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雨の桜  作者: ドラキュラ
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第十三話:追い掛けっこ

「zzzzzz」


凛にこっ酷く怒られた翌日、童は気持ちよく眠っていた。


この屋敷では凛以外の使用人は存在せずに皆が自由に寝起きしている。


元住んでいた屋敷などは毎日が規則に縛られた生活で苦痛でしかなく気持ちよく眠れなかった。


しかし、この屋敷で暮らすようになってからは毎日を気持ちよく眠れて嬉しい限りじゃ。


そんな事を思いながら眠っているとドスドスと煩い音が聞こえてきた。


「・・・・何じゃ?」


童はせっかくの眠りを邪魔されて機嫌が悪くなった。


足音は童の部屋に近づいている。


飛天はまだ寝てるしこんなに乱暴に歩かない。


凜もまたしかり。


・・・・・不法侵入者。


そんな言葉が頭の中を過ぎった。


「・・・・・・」


童は無言で文机にあった扇を引き寄せた。


来るなら来てみろ。


これでも護身術で鉄扇術を独学で学んだんじゃ。


布団の中で扇を開き不適に笑った。


足音は童の部屋で止めた。


襖が開く気配を感じ童は勢いよく布団を侵入者に投げた。


「ッ!?」


侵入者は布団を頭から被りうろたえた。


その一瞬の隙を逃がさずに童は扇に魔力を込めた。


「鎌鼬!!」


扇から無数の真空の刃が出て侵入者に襲い掛かった。


刃が相手を切り刻む筈だった。


しかし、刃は何かによって粉砕された。


「行き成り何をする!?」


布団から顔を出したのは三又を持った父上じゃった。


「・・・・・そちらが童の部屋に無断で侵入して来たのが悪いんです」


童は扇を畳んで寝間着の帯に差した。


「親でも子の部屋には断りを入れます。毘沙門天殿は無断で入って来たから攻撃しただけです」


しれっと答える。


「・・・・・・・ッ!?」


父上は傷ついた顔をした。


「とにかくお話があるなら後で聞きます。今から着替えるので出て行って下さい」


傷ついたままの父上を強引に追い出した。


「・・・はぁ」


父上を追い出した後で童はため息を吐いた。


まさか部屋まで乗り込んで来るとは・・・・・・・・・・・


っというか凛はどうしたのじゃ?


凛がいつも父上を迎え撃つ筈なのに?


「・・・・・・・・・」


童は頭に疑問を抱きながら寝巻を脱いで着物に着替えた。


部屋を出ると父上が待っていた。


しかし、童は気づかぬ振りをして先に進んだ。


「こ、黒闇天っ」


父上が慌てて追いかけて来た。


童は更に早歩きで先に進んだ。


「黒闇天っ。待て!?」


父上が歩調を速たのが分かった。


「・・・・・・・・・」


童は更に歩調を速めて最後には走り始めた。


「黒闇天!?」


父上も童の後を追い歩調を速めた。


しつこい!?


その後は飛天と凛が待っている部屋に着くまで父上との妙な追い掛けっこが続いた。



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