卒業から描くストーリー
「今~私の~願~い事が~叶うな~らば~翼が~欲し~い♪」
高校の屋上で1人歌う少女
「…………」
ぼーっと空を眺めていると、そこに1人の少女がやってきた
「あ、いたいた」
「こんな所で何してんすか先輩」
「ねえ?あたし、卒業するんだってさ」
「知ってますよ、てか今、式の最中っすよ?」
「おかしな話じゃない?進路も決まってないのに」
「まぁ、先輩って頭悪いっすもんね」
「こら、生意気だぞ」
「でも仕方ないじゃないっすか」
「浪人するか、就職するかしか無いっすよ」
「やだ」
「やだって…」
「…………」
「あんたは進路どうすんの?」
「いや、まだ決まってないっすけど」
「まぁ、大学に行くつもりは無いんで、どっか適当なとこに就職するんじゃないっすかね?」
「それでいいの?」
「え?」
「だってさ、私達の人生って、これからの方が長いわけでしょ?」
「まぁ、そうっすね」
「これから働く所が私達の人生になる」
「そこの始業時間によって起きる時間が決まって、終業時間によって寝る時間も決まる」
「それだけじゃなく、休日や給料によっても生活が変わってくる」
「そこで出会う人が自分の人生を大きく変えてくれたり、もしかしたら運命の人になったりするかもしれない」
「そうやって考えたらさ、やっぱ自分にとって一番の仕事に就きたいって思わない?」
「まぁ、言わんとすることは分かりますけど」
「でも今の私にはこれって物が無いの」
「大学に行けば、視野も広がるかなとか思ってたけど、見事に全部落ちたし」
「これからどうしたらいいんだろうね」
「……じゃあ」
「私と漫画家やりましょうよ」
「…は?」
「先輩、絵上手いっすよね?」
「私がストーリー担当やるんで、先輩が絵描いてくださいよ」
「え、何それ 本気で言ってる?」
「冗談ですって言ったらウケます?」
「全然」
「じゃあ本気っす」
「……あんたストーリーとか作れんの?」
「まぁ、人に読んでもらったこと無いっすけど」
「…………」
「どうせ先輩、ニートじゃないっすか」
「うるさい」
「先輩が絵を描いてくれるなら、私は漫画家になりたいっす」
「……もし断ったら?」
「私も適当な仕事に就くの嫌になったんで、先輩と一緒にニートするかもっすね」
「それ私が来年も浪人してるってことじゃん……」
「嫌っすか?漫画家」
「嫌かって聞かれると…」
「…………」
「ま、やるだけやってみるのも悪く無いかもね」
「決まりっすね」
「それじゃあ、まずは退屈な卒業式でも済ませてくるかな」