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第一話

 この世には魔女と呼ばれる存在が複数いる。性別は関係なく、総じて魔女と呼ばれているのだが、勘違いする人も多い。大半は女なのだから。

 そんな中、一人の魔女はとある国でのんびり過ごしていた。

 その魔女の名はウグ。一番目の魔女であり、二十二番目の魔女ルドの弟子でもある。なお、番号はあまり関係なく、空いたところにその都度人を入れている。

 何も問題や争いごとの起きない国で、長らく一緒にいたルドとようやっと離れられた解放感に身を包んでいたのだが、ある日、唐突に連絡がきた。

 手鏡のような魔道具を手に取り、反応を返すため近づこうとすると、関係なしに声が飛んできた。


「やっほー、ウグちゃん久しぶり!」

「ルド……いったい何の用?」

「えっとね、学校とか興味ない?」

「はあ?」


 どうやら、丁度ウグが住んでいる国に、誰もが憧れる学園があるらしい。その名も『月虹《げっこう》学園』。身分問わずあらゆる優秀な人々が集められる、世界で誰もが憧れる学園だ。

 そんな学園に、行ってみないかという打診だったが、結果はわかりきっていた。

 そもそも、ルドは決めたことを必ずやり遂げるのだ。


「私を何歳だと思ってるんだ?」

「えぇ~~、百歳ちょっとでしょ?誤差よ、そんなの」


 この魔女はウグの育ての親でもあるのだが、いかんせん無茶ぶりが多すぎる。その上全てが思い付きで行動するため、きっと今回のことも、ウグにとってはどうでもいいことで決めたのだろう。


「何で今更学園に行かせようと」

「それは……ウグちゃんの制服姿が見たいの。ダメ?」

「そんな単純な!今回こそは流されないから」

「お金は全部持つわ」

「仕方がない。そこまで言うなら行こう」


 ウグは学園に通うことになった。金が絡むと正直だった。

 思わず二つ返事をしてしまったことを後悔しながら、この年で制服かと絶望し始めるウグを横目に、「あ、そうそう」と思い出したかのようにルドがトントンと音を鳴らす。その瞬間、光と共に机の上に長方形の箱が現れる。

 また何か贈り物かと思い、その箱を手に取る。


「学園に行くウグちゃんにプレゼント!開けてみて」

「…………」


 箱を怪しげに眺め、包装を解く。そしてあらわになった箱を開けると、白銀の杖が入っていた。簡素な装飾がきれいなそれを手に取ると、急に眩しい明りが部屋を満たす。魔法が発動した。とっさに結界を張るが意味をなさなかった。


「何?!」

「学園に行くなら、能力を制限しないと。魔女の制約、覚えてるでしょ?」


 光が治まった瞬間、杖を握った左手を見る。そこには、腕まで続く複雑な魔術式が刻まれていた。しかも、かけた本人にしか解けない魔術付きで。

 あっけにとられているウグに、ルドがウフフと笑う。

 本当に最悪の気分になった。


「学園に行くの、楽しみにしてるわね~」


 それだけを言い残し、連絡を切る。

 確かに、魔女は一人で国を滅ぼす力があると言われているし、この国では異常に恐れられていることも知っている。学園側もそんな奴が来たら怖いだろう。それでも、一つだけ言わせてほしい。


「ルドは急に話を持ってくるな!!!」

 





 そんなこんなで入学試験を受けることとなったウグは、会場の人の多さに酔った。


(魔女だからって、入学試験がなくなるわけじゃないのか。そこらへんも根回ししてるのかと)


 別に、試験があることに不満はないが、愚痴の一つでも吐きたくなる気分だ。

 試験会場はまだ空いてないから外で待っているのだが、一人、また一人と増えていく人に眩暈がして、最終的に端っこに寄ってうずくまっている。何よりも嫌なのはその視線だ。魔女が何でこんなところに、という視線だろう。

 この国に来てかなり立っているので、ウグのことを知っている人は多い。見た目が目立つのもある。

 座っている状態で地面につくくらいの銀灰色の髪に、青い瞳。ただ一人の特徴を持つウグは、チラチラと見られるのが非常に不快だった。思わず手を出したくなるが、そんなことをしたら一発で退場だ。

 早く試験が始まらないかと考えていると、ウグに影が落ちる。

 何事かと顔を上げてみると、眩しい金の髪の少年がウグを心配そうにのぞき込んでいた。


「あの、大丈夫?気分が悪いなら……」

「大丈夫だ」

「え?ええと」


 即答した瞬間、その場にいたたまれない空気が流れ始めた。

 受け答えを間違えたと思ったウグは、咳払いをして少年を見る。


「失礼した。私はウグという。君は?」

「あ、ええと、ぼくはトランス・ウォランスと言います」

「……あぁ、隣国の王子か」

「え!?わかるんですか?」

「まぁ……」

(名字を聞いてわからない人はいないと思うが)


 トランスが名乗った名字は隣国のウォランス国のことだ。世界的に見ても知名度は低い方ではあるが、名乗られてわからないはずがない。それほど、知名度に自信がないのか。それはそれで問題だが。

 少し困ったような顔から、嬉しそうな顔になる。


「ね、ねえ。君も試験に来てるんだよね。ぼくも不安で。でも君が、不安そうにしてて。しっかりしなきゃって思って」

「そう思わせたか……」

「?うん?」


 ウグは立ち上がり、トランスを見る。座っている時は気が付かなかったが、ウグよりも身長が高い。

 よく見れば、この場にいる全員よりウグは小さく、場違いに感じられた。むしろ、迷い込んだ子供にも見える。

 トランスの目をよく見ると、慈愛が込められていた。


「どうしたの?」

「いや……そういえば、私は魔女なんだが」

「え?」

「君は怖がらないんだな」


 別の国なら扱いも違うかと思い立ち、視線を逸らす。学園のほうに、試験官らしき人が現れたからである。


「皆さん!試験が始まりますので、ついてきてください!」


 ようやく始まったかと移動を始めるが、トランスが固まったまま動かなかったので、一度引き返し服を引っ張る。

 この緊迫した中で話しかけてくれたというだけで、ウグからの好感度は高まっている。今まで友達というものを作れなかった経験から、知らない人に話しかける勇気を持つトランスが眩しく見えたのだ。

 内心うきうきした様子で手を引いていくウグにハッと気づき、トランスは焦った様子で手を振りほどこうとする。


「あの!すみません魔女って知らなくて――」

「静かに。もう移動中だ」

「はい、すみません……」


 静かになったトランスはもじもじとして握られた手を見ていたが、ウグはそれに気づかないまま試験会場まで来た。広い部屋に並べられた机に圧倒されながら、進み続ける。


「よし、もう大丈夫だな」

「あ、いえ。ありがとうございました……」


 手をはなし、ウグはそのままさっさと分かれる。配られた番号と同じ番号が書かれた席に座り、話を聞く姿勢に入る。

 トランスも同じように、自分の席を見つけて座っている。


「では、これから試験の説明をする。筆記試験は計三つ。順番に、魔術式。歴史。算術で行う。途中退場は不可だ。質問があるものはいるか」


 皆、静まり返っている。

 一気に空気がひりついた。


「では、始め」


 目の色を変えてペンを持ち、真っ白な解答欄を埋めていった。

『世界最古の魔術師と世界で最後の錬金術師』の更新を止めてしまってごめんなさい!現在カクヨムコンテスト11のほうで頑張って小説を投稿しており、マルチタスクができないため続きが書けない状態です!!

こっちでそのコンテストに投稿している小説を投稿しておきますが、ぜひ!!カクヨムのほうで!!見てください!!

こっちでも随時投稿はします!!

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