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予行練習

2人目の変死体が発見され、狭い車両の中に福島県警・宮城県警がひしめくという異様な光景が20分ほど展開された

本来の乗客はしまっている食堂車に移動してもらい事情を聞くこととなった

叩き起こした訳ではないが、寝ていたのを知らない人に起こされしかも同じ車両で殺人が2件も起きていたら誰だって良い気分ではない。

菊池警部のおごりで缶コーヒーが振舞われ、しばらくすると落ち着きが戻ってきた。

一刻も早く取調べを始めたがる福島県警に対し警部は

「夜は長いし、どうやら容疑者はこの食堂車にいる人だけのようです。ならばあせらないほうがよろしいんじゃありませんか。」

いかにも落ち着いていてしかも自信に満ち溢れているように感じさせる何かがあった。

「何で分かるんですか」

おごってもらった缶コーヒーをすすりながら福島県警の野原警部補がイライラした様子で言った。

「暇だったものでね、あのお若い車掌さんに話を聞いていたのですよ」

警部は伊達という若い車掌をさしてこともなげに言った。

警部補は苦虫を噛み潰した様な表情をして何か言いい代わりにコーヒーをすすることに集中しているようだった

「本当ですか」

野原警部補がボソリと聞いた

「ええ…宇都宮を過ぎたあたりでけんかがあって収まる頃にはもうすぐ福島になるところでした」

「どこでです」

「10号車のツインのあたりです」

「そうですか…」

どうも捜査が始らないことにいらだっている様だ。

その脇で部下の小野田はただただオロオロしているだけだった。

そんな中鑑識官が入ってきた。八巻では無いところ見ると福島県警らしい。

野原警部補に耳打ちした後、ヒソヒソとこっちにも教えてくれた。

死因は血管に空気を注射されたことによるショック死。詳しい死亡推定時刻は21:40~22:20の30分の間とのことだった。

警部補は納得したようだが、気付いた事は言うという我が服部隊長の教えは守ろうと思う

「野原警部補…ガイシャは郡山でドア開閉を行なっています。したがって少なくても21:55ではないかと…。」

「そう…だったな…」

また機嫌が悪くなったようだが、小野田さんが何とかしてくれるだろう

今度は八巻鑑識官が入ってきて警部に耳打ちした。そして写真を渡して出て行った。

「2人目の写真だ」

そう言って警部が写真を見せてくれた

なんとも人相が悪い、ヤクザの親玉みたいな顔をしている。

一緒に見ていた松崎も顔をしかめている。

「死因はやはり血管に空気を注射されたことによるショック死。死亡推定時刻はは22:50~22:10ってところらしい。野原さん同一犯で間違いないでしょう」

「そうですね、ということはガイシャの白石車掌は予行練習で殺されたのは無いでしょうか?」

「予行練習?」

松崎が首をかしげる

「あまりメジャーな殺し方とはいえません。おそらく犯人はネットか何かで血管に空気を送り込むと死ぬことをしった。そこで今回の計画を思いついた。だが欠点があるホントに死ぬのか判断が着かなかった。そこでまず白石車掌で予行練習したのです」

野原警部補はドヤ顔で披露する

なにか引っかかるものがあったが、まだ実証も無いので黙っておく。

菊池警部も肯定するわけでも否定するわけでもなく複雑な表情を浮かべていた。

「あれ…新妻は?」

見ると藤田車掌と新妻が話し込んでいる。

初対面はとっつきにくい新妻には珍しい。

どうやら捜査には参加しない様子。誰かは‘見張り‘をしなくてはいけないしまあ…これはこれでいいのだろう

ガタンと揺れ北斗星はまた札幌に向けて走り出した

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