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一時間目 国語2

「ここが、異世界……!」


 俺、勇一は現世で一度死んだ。ごく普通の中学に通う、ごく普通の中学生。……だったはずなのに。


 なんとなくチクリと痛んだ気になって、自分の腹を見下ろした。いかにも初期装備といった様子の服をめくり、腹に残った傷に手を這わせる。昨日(果たして本当に昨日かはわからないが、感覚的には昨日だ)、通り魔に突然襲われて、できた傷だ。すでにふさがっているのは、先ほど出会った女神の力だろう。


 俺は改めて辺りを見渡す。青い空の下、長閑な田園風景が広がっている。田畑のそばには、少し背の高い防壁と、人がいると思われる集落があった。


「あっち……煙が登ってるな」


 といっても、真っ黒い煙じゃない。煙突から立ち上る白い煙。ちょうど昼時だからか、うまそうな匂いが風に乗って飛んでくる。

 街と言うよりは、村というくらいの小さな規模だ。


「とりあえず、行ってみるかな」


 女神は、異世界に着いたら、魔物に気をつけろと言っていた。この世界には魔王がいて、その配下の魔物は、人間を殺すのだと。俺は勇者として女神に祝福を受けたが、勇者とて練度が上がるまでは、魔物に殺される危険があるのだ。

 とはいえ、この辺りは背の低い草ばかりで、見通しも良い。突然魔物に襲われるような事態にはならないだろう。注意しながら進めば、一度も戦わずに村に入れるはずだ。


 女神の計らいか、俺は背中に大きな剣を背負っている。しかし俺は剣道やフェンシングとは無縁の前世を送ってきたから、これを使いこなせるようになるには、少々修行が必要だと思う。

 俺はおっかなびっくり、でもそれ以上にわくわくして、村へ歩を進める。予想通り、魔物は出てこなかった。


 村の入り口は、一箇所だけだった。簡素な木の防壁がぐるりと村の外周を囲っていて、魔物が入り込まないようにしている。あちこちに傷ができているから、この辺りにも、やはり魔物は存在するのだろう。

 その傷跡が、俺よりはるか高い位置に付いているのを見て、すっと血の気が引いた。俺は本当に、こんな傷をつける化け物と、対峙できるのだろうか。


 俺はぱちんと頰を張って、気合いを入れ直した。俺は、勇者なんだ。怖がるな。戦え。魔王を倒して、世界を救うんだ!


 俺は再び、防壁を見上げた。村の防壁の一番高いところに、物見がある。物見には見張りがいて、俺を見つけると何か叫んで、鐘を鳴らした。

 俺はできる限り相手を刺激しないように、ニコリと笑顔を向けて、両手を挙げた。敵と勘違いされては、たまらない。


 どたばたと、喧しい足音が響き、俺の身長ほどもある槍を持った、屈強な男が立ちふさがった。俺に槍の穂先を向けて、鋭い表情で睨みつける。


 そして腹の底から響くような、力強い低い声で、俺に聞く。

「Wer zum Holle sind Sie?」


最後の一文、綴りとか文法とか、違っているかもです。

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