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芋虫

作者: Q作くん
掲載日:2015/06/22

 はじまりは手先だった。右手の手先。小さな汗疹(あせも)のようなものがぷっくりとできあがっていた。季節は夏。なくはない、というより誰にでも起こるちょっとしたイベントだ。

 ぼくはその汗疹を潰した。汗疹は音を立てることもなく、ただ静かに汁を流した。

 翌日、同じ場所に汗疹が二つ、三つと増えいた。ぼくは増えた分を潰した。汗疹はやはり音を立てることなく、死んでしまうことの悲しみを表すようにただ汁だけを流した。


 ―一週間後。


 ぼくはベッドの上でうめいていた。今や汗疹は汗疹ではなくなっていた。赤く腫れ上がり、腫れの先端は緑色に膿み、潰してもいないのに黄色い汁を垂れ流す。汗疹は得体の知れない寄生獣と化していた。

 ぼくは何度も皮膚科に行こうとしたが、ベッドから身体を起こそうとするたびに膿がブチャリと音を立てて潰れ、黄色い汁が水切りのようにブシャーと飛散し、まだ綺麗な肌色の部分を侵食した。

 ぼくはもう人間ではなくなっていた。

 ぼくは、人語を解するただの醜い芋虫だった。


*みなさんもただの汗疹とあなどることなく、ちゃんと塗り薬などで対処しましょう。

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