千葉県のT-2区で発見された記憶喪失の男性について
2037年、4月8日22時13分。
千葉県T-2区、元稲ヶ丘高校の旧校舎にて、年齢不詳の男性を発見。
彼は記憶喪失に陥っているらしく、極めて日常的な単語以外、覚えていない様子。
髪色はワインレッド、目の色は黄色、検査の結果全て天然の物だということがわかった。
しかし、遺伝子構造にはいくつか組み替えられたかのような跡が残っている。
彼の名前は、「西河」と名乗った。
本人は名前を覚えておらず、彼が記憶喪失前に覚えている唯一の日常単語以外の言葉が、「サイカ」だった為らしい。
遺伝子認証により、彼の親族を探してみるも、該当者はゼロ。
本人の同意に基づき、紋章検査を行なった。
結論、彼に紋章は発現しなかった。非能力者と断定する。
次に、当時の状況について。
おそらくは異能の影響により、元稲ヶ丘高校は、ほぼ全壊状態にあった。
その校舎の瓦礫の中から、彼は救助された。
異能の特定は、現場の証拠だけでは不可能だった。
おそらくは第一世代や第三世代のようなエネルギー操作系ではないだろう。
焼け跡や電撃の跡、毒素の検出といったような痕跡は見当たらなかった。
現地の市民によると、当日の昼までは元稲ヶ丘高校はそのような状態になかったらしい。
我々が彼を発見する前に犯行が行われたのだと想定できる。
西河は非能力者と決定されたため、元稲ヶ丘高校全壊事件の被害者として扱う。
T-2区に存在する異能組織は、「桐生団」という名の非合法組織のみ、情報を要求すると、当時の様子を事細かく教えてくれたが、件の事件と関連性を疑う情報は無かった。
しかし、桐生団は違法薬物や違法武器などの不法所持の疑いがある。
これから要警戒が必要。証拠を取り押さえ次第、然るべき罰を与える必要がある。
所属する異能はおよそ30名、非能力者はゼロ、制圧は困難ではない。
彼、西川の国籍は、本人の意向により日本に決定した。
日本国憲法第120条、非能力者保護法第十条により、この先二年の生活保護を約束し、現在は千葉県Y-4区の団地に住んでいる。
加えて、非能力者保護法第三条により、これ以上の監視を禁止とする。
続けて、これ以降も元稲ヶ丘高校全壊事件についての調査を進める。
以上で、今回の報告を終了する。