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《紫の霧》  作者: 淡飴
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閑話休題。

 《紫の霧》が街を覆い尽くすのは約一時間。その間に先述の桐葉政府と共にやって来て、家の中を見回ったり、家の中に残っている人がいないか調べたりするのだ。

『ほらほら。皆さーん!桐葉政府がやって来ましたよーっと。これから僕たちが、家の中を強制捜査☆その時に家の中にいたら…』解ってるよね☆とでも言いたげな声。

解ってる。

殺されるか捕らえられる。

ズキリ。桜のような形をした、首の古傷が痛む。

…ヘッドフォンをして、閉ざしてしまおう。あの人達も流石にまだ死にたくないのか、睨み合いつつも黙っている。

まぁ、黙っている必要はない。部屋の外に音が響かないようにしておけば良いだけで。まぁ、外に音が漏れても殺されるか捕らえられると言うことなのだが。

『今日は…此処☆』

ガチャリと家の扉を開ける音。

嗚呼。今日、強制捜査される家の一つは、瑠亜の家だったのだ。

「此処は…大丈夫。」

「此方も大丈夫だぞ~。」

「ねぇこーり。お菓子無いかな。」

「あるわけ無いじゃん。食い意地張ってんなー。」和気藹々。

そんな言葉が似合っていた。

まるで遠足に来たかのような。

がしゃんと荒々しく食器を割る音がしていることがあまりにも不自然に感じるくらいの。

「はいはい。フュージャ。チョコレートあるから。」

「…貰う。」

「うわー、流石柊鎖。用意周到だねぇ…」

…矢張り遠足としか思えない。

「さて、此の家はおしまい。次行くよ~?」

柊鎖と呼ばれた少女の声を皮切りに、桐葉の政府の声は遠ざかっていく。

「行ったか」

瑠亜は見つからなかった、ということに安堵していた。

…というか此れ、外に出たら片付けしなきゃいけないやつだよな…

それにしても。大丈夫、と言う表現に些か違和感を感じた。

これから捕らえたり殺したりしようとする人間に大丈夫と言う言葉を使うだろうか。

瑠亜の答えは、否。

絶対使わないと思う。

瑠亜だけでなく、他の人間に問うてもほぼ同じ返答が帰ってくるだろう。

『見ーつけた。』

唐突に聞こえてきた柊鎖と呼ばれた少女の声。

嗚呼。強制捜査される家に人がいたのだろう。

カンカンと武器が《何か》と当たる音と、怒声。櫻政府が《紫の霧》と共にやって来る化物や桐葉政府と闘っているのだろう。

『チッ…今回は此処まで、かな。皆引くよ?』

誰かの声と、人が去っていく音。

ラジオからは、先刻緊急特別警報が解除されたことを示す音声が流れていた。


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