リビドーショータイム
(……あれっ、なんだろう?俺って何してたっけ?)
テオドールは目を開けると、何もない白い闇の中に立っていた。
(確か、ハイオークに出会して……それで、ベロニカが『迷妄』の魔法を放ったんだ)
徐々に記憶が鮮明になってくると、真っ白だった風景が次第に形を表し、白黒の景色を映し出した。
(これは……何が起こっている?止まってる、のか?)
困惑していると、テオドールは後ろに何かの気配を感じて振り返った。
そして……そこには、見覚えのある本棚が並んでいたのだ。
(これって、俺が夢で見たエロ漫画だ……まさか、前世の記憶ってのがこんな所まで干渉してくるのか!?)
そう思った時、ベロニカが言った言葉が頭に思い浮かんだ。
『これがサキュバスの特殊能力、『官能共鳴』……相手の理想の姿となって魅了し、精を搾り取るための本能なのですわ!!』
『マスターはひとつで2人という存在。そっちの部分がわたくしを呼び寄せ、この姿にしたのですわ』
そして、目の前のエロ漫画を手に取った。
(もしここが『迷妄』空間だとすると、この本棚は俺の頭の中……そして、俺の前世の頭の中でもあるんだ。それにもし、ハイオークやベロニカも巻き込まれているのなら……)
テオドールは考えを巡らせると、意を決してその漫画を開いて読み始めた。
(さあ、ベロニカ!!今の俺の魂を覗いてみろ!!そして、この賭けに勝ってみせてくれ……!!)
瞬間、再び光が辺りを包み込んだ。
眩い光に目を瞑っていたハイオークは、瞼の外側に変化を感じ取るとゆっくりと目を開いた。
『なんだ……?何が起こった?』
するとそこは、先程の森とは似ても似つかぬ暗闇の世界であった。
『ここは何処だ!?何も見えないぞ……』
「それではお望み通り、灯りを照らして差し上げますわ!!」
そう聞こえた瞬間、指を鳴らす音と共に数本の蝋燭と色取り取りの電気照明が灯る。
そして、目の前に立ったポールから何者かが滑り降りて来た。
「Welcome to the Satisfaction Marvelous paradise‼︎ Are you ready? No, I won't wait‼︎ it's show time‼︎」(ようこそ、サティスファクションマーベラスパラダイスへ!!お覚悟はよろしくて?遠慮はしませんわよ!!さあ、イッツショータイム!!)
『ちょっ、何!?何!?何ィ!?!?』
そこに現れたのは、黒いボンテージを纏い、顔の上半分に仮面を付けてムチを振り回したベロニカだった。
「Hey guy‼︎ You have a body like a ham‼︎ But if you use this, it will look more like‼︎」(あなた、ボンレスハムにそっくりですわねぇ!!でもこうすればもっと美味しそうに見えますの!!)
『何言ってるか分かんねーよッぐエェェッ!!』
ベロニカは何処からかロープを取り出すと、それを振り回してハイオークを縛り上げて宙吊りにした。
『なっ、いつの間に!?』
「さあおハムさん、ここからは調理の時間ですの!!」
そして今度は、先端にフックの付いたゴムバンドをハイオークの鼻に掛けて思いっきり引っ張る。
『ウゴゴゴゴゴ!!?いだいだいだいだいだ!!!!』
「痛みなんてただの信号に過ぎませんわ。抱きしめ、受け入れ、研ぎ澄ませばそれは次第に快楽となりますのよ?」
『な、なるかそんなもウガガガガガ!!!!』
更に鼻フックを強く引っ張ると、今度はそれを首に固定してムチを振り回し始める。
「ムチの痛みとは、瞬間的に刺さるような刺激と、それが引いた後に感じるピリピリとしたヒリつき……一粒で二度美味しい贅沢な快楽ですのッ!!」
そう言いながら、振り回したムチを吊られた醜体に打ち付ける。
『プギャッ!!』
「汚い鳴き声上げんじゃねーですの!!まだお楽しみはこれからですのよォ!!」
更に、ムチが何度も激しく体に打ち付けられる。その度に皮膚に強烈な刺激が走り、必死に体を捩り悶える。
『プギャッ!プギャッ!!な、何故このオデの体が、こんなもんで痛みを……プギャッ!!』
「ここはわたくしの『迷妄』で作り上げた空間……その上、マスターの裏記憶とわたくしの『官能共鳴』が合わさり最強の支配環境、『官能空間』となったのですの。わたくしの魂が感じる……ここに来た者は、何者であろうとわたくしからは逃れられないと!!」
ベロニカは一頻りムチを打ち付けると、今度は複数の赤い蝋燭を取り出して火をつけ始めた。
「まだまだですわ……そうですわね、例えば蝋燭責め。蝋が触れる熱とは、出来立てのポタージュスープのようなねっとりとした液体が体に流れ、それが固まって行くにつれじわじわと広がって体が熱くなってゆく……身動きが出来ない状況では、決して逃れられない」
そして、脚を高く上げると踵落としでハイオークを踏みつけてゴムのように縄を伸ばし、そこへ溶けた蝋燭を撒き始めた。
『あぢあぢあぢあぢ!!!!』
「ほぉらほぉら!!全然声が聞こえねぇですの!!」
そして今度は足を退けると縄が縮んで飛び上がり、その下から蝋燭の火で炙られていく。
「豚の丸焼きじゃあああぁぁぁい!!」
『アギャギャギャギャアアァァァ!!!?』
満足するまで炙り終わると、持っていた蝋燭を放り投げて顎を掴み持ち上げて姿勢を起こす。
そして、もう片方の手で局部を豪快に掴み上げた。
『アッッッッッーーー!!!!』
「なぁんですのこのグニャッグニャのゴムボールはぁ?全ッ然オス豚らしくないじゃありませんの!!なっさけ無いこと!!」
『だ、黙れ……キサマの責苦なぞでオデが興奮などするわけアッッッッッ!!!!』
更に、局部を掴む手の力が強まる。その上、ベロニカはわざとらしく身を摺り寄せ、胸部を執拗に当てて煽って見せる。
「どうですの?まだまだ満足出来ませんの?この欲しがり!!恥を知りなさい恥を!!」
『ふざ……け……るな……』
「そう。その程度の刺激じゃあ全然足りないみたいですわ……ねッ!!」
ベロニカは局部を握る手を離すと、ピンヒールを履いた足をしなやかにスイングさせ、局部へ爪先をめり込ませた。
『ミ゜ッ…………』
その強烈な一撃にハイオークは白目を剥いて失神……しかし、頬に何度も平手を打ち付けて無理やり目を覚まさせる。
『う……』
「勝手に果ててんじゃねーですの。果てる時は……もっと派手じゃぁありませんと!!」
そう言うと、ベロニカは吊っている縄を掴んでハンマー投げのように振り回す。
『オボボボボボボボ!!!!』
「そおぉおいぃっ!!」
グルグルと回転が最高潮になり、そのまま手を離すとその巨体は勢いよく宙を舞って飛んで行く。
それを見届けたベロニカは、登場する時に使ったポールを手に取ると簡単に引き抜いて、槍投げのように構えて思いっきり投擲した。
「『迷妄必殺槍』ッッッ、ですの!!!!」
投げたポールの速度は飛んで行くハイオークを上回り、真っ直ぐ向かって行くとその巨体を貫通……そして爆発四散させた。
『ボギャアアアアアァァァァァ!!』
「魅・了・完・了……ですの〜♡」
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