望みの在りか◆rain◆後編
短いですね…( ̄▽ ̄;)!
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泣かれた時はどうしようかと思った…
やっとのことで洞窟をある程度整え、いざ寝かしつけようとした時のことだった。
寝苦しそうにしているイリスをみかね、抱き上げたら泣かれた。
触られるのが嫌なのか?と真正面から聞く勇気もなく、どこか痛いのか?とかトンチンカンな問いかけをした。
それに対して微かではあるが確かに首が横に振られ、うっすらと浮かんだ笑みに心底ホッとした。
少なくも、今は拒絶するほど嫌がってはなさそうだ。
……熱で抵抗する気力がなかったり、考えるのが億劫なだけかもしれないが。
思い出したように、細切れに間をあけて涙を流しながら疲れきってイリスは眠った。
辛そうな寝顔を見て、声をあげずただ涙だけ流して泣く様を思い出す。
胸がキリキリと締め上げられるように痛んだ。
代わってやりてぇけどな…
こればっかりは、どうしようもない。
その代わりに熱の火照りと涙の跡の両方で赤くなっている頬をそっと撫でる。
直に触れたふわりと柔らかい感触に、戦くように心が甘く痺れた。
な、んだっつーんだ。ったく…
さっきから、痛んだり疼いたりと心臓の動きが忙しない。
突き詰めて考えればとっくにその理由に辿り着けそうだったが、レインはあえて気づかないふりをした。
なんというか、この状況で自覚するのはひじょーにまずい……気がする
しっとりと吸い付くような肌からなんとか手のひらを剥がす。
かなり、名残惜しかった。
と、とにかく。目の前の試練だ。
"その他"はエリスの花を持ち帰れてから考えればいいしな…
そうやってなんとかその思考から意識を逸らしても、この密着状態ではイリス自体のことを考えないようにするのは難しい。
腕にすっぽりと納まる小さな体躯は高熱のため未だに震え続けていた。
苦しげに寄せられた眉と薄く開いた口元を見てどうにかしたくても、ただ抱えて熱を分けてやり、額に浮かぶ汗を拭うことしかできない。
魔法が使えないのは、痛いな
実のところ、本気を出せば制御ブレスを壊すことは可能だった。
レインの得意とする魔法は攻撃系で、特に水と炎を操るのに長けていた。
治癒魔法の系統でできるのは簡単な傷口を治せるぐらいで、体調の回復や身体の内の治癒には向いていない。
それでも魔法が使えたら炎の量を調度良くしたり、水を効率良く換えたりとある程度役に立てたはずだ。
けれど、イリスは言ったのだ。
―――『居場所が欲しい』『そのために誠意を見せる必要がある』と。
前後の言葉は唐突であまり繋がりがないように思えたが、なんとなく言わんとすることは伝わった。
彼女はできるだけ自力でこの困難を達成したく思っていて、自身の中のギリギリのラインで譲歩して俺の協力を受け入れているのだ。
―――多分、ここで魔法を使えば、イリスは正直に話をつけてエルフの里を去って行く
その考えはきっと間違いではなく、だからこそ面白くない考えだった。
だからこの道のりで魔法は使わない。
そうでなければ、イリスの言う誠意を見せられない。
イリスが居場所が欲しいと言ったとき、俺も望んだことがある。
―――『"望み"を掴んで帰ってくることを、楽しみにしておるぞ』
婆さんがそう言ったとき、それはエリスの花のことを示していると思ったけど。
イリスの望みも俺の望みもその先にある。
今やっと、その在りかを探し当てた。
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