迷宮攻略
迷宮周辺は、これでもかというほど賑わっていた。
そりゃそうか。迷宮攻略に必要なものが多い。
商売が成り立てば人はワンサと増える。
都と同じ?いやそれ以上かも?と雑踏の中を進む。
迷宮までの道は充分とはいえないが整備されており道になっていた。
その道に一団が佇んでいるのが見える。
値下げ交渉する声や、喧嘩する声、喧騒の中、いかにも似つかわしくない格好が中央にいる。
従える従者に日傘を持たせた、いかにも貴婦人がそれだ。
こちらに気付いた素振りを見せるや、何かを指示している。
指示を受けた二人が、見るからに怪しい因縁をつけ始める。
やいやい兄ちゃん、どこみて歩いとるんじゃ
いや、棒読みですか?しかも付け髭?それかつらじゃない?
と、つい笑ってしまう状況だった。
ぱっと見、ともに旅した騎士たちにしか見えない。
笑いをこらえていると、老騎士っぽい老人が一言。
お困りですかな?
なに偶然装う形で接近してるんだよ。
あーはいはい。美少女様ね。
案の定、最後は美少女様が登場。
なんです、この茶番。
そう聞くと、咳払いしながら恥ずかしそうにした。
可愛げが残るが、語気を強めたかたちで
会いたかったんですの!
あちゃー。そうでしたか。頭を掻きながら、相槌を撃つ。
愛想笑いでごまかそうすると、アイツが割って入った。
帰って!ねえ!帰ってよ!
その言い方はないだろう、不敬で投獄されるぞ。
茶番を有耶無耶にされたまま、食事処に向かった。
着席すると、美少女様は一方的に話し始めた。
設定を練ってきたらしく、商家の娘だとか迷宮に行くのに護衛が必要とか、
やいのやいのと出てくるとんちんかんな言葉の数々。
ひととおり聞いたところで、
姫様ですよね
と一言。
俯いて扇子で口元を隠したまま、黙って頷く。
ついついおかしくなって爆笑する俺。
つられて爆笑するアイツ。
爆笑につられて筋肉自慢が始まるコイツ。
姫が真剣な表情で言うには、神託らしい。
勇者について迷宮を進め。さすれば道は開かん。
ん?ん?ん?ほんとか?なんか都合よくないか?
と思っていると注文した料理が到着したのだった。
茶番はさておき、迷宮に向かう準備が必要だった。
さて、いきなり最深部へは到達できないだろうが、どの程度用意すべきなのか。
果たして食料は現地調達可能か?水は?
姫ご一行を脇に、三人で作戦会議を始める。
姫は姫で構って欲しくて茶々を入れてくる。
おざなり返していると、ふと老騎士が目に入る。
凄い形相だった。やべ、やっちまった。正直怖い。
気持ち新たに、姫への態度を改めた。
あら、こんな所に当家の秘宝が。
一際目立つ声を上げる姫を見て、三人が顔を上げる。
姫の手には小さいポーチ。
なんとそのポーチ、色々な物が入る魔法の鞄だという。
半信半疑、疑っていると
いらないものから不必要なものまであれよあれよと出てくる。
出てきたものはいらないが、確かに鞄は欲しい。
私を連れて行ってくれるなら貸してあげてもいいわよ。
そういうと悪どい顔で笑う姫。
その顔を見たら騎士たちは悲しむんじゃないの?と正直思う。
危ない目には合わせたくない気持ちと、
現実的な物資の課題、天秤に掛けて後者を選ばざるを得なかった。
さあ、準備は整った。
さすがに護衛全員は無理があるだろうと説得し、
老騎士以外は待機してもらうことになったが、
姫様の装備を見て、肝が冷える。
本当にそれで行くんですか?
老騎士にしか聞けない。本人の気に入りようったらないから。
老騎士も渋い顔をしてひとこと。
お願いする。
お願いされてもなぁ。ある程度で帰ってもらおう。
そのほうがいい。その場はそう決めて、落ち着くのであった。
「西の迷宮」そう呼ばれるこの場所は、都より南西に位置する。
天井が低く、狭いという先入観とは裏腹に、
天井は高いし、広い道も多い。
果にしなく続くように感じる回廊に、時たま罠があるが、
コイツの天性が全て回避に導く。
途中出くわした小鬼や餓狼、大鼠、大蝙蝠。
進むのが目的の俺達は、魔石の回収は諦めて歩を進める。
魔石回収は案外時間がかかるものだ。
捌いて魔石を見つけ出す必要がある。
出来ないわけではないが時間が惜しい。
小物は諦めて進む。ルールのひとつとして掲げている。
要所を守る主がいくつか点在する。
師匠に聞いていたが、こんなに早く遭遇するとは。
ある程度で姫様たちを追い返すつもりだったが、失敗におわった。
もう既に主には気付かれている。後には引けない。
その主は小鬼の王だ。なんで王かって?
都の国王陛下よろしく、王冠被ってたからだ。
金じゃなくて土気色だったけど。
王冠を支えるように角が長い。なるほどこれは便利だ。
角でずり落ちないのは滑稽と言えば滑稽だが。
しまった。
そんなことを思っていると、小鬼に囲まれてしまった。
数が多い。最初に心配したのは姫だった。
自然と俺と老騎士、コイツが三方を抑える。
自然とこの【フォーメーション】・・・
う、やっちまった。真っ暗闇に落ちる感覚。
意味は・・・
うっすら呟くと、老騎士が肩を叩く。
大丈夫か?
意識を取り戻すと、ワンドを構える。
鬼退治に慣れたコイツも老騎士も、
敢えて先手は取らず、防御に回る。
戦いやすさよりも守りやすさを優先している。
俺は基本、避けることしかできない。
せいぜい姫に意識が集中しないように仕向けるくらいだ。
隙を見つけては精霊に呼びかける。
今の環境なら土だな。そう思い、静かに呟く。
地形を変えることで転倒を促すって寸法だった。
術自体は成功したが、肝心の転倒が起きない。
そりゃそうか。そよ風と渾名す俺。「深き森」のようには行かないか。
妙な納得の瞬間、小鬼の棍棒が腹目掛けて一撃。
と胃の内容物のこみ上げを感じるとともに、
胃液が食道を通る感覚に襲われる。
それに気付いたコイツが加勢してくれた。
アイツ。アイツは静かに待っていた。
王への道が開くのを。
考えなしに突っ込んでくる小鬼たちを前に、
その瞳はまっすぐ王を見ていた。
一閃。
跳躍とともに鞘から抜いたそれは、
王の首と胴体に今生の別れを知らせる。
返り血を浴びることなく、次の跳躍を決める。
分身さながらに次の小鬼を仕留める。
次、また次と。
敵を取らんとアイツに向く敵意に、好機を読み取ったコイツが攻勢に回る。
それに続く老騎士。
その様に驚く姫と、受けた腹を擦る俺。
かっこわりぃ。
感想はそれだった。
半数以上が倒れ、戦意を失った小鬼達が蜘蛛の子を散らすと、
アイツは気付いて悲しそうに近づいてくる。
怖かった。半ベソの姫様がアイツより先に抱きついてきた。
姫様、装備があたってます。
痛い、痛いです姫様。イタタタタ
相変わらずの行動に、やっぱりアイツが燃え上がった。
光。眩い光。
ああ、結構広いはずの空間が光に包まれる。
城での出来事を思い出してしまった。
ピチョン。雫が首筋を襲う。
中層は低層に比べ、全体的に濡れていた。
誰もが地下水脈の近さを肌で感じていた。姫様以外は。
歩を進めると、やけに蛇が多いことに気づく。
奴らはゴツゴツした、ちょっとした隙間を音なくすり抜けて来る。
好奇心旺盛の塊の彼女は、眼前に現れた細長い生き物に悲鳴を上げる。
コイツが首根っこを掴むと、遠くへ投げる。
蛇の大きさは様々で、放り投げたやつはまだまだ子供みたいだ。
低層同様に大鼠、大蝙蝠はわんさか湧くが、蛙も散見した。
蛇どもは他の魔物も関係なく攻撃しているみたいだった。
やや広めの景色が現れる。地下水脈があり、見渡しも良かった。
ここで休憩にすることになった。
なにより、苔が光る。松明を節約できそうだ。
光る苔は珍味。料理名人のコイツの弁だ。
何事もなかったかのように苔を取ってくる。
茹で時間にコツがあるそうだ。
コイツの話を真剣に聞くアイツ。いつもの風景だな、と油断があった。
姫がいない。
どこにも居ない。
老騎士が狼狽えている。どこだ?
こういうときは動かずに見渡す。
あらぬ方向の、暗闇の奥から悲鳴がこだまする。
姫だ!叫んで近くまでいくと、蛇に噛まれたらしい。
足首にひと噛み。傷口は既に青黒い。
既に倒れ込んでいて意識も弱い。
師匠の薬、アレだ!と、鞄を探す。
探せど、探せど、目的外のものしか出てこない!
くっ!と焦っていると、コイツがスッと差し出す。
別に仕舞ってあったのか。
まずは傷口にあてがった。効果はありそうだが効き目に劣る。
飲ませなくては。でも意識が弱く、うわ言しか聞こえない。
ええい、ままよ。
と、口移しを実行する。
口が開かない。舌で唇、歯をこじ開ける。
ごく短い時間だったが、長い時間に感じた。
ついに姫様の舌に俺の舌が会敵する。
ゴクン。
飲み込んでくれた。
同時に、冷たい薬の感触とは違う、熱い、ゾッとするような感覚が、姫の唇から俺の体に流れ込んできた。
ほっとしたタイミングで、アイツが追いつく。
そう、皆さんご存知の光です。
その場にいた騎士全員が、光の勢いに押されて後ずさりし、老騎士さえも「勇者様…」と息を呑むほどの光量だった。
その後のことは皆さんのご想像におまかせします。
意識を戻した姫様に誤解されつつ、キャンプを片付けた。
姫を問いただすと、
お風呂に入りたかった
などとふざけた応答が帰ってきた。呆れた。
だから来なけりゃいいのに。
姫は、俺に顔を寄せ、小さな声で囁いた。
純潔を奪っておいて、そんな薄情なことを言うのですか?
姫のひとことに返す言葉も失ってしまった。
姫の瞳の奥に、ほんの一瞬、悪戯っぽい笑みが浮かんだのを、俺は見逃さなかった。
姫が噛まれたことを除けば、中層最深までの道のりは案外早かった。
先達の残した情報が頼りになったし、なにより俺と姫以外が強い。
先手を取って反撃されずに撃破。これの繰り返しになってた。
俺も姫も後をついていくだけって、肩身狭いぞおい。
なにもできないのはわかってるけどな。
従者ならこんなもんか。
蛇女。中層に座する女王。蛇が多い理由か。
眷属を従え、集団を組みするのは小鬼と同じ。
でも小鬼と同類扱いしたら激怒しそうだな。
目を見るな
老騎士が叫ぶ。老騎士が警戒するのは久しい。
見るなと言われると見たくなるものだ。
もう薬が乏しい。なるべくなら無傷で終わらせたいものだ。
大小様々な蛇は、四方八方から襲ってくる。
意思があるかのように連携してくるように感じる。
なにより数の多さだ。数に圧倒される。
なんのかんのと猛攻を防ぐうち、静まり返った。
大群が引き、蛇女が近づく。
やはりなんらかの統一意思が働いているのだろう。
開始の合図などなく、唐突に始まる。
アイツの剣技は魅せるものがある。先手を取った。
幾度となく蛇女の腕や髪を切り落とした。
だが、おどろいたことに切った先から生え変わる。
落とされた部位は、蛇に変化してアイツを襲う。
わかっていましたとばかりに斬り伏せるアイツ。
他の蛇を警戒して姫のそばで控える老騎士。
出番を見定めて待つコイツ。
ぎょっとした。
姫が靴を脱いでる????
恐る恐る理由をきくと
俺と口づけできるなら蛇に噛まれても構わない、だと?
???もっとわからん。
な、なぜ???
こんなときに口づけ????命を大切にしてくれ!
ため息とともに頭を抱えた。
別の意味でも早く決着つけねば。
そのことを大声で叫ぶ。
叫びに呼応して、コイツ、老騎士、アイツの順に飛び掛かる。
それぞれの攻撃に効果が見えたが、都度都度回復する。
決め手にかける。
こちらは一撃でも喰らえば致死だが、向こうは耐えるのかよ。
卑怯だな。と呟くと何もないところでよろける姫。
俺に寄りかかる姫の両肩を、つい抑える。それをアイツが見ちまった。
相変わらず目がいいな。
またやってる!アイツの声が聞こえる。
アイツの怒りの矛先は完全に姫。蛇女はどこへやら。
案の定、アイツの手のひらは光る。
よそ見しているアイツに蛇女が近づく。
アイツの死角から、蛇女が襲いかかった瞬間。
蛇女の額を掴むと、邪魔すんな。
アイツの光線。勇者の力。
カッ
威力は壮絶だった。
蛇女を眷属もろとも吹き飛ばす。灰すら残ってない。
他の残った眷属も、何事もなかったかのように消え去る。
体の一部、だったのだろう。
更に奥。蛇女の根城の先。
低層、中層の作りとは明らかに異なる。
人工的に見えるそれは、どこか城を思い出す。
回廊と呼べばいいのか、先に進むと城の広間に似た場所に出た。
広間に佇む黒い影。それが人であると気付いたときには、口元が歪むのを見たときだった。
"黒ずくめ"と俺が名付けたのは、そいつが現れた直後のキャンプ。
"黒ずくめ"の口をつく呪いの言葉。骸骨。夕焼けの骸骨の言葉だ。
この気付きは、老騎士も同様だった。
王国最強と呼ばれていたのは後で知ったことだったが、その名に恥じない斬撃。
ユラリ、と影は揺らぐが微動だにしない。
コイツの抉るような右の拳は、必殺の軌道でみぞおちを狙ったものだろう。
だが、何かに阻まれたかのように、効果はないようだ。
出遅れた。姫を守らねば、と目をやるとすでにアイツが立ちはだかっていた。
姫と俺の間に、不自然に立ちはだかる。
アイツの思惑は姫と俺を近づけないことだろうなと一瞬思った。
だが違った。アイツは気付いていた。無数に囲む骸骨の存在を。
揺らめく影のほかに、あの夕焼けに見た骸骨が、何体にも取り囲むように点在していた。
それぞれから呪いが始まる。
呪いの言葉で相手を切り裂く無敵の刃。言い切ったときに発動する。
師匠から聞いていたことを思い出していた。
発動前には骸骨を、アイツはひとつ、またひとつ、と切り捨てる。
剣舞と呼んだそれは、その所作、洗練された立ち振舞から名付けたものだが、
そのことはアイツには教えていない。
瞬く間。そのひとことで片付けることさえ惜しい、まさに伝説級の武勇だろう。
どす黒い声が響く。
黒ずくめの詠唱が、武勇を消し去らんとばかりに鳴った。
その声の主目掛け、アイツの舞は続く。
幾重にも重ねた切っ先は、普通の人間であれば全て必殺であろう。
しかし、声は止まない。
コイツも、老騎士も、見えない障壁に阻まれ、アイツもただ空を切るのみ。
そんな中、「深き森」での出来事を思い出していた。
アイツを吹き飛ばしたそよ風のことを。
両手で印を組み、目を閉じて願いを呟く。
精霊に呼び掛けて願いを聞いてもらう。
アイツ目掛けて。
陣が足元に浮かぶ。
よけろ!
俺は叫んだ。
アイツに向けることで威力をあげる目論見。
三人ともわかっていたかのように身を引く。
そよ風は突風に代わり、突風は竜巻になった。
中心は風刃によって、ひとたまりもないはずだ。
呪いは悲鳴に変わった。
うまくいったことに胸をなでおろしたが、さすがに無茶な賭けだった。
後で皆に謝ろう。
まだ、終わっていなかった。
それにまず気付いたのはコイツ。
身をかがめ、腕を閉じ顎を引いた。
コイツの所作につられて、老騎士は剣を前に置く。
王国騎士団の防御の型だ。
アイツは既に、俺の横に飛び退いていた。
一瞬目配せすると、アイツは、ニッと微笑んだ。
間髪入れず、精霊達がアイツに向かう殺意を囁いてくれた。
勇者様を、守らねばならない
その一念でアイツを庇う。
次の瞬間、後ろにいた姫が、俺を突き飛ばす。
殺意は、無残にも姫に当たってしまった。
倒れ込む姫。
抱きかかえると、その体は想像以上に冷たい。
華奢な体から、熱と生気が完全に失われていく。
どす黒い声と姫の声が重なって脳裏に響く。
俺への恋慕、勇者への嫉妬。その後に、呪いの言葉の数々が続いた。
黒ずくめによって呪術が成立したことを、俺は悟った。
後悔の念を抱えつつ、反射的に、姫を抱きしめてしまっていた。
眩い、温かい光が、薄暗い石造りを照らし出す。
アイツの全身を覆う、その強い光は神々しさがある。
溜め、斬撃、残心。
黒ずくめが真っ二つになった。
離れ離れになった体は、別々に塵になって消え去る。
終わった・・・のか?
俺の呟きに、細い吐息を返す。
まだ、息はある!
顔面蒼白の老騎士が駆け寄り、コイツも心配を寄せる。
アイツの体は輝きを終えた。
ふた手に分かれることが、いくつかあった案から全員で決まった。
先に進むアイツとコイツ。
戻る俺と老騎士。もちろん姫。
俺は、俺を掴んで離さない姫を連れ、地上に戻ることにした。
姫の意識はないが、俺を離すまい必死にしがみついてくる。
老騎士は姫を背負うことも叶わず、ただ狼狽するばかりだった。
蛇女や小鬼の王はもういない。そのことだけが救いだった。
途中、何度か姫の容態が変化したことで足止めされた以外は案外あっさりと戻れた。
地上は日が照っており、食事で賑わう宿屋を見て、昼過ぎであることを悟った。
帰りを待っていた騎士団の顔を見ると、老騎士も安堵の表情を浮かべていた。
どうにか姫を宿屋のベッドに寝かしつける。
迷宮周辺でも腕が良いと評判の魔術師を呼び、事情を話す。
魔術師は食いつくように姫の容態を確認したが、すぐに身振り手振りで手に負えないことを伝えてきた。
いよいよもって万事休すと考えていると、見た顔が部屋に入ってきた。
宮廷魔術師筆頭。
占いが得意という彼女は、不吉な兆候を察知したようで追いかけてきていた。
案の定の状況に、彼女は慌てて持っていた手提げ鞄から、あれやこれやとものを取り出す。
出てきたのは、ぬいぐるみだった。
それが魔道具らしい。
熊のぬいぐるみだ。頭は比較的大きく作られており、布製であろう。
手足は短いが、妙に存在感のある尻尾。
胸元のリボンがアクセントになっている。
そのぬいぐるみを姫に渡すと、素直に受け取り抱きしめていた。
筆頭が、眼鏡をクイッと直すと、まずは一安心だと講座が始まる。
要約すると、ぬいぐるみこそ呪いの譲渡ができるのだそうだ。
話が長すぎたので割愛しているが、要するにそういうことらしい。
最後の質疑で認めていた。
長い講座はなんだったんだよ。
騎士団、老騎士、俺。疲れた顔で椅子にもたれたまま聞いていた。
迷宮帰りということもあり、俺も老騎士も疲れはピークだ。
アイツの心配をすることなく夜は更けていた。




