、ダンジョン側の防衛網は厚くなり、ゴブリンたちの侵攻は和らいでいます。


 ただ、問題のゴブリンたちのボスは、一筋縄ではいかない存在であるというのを、彼女たちはまだ知らずにいました。





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